令和元年12月定例会一般質問

◆5番(今城誠司君) おはようございます。
自由民主党、宿毛市・大月町・三原村選挙区選出の今城誠司でございます。
議長のお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問を行わせていただきます。
まずは、浜田知事におかれましては、野党統一候補との一騎打ちを制し、60%を超える得票率で見事当選されました。心よりお祝いを申し上げます。
浜田知事の初めての定例会において、自民党会派からは知事のふるさと、幡多地区選出の3名が続きます、四万十市出身の濱田県政の船出を祝い、質問が出来ることを大変光栄に思っております。
それでは、知事の政治姿勢についてから、順次質問に入らさせていただきます。

始めに本県の社会資本整備についてお伺いいたします。

国の来年度予算編成については、各省庁からの概算要求が出揃い財務省にて取りまとめられました。
各省庁が提出した概算要求の総額は一般会計で約105兆円となり、平成31年度予算の要求総額102兆8千億円を超え、2年連続過去最大規模となっています。
又、政府は一連の災害からの復旧・復興や、経済の下振れリスクに備えるための施策として、事業規模が総額で26兆円程度となる新たな経済対策をまとめ、5日の臨時閣議で決定し、今年度補正予算と来年度予算に必要な経費を計上するとされております。
一方で、財務省の財政制度等審議会は、11月25日に令和2年度予算編成等に関する建議をまとめ大臣に提出されております。
この建議において社会資本整備については、整備水準が概成しつつあることを考慮すれば「いたずらに量を拡大する状況にない」と強調した上で、「既存施設の有効活用」「料金収入の活用」「新技術の活用」による一層の効率化を求め、相次ぐ自然災害で全国各地において甚大な被害が発生し、国土強靭化に向けた歳出の必要性が高まる中でも「量の拡大」には歯止めを掛けることを提言しております。
本県においては、高速道路を例にとっても、その整備率はやっと55%の達成率であり、未事業化区間も残っておりその整備促進が県民の悲願となっております。
全国に比べると、本県は生活を支える重要な社会資本整備水準について「概成」には程遠く、著しく整備水準の低い本県の現状に対して、今後どの様に取り組んで行かれるのか知事にお伺いいたします。

次に緊急防災・減災事業債制度についてお伺いいたします。
緊急防災・減災事業債は、東日本大震災を教訓として、全国的に緊急に実施する必要性が高く、即効性のある防災、減災のための地方単独事業を対象として、平成23年度に創設され、本県においても津波避難タワーや津波浸水想定区域内にある、防災対策の拠点である庁舎や消防庁舎の移転等に活用することにより、南海トラフ地震対策が大いに加速できたところであります。
当初この制度は、平成28年度の終了予定でありましたが、まだまだ必要とされる対策が、数多く残っており東日本大震災の復興・創生期間である、来年令和2年度末までの延長とされております。
制度の終了期限が刻々と迫る中、庁舎移転等の大規模な事業に取り組んでいる財政力の非常に弱い本県の市町村にとって、制度の再延長が強く望まれております。
地方自治体が今後計画的に、さらに南海トラフ地震対策に取り組むことが出来るように、緊急防災・減災事業債の恒久化を含め、必要な財源確保について、どの様に取り組んで行かれるのか知事にお伺いいたします。

次に次期新過疎法制定にむけてお伺いいたします。
戦後の高度経済成長に伴い、農山村地域から都市地域にむけて人口移動が起こり、過疎問題が発生し、昭和45年に議員立法により10年間の時限立法として、過疎地域対策緊急措置法が制定されました。
以来、4次にわたって特別措置法が制定され、現行過疎法は、2000年に過疎地域自立促進特別措置法であります。
2010年には6年間延長され、過疎地域要件の追加、過疎債のソフト事業への拡充・対象施設の追加、失効期限の延長が行われ、現行法の有効期限は、令和3年3月末までとなっております。
県内においては、平成22年4月1日付けで須崎市、香美市、黒潮町が、過疎地域として追加され合計で24市町村の全域・4つの市町で一部、県全体面積で約80%・人口の約27%が過疎地域に該当しております。
又、国の特別交付税の算定においては、過疎地域と同様に、人口減少が著しく、財政基盤が脆弱な過疎地域に限りなく近い地域として「準過疎地域」が位置づけられており、県内においては宿毛市・日高村・芸西村・佐川町が該当し、特別交付税が加算されている状況があります。
県内の市町村が、ほとんど過疎関係地域に位置付けられている本県では、人口減少や少子高齢化等により地域社会における活力が低下するとともに、身近な生活交通の不足、地域医療の体制の弱体化が進み、深刻な状態が続いております。
次期過疎対策の制定に向けて、高知県次期過疎対策検討会において、提言内容をまとめて要望活動を本格化しているところとお聞きしております。
新過疎法制定にむけて、期待される施策について、どの様に考えておられるのか知事にお伺いいたします。

次に人口社会増減均衡にむけてお伺いいたします。
高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略における基本目標2、「新しい人の流れをつくる」における数値目標として、今年度に本県における人口の社会増減の均衡という高い目標を設定し取り組んでいるところであります。
総務省の2018年人口移動報告によりますと、本県は2307人の転出超過(社会減)であり、高知市で-741人、須崎市で-311人、室戸市-236人、土佐市で-215人、四万十市で-206人と続き、24市町村で社会減の結果となっております。
一方で、社会増は香美市が+210人で四国一になっており、香南市+68人、黒潮町+50人、日高村+39人と続き好転している市町村もありますが、社会増減の均衡という高い目標の達成は難しい状況であります。
転入促進策と転出抑制策の充実により、本県における人口の社会増減の均衡を図ることが、当面の大きなターゲットでありますが、今後どの様に取り組んで行かれるのか、知事にお伺いいたします。

次に国際観光の推進についてお伺いいたします。
本県における宿泊を伴う外国人観光客数は、観光庁がまとめた平成30年の宿泊旅行統計調査によりますと、都道府県別外国人延べ宿泊者数は、79,160人泊となり、島根県・福井県に次いで全国で3番目に少ない結果となっております。
前年からの伸び率についても、5%程度であり四国では最低、全国でも7番目に低い結果にとどまっております。
高知新港がクルーズ客船寄港地として定着するなど、外国人観光客を受け入れる環境整備が一定進んでまいりましたが、本県における宿泊を伴う外国人観光客数は、産業振興計画の今年度の目標値であります14万8千人泊の達成を目指しプロモーションの対象市場拡充に取り組んでまいりましたが、3年連続で7万人代の泊数にとどまっている状況であります。
さらなる外国人向け旅行商品の造成、販売促進や効果的な情報発信とセールス活動の取り組みが必要とされております。
知事は、2025年の万博をターゲットとして、関西圏からの、インバウンドの誘致に取り組むと発言されておりますが、その戦略づくりについて、どの様に取り組んで行かれるのか知事にお伺いいたします。

次に県西部の文化芸術環境の整備についてお伺いいたします。
本県では、平成18年より文化芸術振興ビジョンを策定し、芸術祭の開催や、県立文化施設における事業の充実などを通じて、県内の文化芸術活動の振興に取り組んでいるところであります。
平成28年度高知県県民世論調査において、文化芸術振興に関する意見や要望に関するニーズ調査が実施され、今後県が文化芸術振興を進めるにあたりどんな施策に力を入れる必要があると思いますかの問いに対して、「文化芸術を鑑賞・体験できる機会の充実」が26.6%と最も高く、次いで「ホール・劇場、美術館、博物館等の文化施設の充実」が23.4%と県内の文化施策のさらなる充実を求める県民ニーズが明らかとなりました。
幡多広域圏での結果を見てみますと、両項目は27.7%・24.9%と県下の平均値より高い数字となっております。
しかしながら、県立の文化施設は南国市の歴史民俗資料館以外のすべての施設は高知市に集中している状況となっており、幡多地域からの文化施設の利用については、大きなハンディがあります。
平成29年度には、日本洋画の巨匠として美術界の第一線で活躍されております宿毛市出身の奥谷博先生が、牧野富太郎博士以来2人目となる文化勲章を受章されました。
今年の9月には、宿毛市ではその作品を常設展示できる美術館建設を求める9619人の署名とともに、市に対して要望書が提出されております。
県西部の文化芸術環境のレベルアップが必要であり、県・市連携による拠点整備について、その所見を知事にお伺いいたします。

次に災害への対応について、始めに公共事業の円滑な施工確保対策についてお伺いいたします。
昨年の平成30年7月豪雨災害の大きかった市町村において、公共工事の入札不調が数多く発生している実態があります。
安芸市の執行する先月の入札結果は、30件発注の内26件が不調となり入札執行の86.6%が入札不調に終わっております。
宿毛市の執行分についても先月分で、24件発注の内15件が不調となり入札執行の62.5%が入札不調に終わる危機的な状況が続いております。
条件付き一般競争入札において、市外に業者にも公募を広げても応札者がなく、更に入札不調が続く案件も発生しており、早期の復旧復興にむけての事業執行が課題となっております。
県発注工事については、昨年の7月豪雨に係る災害復旧や、国土強靭化基本計画に基づく「防災・減災、国土強靭化のための3カ年緊急対策」に伴う事業量の増大に適切に対応するために、効率的な事業執行を目指して、今年度当初に大幅な入札・契約制度の変更が行われ、入札不調の抑制に取り組んでいるところであります。
これまでの公共事業の執行状況と、今後の公共事業の円滑な推進に向けて、どの様に取り組んで行かれるのか土木部長にお伺いいたします。

次に気候変動を踏まえた治水対策についてお伺いいたします。
今年、10月12日夜に伊豆半島に上陸し、関東地方を縦断した台風19号は、東日本の広い範囲に大雨や暴風、高潮をもたらしました。
気象庁は最大級の警戒を呼び掛ける大雨特別警報を13都県に発令し、各地で記録的大雨により河川の氾濫や土砂災害を引き起こしております。
国土交通省によると、河川の決壊は7県71河川、140箇所にのぼり、市街地を広域で浸水し、死傷者や住宅被害の数を押し上げております。
140箇所の決壊箇所の内、国の直轄管理区間が7河川、12箇所にのぼり、昨年の西日本豪雨では、堤防の決壊が国管理の小田川で2箇所と都道府県管理河川で35箇所の計37箇所だったのと比べると、今回はその4倍近く、浸水面積も極めて広く約3万2300haであり、西日本豪雨の約1万8500haを大きく上回りました。
先日、西内隆純議員、土森議員と共に茨城県の那珂川の被災地に調査に入ることが出来ました。
この那珂川では、河川決壊3箇所全てで200m以上にわたって崩壊し、越水により川裏側の堤防が破壊されて、決壊に至ったとみられる箇所でありました。
関東地方整備局では、2016年に那珂川河川整備計画を策定し、30年間をめどに堤防のかさ上げや河道掘削を進めている状況でありますが、国の管理区間全体の20.4%が堤防高さや断面積が計画高水位に対応していない「暫定堤防」区間であり、決壊箇所はこの区間で発生しております。
近年の気候変動の影響とみられる想定以上の大雨が頻発しており、現在の整備計画に沿って堤防をつくっても、将来の降水量に対応できない可能性は高く、今回完成堤防の区間でも数多く氾濫を起こしております。
本県の河川についても、今後、気候変動による豪雨の更なる頻発化・激甚化に対して、現行の整備計画を気候変動の影響も考慮した治水対策にむけて、県管理河川について、どの様に取り組んで行かれるのか土木部長にお伺いいたします。

次に洪水ハザードマップ等の充実についてお伺いいたします。
今回の台風19号によりまして、お亡くなりになった方は98名にも及んでおります。
お亡くなりになられた方々のご冥福を、心よりお祈り申し上げ、一日も早い復旧・復興を願っております。
近年の豪雨災害による死亡者は、土砂災害によるものが多く発生しましたが、今回の災害では半数以上が堤防の決壊による急激な水位の上昇による浸水被害であったと報道されております。
今回被災した各河川で、それぞれの自治体が公表している洪水ハザードマップの浸水想定区域は、実際の浸水とよく一致し避難に有効であったといわれております。
他県においては、浸水想定区域図の作成には、やはり費用も時間もかかるため、過去の水害実績などの水害の危険性を示した水害リスクマップを、すべての県管理河川で作成している県もあります。
愛媛県においては、水害が起こりやすい地域をあらかじめ伝えることで住民の防災意識の向上につなげるために、各河川において過去40年間に発生した水害での浸水範囲、洪水浸水想定区域を表示し、水位観測所、雨量観測所、土砂災害の発生場所や土砂災害特別区域などの情報を1枚にまとめたものになっております。
一方、県内における浸水想定区域図の作成状況は、国の直轄管理では洪水予報河川に指定されている、物部川、仁淀川、四万十川、と水位周知河川に指定されている中筋川、後川、宇治川、県管理河川では水位周知河川に指定されている国分川、鏡川、宇治川、松田川で公表されています。
水位周知河川に指定されていないその他の県管理河川についても順に作成に向け取り組んでいると聞いています。
自分が住む場所の浸水被害を予測し、豪雨が発生した場合は迅速な避難行動により、より安全を確保するために、洪水ハザードマップ作成の基となる洪水浸水想定区域図の作成促進が重要と思われますが、現在どの様に取り組んでおられるのか土木部長にお伺いいたします。

次に危機管理型水位計についてお伺いいたします。
今回の台風19号で決壊した河川の内、宮城県や福島県など5県が管理する13河川で水位計が設置されていなかったと報道されております。
各自治体は、気象庁の警報や雨量、定点カメラ、水位計のデータを基に災害時の住民避難の判断材料となります。
通常の水位計の設置費用は、1箇所当たり1千万~2千万円程度と高額でありましたが、近年、中小河川で豪雨災害が相次いでおり、洪水時に水位観測に特化した低コストの水位計が開発され、これまで水位計のなかった河川や地先レベルで細やかな水位把握が必要な河川への危機管理型水位計として設置が進められております。
本県においても、昨年度94の県管理河川に102箇所設置され、水位観測網の充実が図られており今年の4月から運用されているとお聞きしております。
この危機管理型水位計は、その設置場所毎にどの様な基準で氾濫危険水位を設定し、増水や氾濫の危険を市町村に対して提供されているのか、又地域住民に対してもどの様に工夫して情報を提供しているのか土木部長にお伺いいたします。

次に県管理ダムにおける異常豪雨の頻発に備えた対応についてお伺いいたします。
昨年の西日本豪雨では、愛媛県の肱川で国土交通省の野村ダムと鹿野川ダムが満水となり、洪水調節機能を失い「異常洪水時防災操作」いわゆる『緊急放流』の実施となり、ダムへの流入量と同程度の放流量とした結果、下流域で浸水する地域が相次ぎ、自宅付近や車で避難しようとしていた9人が犠牲となりました。
より効果的なダム操作や有効活用、より有効な情報提供や住民周知が課題となりました。
今年の記録的豪雨をもたらした台風19号においても、貯水の限界の見込まれた6箇所のダムが緊急放流に追い込まれました。
神奈川県が管理する城山ダムにおいても、ダム建設以来はじめての緊急放流となりました。
懸念された川の氾濫は起きなかったものの、県が発表する放流予定時刻が二転三転したり、川の水位が急上昇する間違った水位予測が示されたり、流域自治体の現場は混乱し、情報の伝達や共有のあり方が課題となったと言われております。
台風の接近が予想され、大規模な洪水が予想される場合には、あらかじめダムの水位を下げることにより、より多くの洪水調節容量を確保しておく「事前放流」が効果的でありますが、今回この6つのダムすべてで、あらかじめ水の利用者と協議して事前に水を放流するルールを決めていないなど、「事前放流」の実施体制が整っていなかったことが分かりました。
このうち高柴ダムや美和ダムなど台風の接近に伴って、急遽、利水者に了承を得るなどして「事前放流」をしたダムもありましたが、水の量が回復しない場合を懸念し、積極的に水位を下げることができていませんでした。
本県においても、近年の水害の激甚化を踏まえて、県管理ダムの洪水調節機能の強化等について、又異常洪水時防災操作移行時の的確な情報提供や住民周知について、とのように取り組んでおられるのか土木部長にお伺いいたします。

次に南海トラフ地震対策について、始めに長期浸水対策についてお伺いいたします。
長期浸水対策については、近年発生確率が高まっている南海地震に伴う被害のうち、特異かつ顕著な現象である高知市浦戸湾周辺と宿毛市中心市街地周辺の地盤沈降による長期浸水被害について、「浸水抑制による被害軽減」・「浸水域からの安全な避難・救助」・「迅速な排水による早期復旧」を目的として、取り組むべき対策について、高知市は平成25年3月、宿毛市については平成27年3月に検討結果が公表されております。
ハード対策は進められておりますが、依然、長期浸水域内に多くの住民が取り残されることが想定されており、具体的な住民避難対策が必要とされております。
宿毛市の長期浸水対策を着実に実施していくために、定期的に関係機関と対策の実施についての協議や計画の進捗管理について、どの様に取り組んでおられるのか危機管理部長にお伺いいたします。

次に住宅耐震化促進についてお伺いいたします。
昨年度までを計画期間とする第3期南海トラフ地震対策行動計画では、第2期行動計画の成果を踏まえ、特に重点的に推進していく対策として、住宅耐震化をはじめ地域に支援物資を届けるためのルート確保など、8つの重点課題を設定し、目標達成に向け特に加速化を図りました。
その結果、地震対策の一丁目一番地である住宅の耐震化については、国の総合的な支援メニューの創設や低コスト工法の普及による所有者の負担軽減、戸別訪問の実施による啓発の強化などにより、目標としていた4500棟の耐震改修を達成し、耐震化率についても77%から82%となっています。
これまでの取り組みによる減災効果としては、住宅の耐震化に加えて、津波早期避難意識率の向上や津波避難空間の整備が進んだことから、想定死者数については、2013年の第2期行動計画策定時に算出した4万2千人から昨年度末までに約74%減少し、約1万1千人にまで減らすことができる見込みとなりました。
今年度からは、第4期行動計画として、いまだに耐震化が必要な住宅は多数存在することから、住宅耐震化率を87%に目標設定しスタートしているところであります。
しかしながら、住宅の耐震改修の進捗状況には市町村によって大きく差があります。
平成17年度から平成30年度末までの耐震改修の補助実績9182棟の内訳によると、耐震改修が多い自治体の実績は、高知市の3435棟、土佐市の846棟、南国市の650棟となっています。幡多地域において最も多い自治体の実績は、黒潮町の501棟となっています。
一方で耐震改修が進んでいない自治体もあり、大月町は僅か2棟にとどまっている状況であります。
第4期行動計画において、市町村の住宅耐震改修実績の差の原因をどの様に分析し、更なる住宅耐震化促進にどの様に取り組んで行かれるのか土木部長にお伺いいたします。

次に津波による漁業施設の漂流対策についてお伺いいたします。
温暖で生産性の高い宿毛湾では、養殖やまき網を始め多種多様な漁業が営まれており、多くの漁業施設が設置されております。
また、宿毛湾内をはじめ県内の漁港では、漁業者の廃業などによって放置された漁船が多く見られるほか、漁業活動に欠かすことができない燃油タンクについても、流出などの危険性が指摘されています。
津波が発生した場合には、津波とともにこれらの施設が漂流物として漁港背後の市街地や集落、泊地や航路に流され、家屋の倒壊、避難の妨げ、航路・泊地の閉塞、さらには燃油の流出による火災の発生など二次被害を増大させる危険性を抱えております。
これに対して県では、燃油タンクや沈廃船について対策を進めていますが、これまでの取組状況と、今後、どう取り組んでいかれるのか水産振興部長にお伺いいたします。

次に高齢者の行方不明対策についてお伺いいたします。
警察庁の統計によりますと、昨年1年間に警察に届け出があった認知症の行方不明者は延べ1万6927人で、前年より1064人多く、統計を取り始めた2012年の1.76倍となり、6年連続で過去最高を更新している状況となっております。
2017年以前に捜索願が出された人を含めて、昨年1年間で死亡が確認されたり、届け出が取り下げられたりした認知症の人は1万6866人、うち1万6227人の生存・所在が確認され、死亡が確認されたのは508人と報告されております。
県内においても、今月上旬には、四万十町の64才女性が行方不明になった翌日の朝発見され、死因は低体温症とみられております。
今年の4月には私の地元宿毛市でも、87歳の男性が自宅から4キロ離れた山中で行方不明から3日後に遺体で発見され、死因は低体温症であったと報道されております。
認知症の人が行方不明になったときに、素早く捜し始められるよう、行政・警察署・消防・市民などが連携してつくった連絡網・捜索体制のSOSネットワークを構築している市町村もありますが、市町村において取り組みの差があります。
厚生労働省では、今年の6月に決定となった認知症施策推進大綱において、認知症の方が安全に外出できる地域の見守り体制づくりとともに、行方不明者になった際に、早期発見・保護ができるよう、既存の捜索システムを把握し、広域捜索時の連携体制を構築するとともに、捜索ネットワークづくりやICTを活用した捜索システムの普及を図るとされております。
市町村の圏域を越えても対応できる見守りネットワークの構築については、県がネットワークの要として重要な役目を担っておりますが、効果の上がる高齢者の行方不明対策について、どの様に取り組んでいるのか地域福祉部長にお伺いいたします。

次に警察犬の現状についてお伺いいたします。
行方不明に気づいたときは、自分たちだけで探そうとせず、すぐに警察に連絡することが大切です。
自分たちで探し出そうと躊躇しがちですが、時間が経てばたつほど、認知症の人は遠くへ行ってしまう可能性があるので、捜索がより困難となります。
行方不明者の捜索については、人間の3千~6千倍ある嗅覚をもつ、警察犬の出動の要請が高齢化の進行に伴い急増しており、平成26年の捜索活動の出動が29回であったものが、平成30年には58回と2倍に伸びているとお聞きしております。
その大部分を直轄警察犬が出動し、県西部の行方不明者捜索や出動要請が重なったときには、嘱託警察犬が出動している状況であります。
今後、更に行方不明者の捜索の出動回数が伸びることが予想される中で、十分な対応ができる警察犬の確保や体制の強化についてどの様に取り組んでおられるのか、また、警察犬の捜索能力向上のため、どのような訓練を行っているのか、警察本部長にお伺いいたします。

最後に、クロマグロやブリの人工種苗の生産技術の確立についてお伺いいたします。
数ある魚の中でも不動の人気を誇るクロマグロは、近年、日本食ブームの影響などから資源枯渇が懸念される中、養殖クロマグロに注目が集まっています。
高知県内の養殖クロマグロは、すべて高知県最西部の町、大月町で育てられており、県単位の生産量は全国3位となっております。
世界的な漁獲量規制により、天然種苗の活け込み尾数が制限される中、人工種苗生産による養殖クロマグロの安定供給に向けて、平成26年から取り組みを始めて順調に成果を上げておりましたが、昨年度は産卵条件が整わず受精卵が確保できず、種苗出荷サイズまでの飼育についても、目標尾数を下回り生産を中止したとお聞きしております。
一方で輸出を目的としたブリ人工種苗の生産技術開発については、四センチの沖出しサイズを10万匹の生産に成功したとお聞きしております。
これまで取り組んできたクロマグロ、ブリの人工種苗の生産技術の確立について、現在どのような課題があるのか、またその課題の解決にどのように取り組んでいくのか、水産振興部長の御所見をお伺いいたしまして、私の第1問とさせていただきます。


知事(濵田省司君) 今城議員の御質問にお答えをいたします。
まず、全国に比べ著しく整備水準の低い本県の社会資本の現状につきまして、今後どのように取り組んでいくのかというお尋ねがございました。
本県におきますインフラに関しましては、これまでも国などに対して積極的に政策提言を行いながら、地域の実情に応じた整備に取り組んでまいりました。このことによりまして、四国8の字ネットワークや浦戸湾の三重防護など、その整備は着実に進展をいたしております。しかしながら、四国8の字ネットワークの県内の整備率はいまだに55%にとどまっております。
こういった状況でございますので、産業振興といった県の重要政策をさらに推進していく上でも、本県のインフラは十分に形成されているとは言えない状況でございます。
このたび財政制度等審議会が取りまとめました、令和2年度予算の編成等に関する建議では、議員から御紹介もございましたように、ストックの整備水準が概成しつつあることを考慮すれば、いたずらに量を拡大する状況にはないという形で述べられております。その上で、今後は効率的なインフラの整備、活用を図っていく必要があるといった内容になってございます。
限られた公共事業予算におきまして、効率的にインフラを整備、活用していくといった視点を持つこと自体は必要であります。しかし、一方で整備水準が全国から大きく立ちおくれております本県のインフラは、概成と言うにはほど遠い状況にあると考えております。
今後とも、安定した公共事業予算を確保しながら、未来にわたって地域経済へさまざまな効果をもたらす質の高いインフラを着実に整備していかなければならないと考えております。このため、あらゆる機会を通じて、国などに対しインフラの整備効果、その必要性をしっかりと訴えてまいります。あわせて、国の施策も最大限に活用しながら、これまでのスピードを緩めることなく、インフラ整備に全力で取り組んでまいります。
次に、緊急防災・減災事業債の恒久化を含めた財源確保への取り組みについてお尋ねがございました。
本県では、これまで御指摘がございました緊急防災・減災事業債の制度を活用いたしまして、南海トラフ地震対策行動計画に基づきます防災・減災のための取り組みを加速して進めてまいりました。その結果、県や市町村において津波避難想定区域内にあります庁舎の移転、あるいは津波避難タワーの整備、こういったものが大きく前進をしたところでございます。
しかしながら、庁舎の移転などにつきましては、関係者や連動する事業との調整が必要でございますので、中長期的、計画的に行う必要があるものでございます。本県でも、令和3年度以降に着手となる事業が存在するというふうに見込まれております。このほかにも、取り組みを進めることで新たに明らかになってくる課題もございます。こうしたことから、今後も引き続き防災・減災のための取り組みを停滞させることなく、さらに加速させていくということが重要であると考えております。
こうしたことから、本年度におきましても、緊急防災・減災事業債の恒久化を含みます継続の検討について、全国知事会や南海トラフ地震関連の10県知事会議とも連携をいたしまして、国への政策提言を行っております。
緊急防災・減災事業債は、東日本大震災に係ります復興・創生期間である令和2年度までの時限措置とされておりまして、制度の見直しの時期が近づいております。しかしながら、本県のように高い確率で大規模地震の発生が見込まれております自治体にとりましては、非常に重要な財政支援制度であると考えております。
そのため、これからも引き続き緊急防災・減災事業債の恒久化を含めまして、必要な財政措置が講じられますよう、全国知事会などと連携して大いに訴えてまいります。こうしたことによりまして、南海トラフ地震対策に支障が生じないよう、より一層取り組んでまいる考えでございます。
次に、新過疎法制定に向けて期待される施策についてお尋ねがございました。
国の過疎対策につきましては、これまでの特別措置法などに基づく支援制度によりまして、本県におきましても、例えば産業の振興、生活環境の整備などといった分野で成果を上げてきたものと考えております。一方で、過疎地域では依然として人口減少、少子高齢化が進行いたしております。また、公共交通の減便、商店の閉店などによります日常生活への影響、さらには担い手の減少によります集落機能の低下など、現在でも深刻な状況が続いているところでございます。
こうしたことから、高知県次期過疎対策検討会におきまして、市町村とともに次期過疎対策に向けた提言を取りまとめたところでございます。11月には県と関係市町村長で、県選出国会議員への要望活動を行いました。
新たな過疎対策法の制定に向けましては、引き続き過疎対策の必要性を強く訴えまして、まず過疎対策の対象地域として、いわゆる一部過疎の取り扱いを継続するべきだというふうにこの提言では述べております。あわせまして、議員からお話のありましたように、過疎地域と同様に厳しい状況にあります地域を過疎地域に準じる地域として、必要な支援策が講じられるべきであるというふうに考えております。また、過疎地域などへの支援のあり方といたしまして、地方交付税のほか、過疎対策事業債の財源を十分に確保し、過疎関係市町村の財政基盤を強化することが必要であると考えます。
さらに、本県のように小規模で財政基盤が脆弱な過疎関係市町村を多く抱える県におきましては、過疎対策を進める上で県の果たす役割が極めて重要であります。こうしたことから、新たな過疎対策法において県の役割を明確化するとともに、県に向けた新たな財政措置を求めてまいります。
こうした考え方のもと、令和3年度を初年度といたします新たな過疎対策法が、本県の実情に沿った制度として実現するよう、引き続き提言や要望活動を重ねてまいります。
次に、人口の社会増減の均衡に向けてどのように取り組んでいくのかというお尋ねがございました。
本県の人口の社会減は、かつての全国的な景気回復局面に比べまして2分の1程度にまで改善をいたしておりますけれども、その均衡に向けましてはまだ道半ばという状況でございます。
そのため、次期のまち・ひと・しごと創生総合戦略におきましては、引き続き人口の社会増減の均衡を目指すことといたしまして、その実現に向けて、大きく2つの方向性によって取り組みを強化してまいりたいと考えております。
1つ目は、多くの若者が高知に帰ってくることができるように、あるいは若者が県外に出ず、高知に定住する希望をかなえるようにするということであります。このため、引き続き各産業分野におきまして、地産外商により安定した雇用を創出する取り組みを全力で進めてまいります。特に、各産業分野とデジタル技術の融合をさらに進めまして、新たな製品やサービスの開発を促進いたします。このことによりまして、各産業分野におきます付加価値や労働生産性のさらなる向上に取り組んでまいる考えであります。
あわせまして、若者の雇用の受け皿といたしまして、高知ならではのSociety5.0関連産業群の創出に挑戦をしてまいります。加えて、こうした多様かつ魅力ある仕事が本県にあるということを多くの若者にPRをし、伝えてまいります。さらに、企業の事業戦略づくりを通じまして、経営と両立する形で働き方改革を進めまして、働きやすい魅力ある県内企業をふやしてまいりたいと考えております。
大きな2つ目は、県外からの移住を促進する取り組みであります。このことは、中山間地域などにおきます人材を確保するためにも、取り組みをさらに強化していく必要があると考えております。具体的には、高知家プロモーションと連携をいたしました交流人口、関係人口からの誘導を強化してまいります。また、移住促進・人材確保センターを中心に、関係団体や市町村と連携いたしまして、仕事や住まいの掘り起こしの強化を図りまして、都市部人材とのマッチングを一層進めてまいります。
この大きな2つの方向性のもとで具体の施策のバージョンアップを図りまして、本県の人口の社会増減を均衡させるという目標に引き続き挑戦をしてまいります。
次に、大阪・関西万博をターゲットにいたしました関西経済圏からのインバウンド誘致の戦略についてお尋ねがございました。
私は、この7月まで大阪で勤務をしておりましたが、本当に多くの外国人観光客でにぎわっておりますし、京都など人気の観光地も同じような状況でございます。こうした状況にあります関西圏におきまして、万博を開催するということになりますので、この活況にさらに拍車がかかるというのは明らかだと考えております。
国が示しました2025年国際博覧会検討会報告書におきましても、万博期間中の入場者を全体で約2,800万人、うち海外からは約350万人と見込まれております。こうしたことからも、本県が外国人観光客の誘致を進める上では、万博を含めまして、関西圏からの誘客に取り組むことが大変重要であるというふうに考えております。
このため、来年度のできるだけ早い時期に、関西圏の行政関係の機関や経済界の皆様など、これまで私が築いてきた人脈、経験も活用いたしました検討組織を立ち上げまして、関西圏から外国人観光客を本県に呼び込むための戦略づくりを進めてまいります。
この戦略づくりの中で、例えば関西圏における本県観光の魅力の発信を初めといたしまして、関西圏と高知を結ぶ新たな観光ルートやイベントなどの企画を練り上げてまいりたいと考えております。
こうして練り上げた戦略と、それに基づく具体的な施策によりまして、関西圏、ひいては万博、あるいは大阪で整備が予定されておりますIRからの誘客を目指してまいりたいと考えております。
最後に、県西部の芸術文化環境のレベルアップのための拠点整備についてのお尋ねでございます。
本県の文化振興を図りますためには、多くの県民の皆様に多様な文化芸術に触れる機会を創出することが必要であると考えております。このため、これまでも美術館を初めといたします県立文化施設におきまして、施設の特色を生かした企画展などの内容の充実に努めております。
また、県内各地域に出向いて出前講座などを行いますアウトリーチ活動でございますとか、児童生徒を各館へ招聘いたしますミュージアムバスなど、さまざまな事業に取り組んでいるところでございます。
お話にございました奥谷博先生の作品を展示する美術館につきましても、すぐれた文化芸に触れる機会の一つになるものと考えております。今後、その整備のあり方などにつきましては、宿毛市において検討を行うというふうに伺っております。県といたしましては、その内容もお聞きした上で、どのように連携を図っていくことができるのか考えてまいりたいと思います。
私からは以上でございます。

○土木部長(村田重雄君) まず、公共事業の執行状況と公共事業の円滑な推進に向けた取り組みについてお尋ねがありました。
本年度の土木部の公共工事関連予算は、昨年7月の西日本豪雨による災害復旧工事や、国の3カ年緊急対策に係る事業費などにより、前年比で約1.2倍となっております。
この事業費の増大に伴う発注件数の増加などに起因する入札の不調・不落対策として、難易度が同程度の複数の工事をまとめて発注することで、現場に配置が義務づけられる技術者数の抑制を図るなど、入札・契約制度の大幅な改正を昨年度末に行いました。また、各土木事務所におきましても、管内の建設事業者の手持ち工事量や市町村の発注見通しを勘案しながら、同時期に発注が集中しないように調整するなど、不調、不落の発生要因の逓減に努めているところです。
今年度の不調・不落件数は例年よりも多い状況にありますが、工事の速やかな再発注に努めた結果、予算額に対する契約済み額の割合を示す執行率では、11月末現在で前年同期の執行率を上回っており、これまでの取り組みの効果があらわれていると考えております。
今後とも、災害に強い県土づくりを着実に進めていくため、建設業界の皆様の御意見もお聞きしながら、入札結果の分析と検証、改善に取り組み、公共事業の円滑な執行に努めてまいります。
次に、気候変動による豪雨のさらなる頻発化、激甚化に対して、県管理河川の治水対策にどのように取り組んでいくのかとのお尋ねがございました。
国土交通省は、気候変動による豪雨のさらなる頻発化、激甚化への対応を検討するため、平成30年4月に気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会を設置し、本年10月に気候変動を踏まえた治水計画のあり方の提言を受けております。この提言では、過去の観測データをもとにしたこれまでの治水計画から、将来の予測を活用した治水計画への転換の必要性が示されており、例えば平均気温が2度上昇した場合には降水量が1.1倍程度に変化するなど、今後増大する水害リスクへの対応が求められております。
これを受けて国土交通省では、個々の河川の整備計画の策定に当たって目標とする降雨の見直し方法や、対策メニューの検討を行っているところです。
県管理河川の整備につきましては、まずは現在策定済みの計画に基づく整備を着実に進めながら、国の動向も十分に注視し、気候変動への対応を検討していきたいと考えております。
次に、洪水浸水想定区域図の作成促進が重要と思われるが、現在の取り組みについてお尋ねがございました。
みずからが居住する土地の水害リスクを把握し、いざという場合に適切な避難行動を行うための情報として、洪水浸水想定区域を県民の皆様にお示しすることは大変重要であると考えております。特に、河川の洪水位に比べて地盤が低く、堤防で守られているような土地では、万が一堤防が決壊した場合にその被害も甚大となることから、その必要性が高いと考えております。
そのような河川の中でも流域人口が多く、水位周知河川に指定された河川については、計画規模の降雨による浸水被害に対する洪水浸水想定区域図の作成を実施してきており、平成21年に鏡川、平成22年に国分川、松田川で公表を行っております。また、平成27年に水防法が改正され、1,000年に一度起こるかどうかの豪雨を想定した洪水浸水想定区域図の作成が義務づけられたことから、これに基づく検討を行い、平成29年に宇治川、本年10月に鏡川、国分川で公表しております。残る松田川につきましては、来年度の公表に向けて準備を進めており、その他河川につきましても、近年浸水被害のあった河川などから重点的に作業を実施しております。
次に、危機管理型水位計について、増水や氾濫の危険を市町村や地域住民に対してどのよう
に情報提供しているのかとのお尋ねがございました。
危機管理型水位計は、県民の皆様が洪水時に周辺の河川水位を把握できるように設置したもので、その場所の特性に応じて、道路冠水や宅地の浸水などが発生するおそれのある水位を氾濫開始水位として設定し、その水位までの余裕高を観測しております。現在、避難するタイミングの参考となる氾濫危険水位は設定できておりませんが、今後観測を続け、一定のデータを蓄積した後、そのような水位設定を検討してまいります。
また、危機管理型水位計の情報は、県の水防情報システムとは別の全国統一のシステムである川の水位情報で公開されており、従来の水位計の情報と同じシステムで見られるよう、県のシステムを改修しているところでございます。
さらに、危機管理型水位計の多くは住宅地近くに設置しており、地域の皆様の目にとまりやすいことから、水位計であることの表示や水防情報システムへの接続を促すQRコードを張りつけるなど、利用促進に向けた広報にも取り組んでまいります。
次に、県管理ダムにおける洪水調節機能の強化や異常洪水時防災操作移行時における的確な情報提供と住民への周知についてお尋ねがございました。
本年10月の台風19号では、全国の洪水調節を行った146ダムのうち6ダムにおいて、洪水調節容量を使い切る見込みとなり、ダムへの流入量と放流量を同程度とする異常洪水時防災操作に移行いたしました。
本県においても本年10月の台風18号では、鏡ダムで10月としては異例となる流域平均時間雨量83ミリを観測し、異常洪水時防災操作移行の可能性について高知市などの関係機関に連絡するなど、対応に迫られる状況がありました。幸い、その後天候が回復し、異常洪水時防災操作に移行することはなかったものの、このような状況となりましたのは、洪水に備えてダムの貯水位を低く設定する夏場の時期から外れた出水であったためと考えております。
今回の経験からも、今後はこれまでの常識では想定できない洪水の発生が懸念されますので、ハード整備による洪水調節機能の強化や、洪水に備えるための貯水位設定の見直しなどを早急に検討する必要があると考えております。
また、異常洪水時防災操作移行などの緊急事態が発生した際には、住民へ避難を促すための情報を確実に伝えることが重要と考えます。これまでも関係機関が連携し、ダムからの放流に関する情報の周知について取り組んできましたものの、昨年の7月豪雨やことしの台風19号などを受け、さらなる強化が必要と考えております。まずは、サイレンなどの警報が川の利用者のみならず周辺の住民にも伝わるよう施設改良を加えるとともに、ダム情報のアナウンスの内容を見直すなどの取り組みを進めてまいります。
最後に、第4期南海トラフ地震対策行動計画において、市町村の住宅耐震改修実績の差の原因をどのように分析し、さらなる住宅耐震化促進にどのように取り組んでいくのかとのお尋ねがございました。
県では、これまで耐震診断の無料化、設計費や改修工事費への補助などの需要の掘り起こしにつなげるための支援体制の強化に取り組んでまいりました。また、耐震改修に携わる設計事務所や工務店等の事業者を育成すると同時に、低コスト工法の普及に努めるなど、供給能力の強化にも取り組んでまいりました。
市町村では、国や県の支援制度を活用するとともに、住宅の耐震化をさらに加速するため、戸別訪問などによる耐震化の啓発、住宅所有者の経済的な負担を軽減するための上乗せ補助の実施や、事業者が直接補助金を受け取る代理受領制度の導入などに取り組んでまいりました。
これらの取り組みの結果、第3期南海トラフ地震対策行動計画の目標に掲げた4,500棟を上回る住宅耐震改修が実施できたものと考えております。
一方で、耐震改修の実績には地域差が見られ、実績が少ない自治体では、診断を実施した後、改修設計や工事に進む率が低い傾向が見られ、改修工事を行う住宅所有者の経済的負担の軽減につながる低コスト工法がそれらの地域に十分普及していないことが、その要因の一つと考えているところです。
このため、県では、特に実績の少ない自治体と協力して、低コスト工法をその地域で実施できる事業者の育成に取り組み、診断を受けた住宅所有者が改修工事に進みやすい環境整備に努め、住宅耐震化の促進につなげてまいります。


○危機管理部長(堀田幸雄君) 宿毛市における長期浸水域の住民避難対策についてお尋ねがございました。
南海トラフ地震が発生すれば、宿毛市では最大2.4メートルの地盤沈降によって、宿毛駅の周辺などで約360ヘクタールが長期浸水すると想定をされています。その地域には約8,000人の方がおられ、多くの方が取り残された場合、救出に時間がかかることが大きな課題となっております。
このため、国や県、市などの対策を行う関係機関が検討を行い、堤防、護岸の耐震補強や排水ポンプ車の確保などの止水・排水対策と、避難空間の整備や孤立者情報の把握、救出のための資機材の整備などの住民避難対策について、平成27年3月に取りまとめております。これらの対策を早期に進めるため、平成27年10月に関係機関による連絡会を設置して定期的に開催をし、取り組みの進捗状況や課題を共有するとともに、対応策についての協議を行っています。
これまで住民避難対策として、宿毛市において地域津波避難計画の見直しや避難路の現地点検を行うとともに、新たに整備した35カ所を含む合計95カ所の避難場所を確保しております。
加えて、避難場所で孤立した方への情報提供のための宿毛市防災アプリの導入なども行っております。
さらに、来年度から長期浸水域に取り残された住民を速やかに救出するために、応急救助機関が活動するための拠点や、救出するためのルート、資機材などについて、宿毛市と関係機関が協力して具体的な検討を進める予定です。
一方、住民の皆様にも長期浸水が発生することを踏まえ、適切な準備や行動をとっていただくことが重要です。そのため、長期浸水の発生や救出には一定の時間が必要となることなどについて、宿毛市の広報や自主防災組織の学習会などを通じた啓発を、宿毛市と連携して引き続き行ってまいります。


○水産振興部長(田中宏治君) まず、南海トラフ地震対策における燃油タンクや沈廃船対策のこれまでの取り組み状況と今後の取り組みについてお尋ねがございました。
県では、津波による流出や火災による被害を防止するため、燃油タンクと沈廃船についての対策を南海トラフ地震対策行動計画に位置づけ、取り組みを進めてまいりました。
このうち、まず燃油タンクについては、平成24年度に県内全ての燃油タンク施設の調査を実施し、対策が必要な34基の地上タンクを特定いたしました。これらのタンクについて、地下タンク化やタンクローリー給油への転換により撤去することを基本に取り組みを進めてきました
結果、本年度末までに28基の撤去が完了する予定となっています。
来年度以降に残る6基のうち5基については、令和3年度までに撤去することで既に地元漁協と調整済みであり、残る1基についても撤去後の給油策についての協議を進めております。今後は、地下タンクなどの代替施設の設置に計画的に取り組むことで、早期の撤去完了を目指してまいります。
次に、沈廃船対策については、所有者に自主的に撤去していただくことを基本として、所有者が不明の場合には漁港の管理者である県や市町村が簡易代執行などにより撤去を行ってまいりました。昨年度末までに県管理漁港、市町村管理漁港を合わせて426隻の沈廃船を撤去してまいりましたが、新たな発生もあり、いまだ570隻余りが放置されている状況にあります。
今後は、沈廃船の発生を未然に防ぐため、他県の取り組みも参考にして、漁船登録を抹消する際に、解体や譲渡などの処理が行われたことを確認する手法も取り入れながら、市町村や漁協との連携を一層強化して、早期の撤去に取り組んでまいります。
次に、クロマグロ、ブリの人工種苗の生産技術の確立についての課題と、その解決への取り組みについてお尋ねがございました。
まず、クロマグロ養殖では、国際的な資源管理の一環として天然種苗の受け入れ尾数が制限されたことや、資源の悪化による天然種苗の確保への影響が懸念されたことから、養殖生産を維持・拡大するため、県では平成26年度から人工種苗の生産技術の開発に着手いたしました。
その結果、採卵から種苗生産業者が養殖業者に引き渡す30センチメートルサイズまで育成する技術を確立しており、今後の課題としましては、30センチメートルサイズから、生存率が安定する1歳までの生育状況の確認が残されております。
これまでの取り組みの中では、議員からお話がありましたように、昨年度は7月豪雨や台風接近で産卵や海上での飼育が大きな影響を受け、試験を中止いたしました。また、今年度は4センチメートルサイズの種苗が、水質の悪化と思われる要因で減少しましたが、残った種苗は順調に成長しております。こうした台風などの特殊な要因がなければ、安定的に人工種苗を生産できるものと考えております。
一方で、近年県内のクロマグロ養殖業者は、大型でサイズが均一な天然種苗を一度に大量に確保できる状況となっており、現状では人工種苗の需要がございません。しかしながら、天然種苗の受け入れ尾数が制限される中で、新規参入による生産量の拡大や、トレーサビリティーや資源の持続的な利用への関心が高い海外への輸出拡大等に向けて、人工種苗は必要なものと考えております。このため、先ほど申しました1歳までの飼育試験に取り組むことで、一連の種苗生産技術を確立したいと考えております。
次に、ブリ養殖につきましては、海外への販路拡大を振興の大きな柱に位置づけております。輸出を拡大するためには、クロマグロと同様に、人工種苗が必要でありますことから、県では本年度、ブリ本来の産卵期である4月に採卵して人工種苗を生産する技術を確立いたしました。
一方、北米や中国市場では、本県の出荷サイズであります3キロから5キログラムを上回る6キログラム以上の大型養殖ブリに需要があります。大型の養殖ブリを生産するには、飼育期間が従来より長期化しますことから、餌代などの経費が増加することとなります。そのため、産卵による成長のおくれを避けることで、飼育期間を短縮することができる9月の採卵技術を、県内の民間企業が確立したところです。県としましては、今後9月に採卵した人工種苗を養殖業者へ普及することで、大型の養殖ブリの輸出拡大を推進してまいります。


○地域福祉部長(福留利也君) 効果の上がる高齢者の行方不明対策についてどのように取り組んでいるのかとのお尋ねがございました。
高知県内で昨年1年間に警察が受理した認知症またはその疑いによる行方不明者につきましては、延べ60人となっており、このうち所在が確認された方が43人、警察において死亡が確認された方が4人、その他行方不明の届け出を取り下げた方などが13人となっています。
このような中、県内では高齢者が行方不明になった場合に、市町村、警察、消防などの関係機関や住民が協力をして捜索を行うSOSネットワークの構築など、認知症高齢者の見守り事業に取り組む市町村がふえてきている状況にあります。また、そうした取り組みの中では、行方不明者の行動や位置情報の把握が可能となるGPS機能がついた携帯機器を認知症高齢者の方が常に身につけておくことができるよう、購入費の支援や機器の貸し出しを行う取り組みも行われるようになってきております。
あわせて、県におきましても行方不明者の広域的な捜索体制の強化とさらなる迅速化を目指し、行方不明者の情報が市町村を通じて県に提供された場合、あるいは警察に情報提供があった場合に相互に情報共有ができるよう、警察本部との間で連携を強化するための協議を進めているところです。
さらに、今後はICTを活用した行方不明者の捜索システムの普及に向け、市町村に対して県内外の導入事例の紹介を行うほか、民間企業の最新機器やシステムを実際に使った捜索模擬訓練の実施などを通して、効果的な対策の県内全域への展開を図ってまいります。加えて、国に対しましても、ICTの活用の促進に向けた支援策の創設、拡充などについて提言してまいりたいと考えています。


○警察本部長(宇田川佳宏君) 今後さらに行方不明者の捜索活動の増加が予想される中で、警察犬の確保や体制の強化と、捜索能力向上のためにどのような訓練をしているのかということに関するお尋ねがございました。
警察犬による行方不明者の捜索出動回数でございますが、議員のお話にもございましたとおり、年々増加傾向にございまして、平成30年は58件、本年は11月末現在で既に70件、昨年同期に比べまして19件増加しているところでございます。この70件のうち生命に危険が及んでいる行方不明者を警察犬が発見し、保護に至った事例は4件ございました。
現在、県警察の警察犬の体制につきましては、直轄警察犬2頭と担当者1名、嘱託警察犬7頭と指導手5名により対応しているところでございます。このうち、直轄警察犬につきましては、2頭の同時出動を想定し、来年度から警察犬の担当者を1名増員することを検討しているところであります。
また、嘱託警察犬につきましては、現在日本警察犬協会が犬種としてドイツシェパードなど7犬種を指定しているところでありますが、今後はこれらの犬種以外にも間口を広げて募集することにより、多くの優秀な警察犬を確保してまいりたいと考えているところであります。警察犬の捜索能力向上のための訓練につきましては、足跡追及訓練でありますとか地域捜索訓練などを中心に、直轄警察犬、嘱託警察犬がそれぞれに、また定期的に合同訓練を実施しているほか、直轄警察犬につきましては、大阪府警察や広島県警察が主催する訓練にも参加するなどして、日々能力の向上に努めているところでございます。
県警察では、引き続き行方不明者の捜索や逃走被疑者の捜索に資するべく、警察犬の体制確保や捜索能力の向上に努めてまいりたいと考えているところであります。


○3番(今城誠司君) 執行部の皆さんにはそれぞれ丁寧な御答弁をありがとうございました。
これから令和2年度の予算編成も本格化してまいります。濵田県政がロケットスタートをすることを期待申し上げまして、一切の質問を終わります。ありがとうございました。