平成30年12月定例会一般質問

◆5番(今城誠司君) 皆さんおはようございます。自由民主党、宿毛市・大月町・三原村選挙区選出の今城誠司でございます。議長のお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問を行わせていただきます。
 最初に、知事の政治姿勢についてから順次質問に入らさせていただきます。
 初めに、緊急防災・減災事業債制度の恒久化についてお伺いをいたします。平成23年度3次補正より設けられた緊急防災・減災事業債制度は、全国的に緊急に実施する必要性が高く、即効性のある防災・減災のための事業のうち、住民の避難、行政・社会機能の維持及び災害に強いまちづくりに資する地方単独事業を対象に、地方債充当率100%、交付税算入率70%と手厚い財政措置のある制度であります。平成29年度地方債計画において、緊急防災・減災事業債は対象事業を拡充した上で、東日本大震災に係る復興・創生期間である平成32年度まで継続が決定をしているところであります。
 この制度を活用し、地震による死者数を限りなくゼロに近づけていくために、地震による揺れや津波から命を守る対策を最優先とし、避難路・避難場所は一定のめどが立つ状況まで整備が進むことができております。制度の期限が再来年度と迫る中で、津波浸水区域内にあり、地域防災計画上、また津波対策の観点から移転が必要とされる公共施設及び公用施設の移転計画の議論が進められている市町村も複数あります。
 財政力の非常に弱い本県の市町村にとっては、防災上課題のある庁舎の移転については、通常は全額単独事業での負担でありますが、緊急防災・減災事業債制度を活用することにより、有利な起債を充当することが可能となります。市町村では庁舎の移転について、この制度を活用し、その制度の期限内での整備完了に向けて、非常に厳しいスケジュールで取り組みが行われているところであります。
 地方自治体が計画的に、さらに防災対策に取り組むことができるように、緊急防災・減災事業債制度の恒久化が必要と思われますが、どのように取り組んでおられるのか、知事にお伺いをいたします。
 次に、交付金の個別補助化についてお伺いをいたします。公共事業関係の補助金は、従来、国が対象事業や配分額を個別に決めて、ひもつき補助金と呼ばれたように、中央官庁が自治体に使途を細かく指定する仕組みでありました。行財政改革を進める自民党小泉内閣が2004年度にまちづくり交付金を創設し、以後地方にとって自由度が高く、創意工夫を生かせる制度として、社会資本整備総合交付金、防災・安全交付金を創設してきた経緯があります。交付金事業は、個別の事業を対象とする補助金と異なり、受け取った自治体が使途を比較的自由に決めることができ、地方の創意工夫を生かせる制度として評価をされてきました。
 一方で、2014年10月の財政制度等審議会財政制度分科会において、財務省は社会資本整備総合交付金や防災・安全交付金について、費用対効果を事前に検討せず、都道府県の約4割がインフラの維持管理・更新費用を把握していないなど問題点を指摘。国土交通省は、制度創設時にはなかった、自治体による重点計画の策定と国としての配分の考え方の例示や、国による整備計画の望ましい目標例の提示など4項目について、2016年度から運用の見直しが行われているものの、計画的、集中的な支援が困難であるほか、国が意図する計画的な事業進捗が図れないといった課題があるとされております。従来の交付金による支援から、国の個別補助による計画的、集中的な支援に切り出そうとしており、かつての地域の自主性を高める方向で進められた公共事業の補助金改革と逆行する動きとなっております。
 地震や台風などの自然災害が頻発し、防災対策費用の膨張が予想される中、個別補助化による重点配分で予算の総額抑制に狙いがあるとも言われております。この交付金事業の個別補助化について、どのように評価をされているのか、知事にお伺いをいたします。
 次に、四国8の字ネットワークの整備促進についてお伺いいたします。11月17日に、県西部で最後に残った交通の難所であります、片坂バイパスが開通いたしました。幡多地域の住民にとって長年の夢である高速道路の延伸が、また大きく前進することができました。これまで知事を先頭に、県政の重要課題として整備促進に積極的に取り組んでいただいた成果として、知事を初め関係者の御尽力に感謝する次第であります。
 しかしながら、窪川佐賀道路の佐賀工区については、工事が順調に着手され進捗しておりますが、窪川工区については、今年度からやっと一部用地買収に着手したとお聞きをしております。四国横断自動車道へ幡多地域が直結される日は、まだ10年近くかかるのではないかと推測されます。
 県内では、四国8の字ネットワークの事業化されていない区間も多数残されておりますが、財務省の財政制度等審議会財政制度分科会では、これまで過去にインフラ整備を着実に進めてきた結果、バブル景気の30年前の整備水準と比較しても、高速道路、新幹線、空港、港湾、生活関連施設等の社会資本の整備水準は大きく向上しており、社会インフラは概成しつつあると評価をされ、今後の社会資本整備に当たっては、将来人口や交通需要の減少も見据え、量の観点から新規採択を厳選することとし、質の観点から社会インフラの長寿命化を図りながら、既存ストックを最大限活用していくことが重要であると建議されております。
 地方の高速道路の必要性、ミッシングリンクの解消の必要性をどのように理解していただき、この四国8の字ネットワークの早期整備促進についてどのように取り組んでいかれるのか、知事にお伺いをいたします。
 次に、産業振興計画のバージョンアップについてお伺いをいたします。尾崎知事の提唱した産業振興計画も、スタートして節目の10年を迎えようとしております。これまでの成果により、生産年齢人口がさらに減少する中でも、1人当たりの県民所得や労働生産性、現金給与総額という各種経済指標が全国を大きく上回るペースで伸び、先日発表された10月の有効求人倍率についても1.32倍と過去最高を記録し、これまでにない水準で推移が続いており、その成果をしっかりと実感できる状況となっております。
 最終的に出生率の向上にまでつながっていくかが課題でありました。合計特殊出生率については、平成27年に1.51であったものが、平成28年には残念ながら1.47に後退してしまいましたが、昨年度は1.56となり0.09ポイントの上昇で、全国1位の上昇率を記録しており、平成31年の目標値1.61の達成も大変期待できる状況となっております。それぞれの施策群によりまして、その好循環の流れに乗る状況にまで来ていると大変評価をしております。
 来年度、知事3期目の集大成としての第3期産業振興計画のバージョンアップに対してどのように取り組んでいかれるのか、知事にお伺いをいたします。
 次に、災害への対応について。
 初めに、避難率向上についてお伺いをいたします。7月豪雨で、宿毛市においては観測史上最大の時間雨量108ミリ、3時間の累積雨量が263ミリの記録的な豪雨となりました。宿毛市内全域に避難指示が発令をされ、前日からの開設も含めて14カ所の避難所を開設し、地区で自主開設をした避難所を含めて17カ所において、計147人が避難をしたと報告をされております。
 避難指示の対象人口2万677人に対して、避難率0.7%程度にとどまっており、過去3年間のデータにおいては最も高い避難率でありましたが、危険度が伝わっていない結果となっております。急激なゲリラ豪雨であったため、避難所へ避難することが難しい面があったとはいえ、避難指示が実際の避難行動に結びつかない結果となっております。
 広島県では7日の早朝の時点で、避難対象が約187万人のうち、実際に避難したのは最大で約1万7,000人、避難率0.9%にとどまっております。倉敷市では、真備町地区で亡くなった51人のうち、8割以上が屋内で見つかっており、逃げおくれがその原因と見られております。
 人はなぜ逃げおくれるのか、災害などで目の前に危険が迫っても、正常な日常生活の延長線上の出来事と捉えて、自分は大丈夫、まだ大丈夫、どうせ大したことないなどと考えてしまう人間の心理的傾向を正常性バイアスと言われており、東日本大震災でも多くの犠牲者の発生につながった原因となっております。さらに、避難勧告や避難指示は空振りに終わることが少なくなく、それになれてしまい、避難につながらないケースも見受けられます。
 避難勧告や避難指示を的確に避難行動に結びつけるために、どのように取り組んでいかれるのか、危機管理部長にお伺いをいたします。
 次に、異常気象時道路通行規制についてお伺いをいたします。今回の7月豪雨において、大月町でマグロ養殖に従事する若者が、豪雨の中、職場に向かう途中で行方不明になり、数日後橘浦漁港内で発見をされ死亡が確認されました。通勤時の海岸線の県道沿いは記録的な豪雨に見舞われており、複数の箇所で土砂崩れが発生し、巻き込まれた可能性もあるとされております。
 大雨や台風などの異常気象時に道路利用者を災害から守るため、道路の通行を一時的に規制する異常気象時通行規制が運用されております。この通行規制基準は、道路周辺の状況と気象の状況--時間降雨量、連続雨量を基準として、異常気象時における事故を未然に防止することができるように、区間ごとに定められております。残念ながら、今回被災したこの県道については、指定された区間となっておりませんでした。
 通行規制ができるような時間的な余裕もない、今回の突発的豪雨でありましたが、道路利用者に日ごろからその区間が危険な箇所の多い区間であることを認識してもらうためにも、規制区間の指定については効果があると思われます。
 異常気象時通行規制区間の指定及び運用についてどのように取り組んでおられるのか、土木部長にお伺いをいたします。
 次に、林地荒廃の被害への対応についてお伺いをいたします。7月豪雨により、本県を初め西日本の広域で山腹崩壊、土石流による甚大な災害が発生いたしました。県内の林業被害は、林野庁のデータによりますと、11月7日現在、県内において合計563カ所、241億2,600万円余りに上るとされ、中でも一番多いのは山腹崩壊等の林地荒廃の被害が136カ所、195億3,700万円と報告されております。自然災害では過去最大規模の災害となり、復旧には相当な時間がかかるとされております。
 林道、治山施設等については、順次国による災害査定により復旧工事に着手されますが、民有林の山腹崩壊等の林地荒廃については、倒木処理や植林、治山ダム設置といった復旧工事を公費で行うには、保安林への指定が必要であり、全ての所有者の同意が必要とされ、時間を要することが予想されております。
 このような過去最大規模の林地荒廃の被害に対して、今後どのように迅速かつ計画的な復旧に取り組んでいかれるのか、林業振興・環境部長にお伺いをいたします。
 次に、養殖魚への影響が懸念される林地荒廃対策についてお伺いをいたします。大月町沿岸部においても、花崗岩が風化により真砂化し、多量の降雨によって流出したと考えられる山腹崩壊が多数発生しました。クロマグロ養殖漁場に隣接する箇所でも複数の山腹崩壊が発生し、海岸に崩落した土砂が堆積した状態となっております。その後、9月30日に台風24号の通過に伴い、山腹崩壊箇所から土砂の流失により海面に濁りが発生し、隣接するマグロ養殖いかだ付近に滞留し、出荷対象魚への被害が発生する事態となりました。
 今後においても、台風及び豪雨等により大量降雨があった場合には、その都度、マグロ養殖魚への被害が再発するおそれがあり、その漁場での養殖事業の継続にかかわる課題となっており、その対応が求められております。
 この養殖魚への影響が懸念をされる林地荒廃について、どのように計画的に復旧に取り組んでいかれるのか、林業振興・環境部長にお伺いをいたします。
 次に、排水ポンプ車の導入についてお伺いをいたします。今回の7月豪雨は、宿毛市においては観測史上最大の大雨が降ったわけでありますが、中小河川の越水により市街地への流入が重なり、排水機場の排水能力を超えたことより、市街地の広範囲での床下浸水が発生し、一部床上浸水の被害となりました。また、9月13日には秋雨前線の影響により、宿毛市東部の中筋川流域で国道が冠水し全面通行どめとなり、沿線で多数の家屋の浸水被害が発生をしております。
 これまでの河川整備計画による取り組みにより、外水氾濫は辛うじて回避している状況でありますが、増加傾向にある集中豪雨、ゲリラ豪雨などにより、下水道などの排水処理能力を超える流入により、県下各地で内水氾濫が多く発生をしている状況であります。排水機場の新設、増強による排水能力の向上には多額の予算が必要となり、財政的に早期の整備を期待できる状況とはなっておりません。
 このような中、国土交通省ではトラックベースの車体に排水ポンプ、発電機、ホース、燃料等、排水に必要な機材を全て搭載し、水害の発生現場に機動的に出動することが可能な排水ポンプ車の配備が進んでおり、全国各地でその効果が実証されております。さらに、南海トラフ地震宿毛市長期浸水対策資料によりますと、宿毛市では排水機場が耐震、耐水、停電対策を満たす施設は現在のところなく、全て排水ポンプ車等に頼ることになっております。応援が期待をできる中村、大洲両河川国道事務所の9台のポンプ車が稼働しても、排水に10日間を要すると想定されておりますが、県が排水ポンプ車の導入をすることにより、さらに排水能力が拡充をされ、広域かつ機動的に運用が可能となります。
 全国的にも地方自治体が排水ポンプ車を導入する事例もふえてきている状況でありますが、本県でも機動的な排水対策としての排水ポンプ車の導入の必要性及び市町村の導入に対する支援策について御所見を土木部長にお伺いいたします。
 次に、渓流の土石流対策についてお伺いをいたします。7月の豪雨では、本県では初めてとなる大雨特別警報が県西部に発令されました。記録的な豪雨により、宿毛市、大月町において土砂災害が多発し、土砂が下流に大量に流れ、河積を阻害した結果、渓流や河川が氾濫し、住家の浸水被害へとつながっております。
 大月町橘浦地区においては、小河川の河道の埋塞に伴って住家に床上浸水が多数発生し、大量の土砂が家屋に堆積することになってしまいました。たくさんの自衛隊員の皆さん、ボランティアの皆さん、建設業者の皆さんの手によりまして、現在では土砂の撤去は完了し、河積については確保された状況となっております。しかしながら、渓流上流には崩壊地もあり、豪雨のたびに土石流の発生が住民の間で大変心配をされております。
 抜本的な対策としては、砂防堰堤の整備が最も効果的な対策であると考えておりますが、7月豪雨によって著しく荒廃した渓流における砂防堰堤等の整備の必要性についてどのようにお考えか、土木部長にお伺いをいたします。
 次に、災害に強い職員の育成についてお伺いをいたします。これまで激甚な災害に見舞われた経験を踏まえて、災害対策として災害救助法、被災者生活再建支援制度、災害等廃棄物処理事業、その他被災者支援に関する各種制度の充実が図られております。災害が発生した場合において、迅速かつ的確な災害対策を行うことができるかどうかは、これらの各種救済制度を習熟した人材の資質によるところが大きいと言われております。
 地方自治体は、発災後の住民支援や災害復旧業務を正確かつ迅速に遂行できるように、平時から備えておく必要があり、今回の豪雨災害対応について反省点の一つとして、職員の各種制度の習熟不足を挙げている自治体もあります。また、過去の災害対応経験は、将来的な自然災害の発生時においても有用となる場合が多く、災害対応経験を可能な限り次世代の職員へ引き継いでいくことが必要とも言われております。
 県として、災害に強い職員の育成について、市町村の危機管理職員の能力向上も含めてどのように取り組んでおられるのか、危機管理部長にお伺いをいたします。
 次に、公共工事の平準化について。
 初めに、公共工事平準化率についてお伺いをいたします。今定例会においても、公共工事の端境期対策の予算が計上されており、建設業の活性化についてさまざまな取り組みを展開していただいております。国においても、6月15日に閣議決定をされた、経済財政運営と改革の基本方針2018において、公共工事における徹底した効率化と担い手確保を挙げて、年度を通じた平準化の取り組み推進に向け、数値目標の設定を促し、こうした取り組みによって人材確保、稼働率の改善を推進するとともに、コスト低下の実態を国及び地方の積算単価に段階的に反映するとされております。
 国土交通省は、数値目標の設定を地域発注者協議会の場で地方自治体に働きかけるとされ、同協議会が全国統一指標として活用をされているのが平準化率となっております。平準化率とは、4月から6月の平均稼働状況と年間平均稼働状況の比率で、数字が高いほど平準化が進んでいる状況となっております。
 これまで端境期対策の成果として、いろいろな数字が提示をされておりますが、本県の公共工事の平準化率についてどのように評価をしているのか、また数値目標をどのように設定して取り組んでおられるのか、土木部長にお伺いをいたします。
 次に、平準化の市町村への周知についてお伺いをいたします。平成28年度の全国平均の件数ベースの平準化率については、国土交通省が0.8、都道府県が0.7、政令市が0.6、市町村が0.5となっており、市町村は平準化の浸透が著しくおくれている状況が指摘をされております。
 市町村のおくれている公共工事の平準化への取り組みについて、県としてどのように周知徹底に取り組んでおられるのか、土木部長にお伺いをいたします。
 次に、宿毛佐伯フェリー航路について。
 初めに、宿毛佐伯フェリー航路の再開に向けてお伺いをいたします。この航路については、昭和46年9月から宿毛観光汽船が宿毛-佐伯間にフェリーを就航し、1日6便の運航でスタートいたしました。昭和49年には年間旅客数がピークとなる28万7,000人を記録しましたが、長引く景気の低迷による利用客の減少が続き、平成14年には14万5,000人とピーク時の半分にまで減少し、年々業績が悪化。金融機関からの借入金に対して宿毛市が損失補償を実施し、経営のてこ入れを図りましたが、平成16年1月26日、宿毛観光汽船は自己破産いたしました。
 平成16年12月15日に、大分県の物流会社ほか4社が出資をする宿毛フェリーが設立をされ、従前の2隻体制から、航路の状況を見きわめて1隻で1日3便に運航を縮小し、航路が再開となりました。運航経費に対する公的な補助金は、最大で欠損金の3分の2、2,000万円を上限に、欠損金やドック費用などに対して補助をしておりましたが、事業者側の経営方針によりまして、平成25年までで補助金は不要となりました。
 昨年の利用実績は、年間旅客数4万2,000人、トラック5,486台、乗用車1万2,580台、1日当たりトラック15台、乗用車49台、1便当たり8.1台と、自動車の積載率は平均で25%程度にとどまっている状況でありました。10月19日には突然運航を休止し、海上社員は全員解雇され、事業者役員と連絡のとれない状況となり、11月28日に事業者代表取締役は宿毛市を訪れ、運航再開の意向を示しているとお聞きをしております。
 運航再開には、燃料代不払いによる船体の仮差し押さえ、定期検査費用の負担、検査施設の確保、海上社員の確保等、課題が多く残されている状況の中で、現事業者の宿毛佐伯フェリー航路の再開の可能性についてどのように評価をされているのか、中山間振興・交通部長にお伺いをいたします。
 次に、宿毛佐伯フェリー航路存続についてお伺いいたします。この航路は、四国西南地域と九州とを結ぶ重要な航路として、海上の国道に近い役割を果たし、地域の産業発展、観光振興に大きな役割を果たしてまいりました。使用船舶も著しい老朽化が進み、八幡浜起点の航路への利用者移転がとまらず、経営環境的には厳しい状況に置かれております。
 この航路の存続には、公的補助金がなくして経営の維持は不可能であり、その負担については関係自治体の理解も得られると思われます。新たな事業者の模索についても検討に入り、この県内唯一の県外とのフェリー航路であります宿毛佐伯フェリー航路の維持について、どのように取り組んでいかれるのか、中山間振興・交通部長にお伺いをいたします。
 次に、公共施設の高台移転について。
 初めに、出先機関の高台移設についてお伺いをいたします。予想される南海トラフ地震発災時、土木部の出先機関において、事務所機能が全て失われ、業務継続を図ることができないと想定されていた幡多土木事務所土佐清水事務所が、7月に海抜34メートルの高台に土佐清水漁業指導所との合同庁舎が完成し、9月18日より新庁舎での業務が開始をされました。残る、移転が必要とされる幡多土木事務所宿毛事務所については、今年の2月定例会において、事務所単独での移転を検討するのではなく、宿毛市内の他の行政機関と連携を図り、移転に向けた検討を進めるとされておりました。
 宿毛市では、市庁舎建設審議会において議論を重ね、さきの9月定例会において特別多数議決により高台移転を可決し、大きく計画が前進することができました。緊急防災・減災事業債を活用し、来年6月から造成工事に着手、緊急防災・減災事業債を活用できるまでの間の完成を目指す計画がスタートしたところであります。広さは約4ヘクタールあり、現在のところ市役所庁舎、統合保育園の建設とヘリポートを含めた広場整備が予定をされております。この広場については、関連機関とのスムーズな連携を視野に入れた、他機関への売却の検討も行っているとお聞きをしております。
 移転を必要とする宿毛事務所の将来の予定地として、この計画に参画し、造成後に用地を確保することが必要と思われますが、県として宿毛市の公共施設高台移転計画に対して、どのように協調して取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、宿毛警察署の高台移転についてお伺いをいたします。7月豪雨災害においては、愛媛県の大洲警察署は約2メートルの浸水被害により執務室も浸水し、車両15台が水没したとお聞きをしております。宿毛警察署においても、市街地の浸水によりパトカーの出動ができない状況があったとされております。数十センチの浸水でも警察署の機能が低下するわけでありますが、南海トラフ巨大地震時には、宿毛市においては広域地盤沈降により長期浸水が559ヘクタール発生し、現在の状況では浸水解消に40日と長期間となることが想定をされており、災害時に住民の生命と財産を守るためにも、浸水リスクができるだけ低いところへの移転が望まれております。
 本県と同じように、南海トラフ巨大地震で被害が想定をされている和歌山県では、警察署の高台移転について順次取り組みが進んでおり、既に白浜警察署、新宮警察署は高台への移転が完了しております。平成17年に新築をされた串本警察署については、海上保安署、町立病院、県串本建設部等が立地をする災害対策用地に、災害時に拠点となる代替指揮所を整備されており、発災時にはこの指揮所で災害警備本部を立ち上げる計画となっております。
 本県において、高台移転も視野に移転の検討を進めている宿毛警察署について、宿毛市が整備を決定し取り組んでいる高台用地を確保し、移転計画を進めることが必要と思いますが、警察本部長の御所見をお伺いいたします。
 次に、ヒノキA材の積極的な活用についてお伺いをいたします。
 県内の製材事業体においては、住宅の多様化、出口の見えない需要の低下、さらに後継者もいないという先の見えない状況にあります。西部・高幡地区は四万十ヒノキに代表されるように、四国でも有名なヒノキの一大産地となっており、製材業者のほとんどがヒノキを製材している状況であります。しかしながら、県内の公共建築物については、設計書において杉と樹種の指定があり、杉の役物については県内で製材しているところが非常に少なく、納材業者の方は大変苦労しており、ヒノキなら簡単に県内で集めることができるので、少しでもヒノキに変更できたらと、要望が多いとお聞きをしております。
 ヒノキA材にしっかりとした需要をつくり、適正な価格で取引されることで素材生産業者の意欲の向上、山の価値を高めることにもつながり、杉とヒノキを適材適所に使用した高知スタイルの確立が、県下で製材業が長年培ってきた技術や伝統を守り、次世代につながると思われます。
 ヒノキA材の積極的な活用についてどのように取り組んでおられるのか、林業振興・環境部長にお伺いをいたします。
 最後に、沖の島における漁業用燃料の供給体制の維持についてお伺いをいたします。
 沖の島は、宿毛市の片島港より海上約24キロに位置し、厳しい地理的条件のもと、人口減少や高齢化が著しく進んでおり、人口は約180人の有人離島であります。離島であることによる不便さや生活不安などによる社会減、自然減により、人口減少は著しく進み、今後もこの状況が続くと、近い将来集落を維持することが困難になることも予想されております。
 電気、水道のライフラインは確保されておりますが、漁船用の燃料については、以前は愛媛県の業者が小型タンカー船で運搬し、漁協のスタンドで販売されておりましたが、その採算性の悪化により、その業者が事業から撤退いたしました。すくも湾漁協がその小型タンカー船を事業者より譲り受けて、燃料の供給、販売を継続し維持している状況であります。しかしながら、この小型タンカー船の著しい老朽化により、いろいろなところで故障が多発しており、先日も配管の損傷により運航が停止し、島への燃料供給が一時ストップするなど、支障が生じております。
 小型タンカー船の新造船は多額の費用を要し、離島という条件不利地域における漁業活動に不可欠な燃料の供給に対して、どのように支援をされていかれるのか、水産振興部長にお伺いをいたしまして、第1問といたします。
   (知事尾崎正直君登壇)



◎知事(尾崎正直君) 今城議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、緊急防災・減災事業債制度の恒久化への取り組みについてお尋ねがございました。
 緊急防災・減災事業債は、東日本大震災を教訓として、喫緊の課題である防災・減災のための地方単独事業を全国レベルで早急に進めることを目的に平成23年度に創設され、本県におきましても、津波浸水想定区域内にある市町村庁舎の移転や津波避難タワーなどの整備に活用することによりまして、南海トラフ地震対策を大いに加速してきたところであります。
 仮に、この制度がなくなった場合には、南海トラフ地震の発生が刻々と迫りくる中、まだまだ対策を進めなければならないにもかかわらず、そのための対策が大きく減速しかねないこととなります。このため、終了予定となっておりました平成28年度当時には、私自身も大きな危機感を持ちまして、関係する他県を巻き込み、全国知事会としての連携を形づくりながら関係各省に強力に訴えたところでありまして、これも一助となったかとは思いますが、結果として制度の延長が実現されたものでございます。
 南海トラフ地震対策につきましては、現時点でもまだまだやるべきことが数多く残されておりますし、また議員のお話にもありましたように、庁舎の移転など中長期的、計画的に行わなければならない事業もございます。このため、本年度におきましても、全国知事会や10県知事会議とも連携をして、国への政策提言を行ったところであります。引き続き、緊急防災・減災事業債の恒久化を含め、必要な財政措置が講じられますよう、全国知事会などとも連携しながら訴えてまいりたいと考えております。
 次に、交付金事業の個別補助化についてお尋ねがございました。
 交付金事業につきましては、地方の判断により、地域地域で必要な事業への投資が可能であるなど、地方にとって自由度が高く、創意工夫を生かせるものであると考えております。
 近年、交付金事業では国が意図する計画的、集中的な支援が困難であるといった課題があることを踏まえ、国において、防災・減災対策など優先的に取り組むべきと考える事業について、個別補助化を行う動きがあるところでございます。財源が限られている中で、防災・減災対策のような喫緊の課題に対応し、国の施策の計画的な推進を図るために、個別の補助金を一部において活用することは理解できますが、他方で、地方の裁量を狭め過ぎることのないよう注視しなければなりません。あわせて、予算総額についてもしっかりと確保されることも非常に重要であります。
 今後とも、これらの点を注視し、必要に応じて全国知事会などとも連携しながら、国への政策提言を行っていきますとともに、各種交付金を有効に活用し、南海トラフ地震対策や豪雨対策などを着実に進めてまいりたいと考えております。
 次に、四国8の字ネットワークの早期整備促進について、どのように取り組んでいくのかとのお尋ねがありました。
 四国8の字ネットワークは、商業圏域の拡大や交流人口の増加など、本県の産業振興に大きな効果をもたらすとともに、南海トラフ地震を初めとする災害発生時には、円滑な救援活動や物資輸送を可能とする命の道として、本県にとりまして不可欠な社会資本でありますことから、これまでも県政の重要課題の一つとして位置づけ、県議会や市町村の皆様と一体となって、その整備促進に積極的に取り組んでまいりました。
 その結果、11月17日には片坂バイパスが開通をし、四国8の字ネットワークの整備率が55%にまで伸びました。さらに、来年度に全線開通が予定をされております中村宿毛道路や、再来年度に全線開通が予定されています高知南国道路が開通することにより、整備率は61%となり、四国8の字ネットワークの完成に向け一段と前進することとなります。
 一方、未事業化区間においては、11月に阿南安芸自動車道の徳島県牟岐町から東洋町野根の区間を都市計画決定し、野根から北川村安倉の区間では、社会資本整備審議会道路分科会四国地方小委員会において、ルート帯案が妥当であると判断をされました。また、四国横断自動車道の宿毛市から愛媛県愛南町内海、阿南安芸自動車道の奈半利町から安芸市の区間では、計画段階評価の手続の一つである、2回目の住民などへのアンケート調査が10月に行われておりまして、新規事業化に必要な手続が着実に進んでいるところであります。
 しかしながら、本県におきましては、全国に比べると高速道路の整備率は依然として低く、財政制度等審議会が11月に取りまとめた、平成31年度予算の編成等に関する建議に盛り込まれている、社会インフラは概成しつつあると言える状況には、現時点では到底至っていないものと認識しております。このため、移動時間の短縮による地域の特産物の販路拡大や県外観光客の増加、地震、台風などの自然災害の影響を受けない代替路の確保など、開通によってもたらされる効果を具体的に示しながら、国などに対しまして、整備の必要性を訴えていかなければならないと考えております。
 引き続き、四国8の字ネットワークの整備促進に向け、未整備区間を抱える本県の知事として、また全国高速道路建設協議会の会長として、高速道路のミッシングリンクを抱える他県の知事とも連携し、積極的に政策提言を行ってまいりたいと考えております。
 次に、第3期産業振興計画のバージョンアップにどのように取り組んでいくのかとのお尋ねがございました。
 産業振興計画による地産外商の取り組みも本年度で10年目を迎えました。この間、官民協働、市町村との連携・協調のもと、多くの方々が新たにチャレンジをされた結果、本県は、人口減少に伴って縮む経済から拡大する経済へと、構造転換を果たしつつあるものと捉えております。この拡大傾向を5年後、10年後、さらにその先の将来にわたって確かなものとし、多くの若者が地域地域で住み続けられる高知県を目指す、そのことがこれからの産業振興計画で取り組む最大のテーマであり、また出生率の向上のためにも必要不可欠なことだと思っております。
 そのため、まずは第3期計画に掲げた各分野の目標を確実に達成することが重要であり、PDCAサイクルにより、必要な施策をさらに強化してまいります。中でも、現下の成長の壁であり、一層深刻化しております人手不足、後継者不足にスピード感を持って対応していかなければなりません。このため、本年度に大幅に強化した、経営と両立する形での働き方改革の促進や、移住促進策とも連携した担い手の確保、大学生など新規卒業者の県内就職の促進に向けた施策群を、より実効性の高いものへと改善を図りながら、全力で取り組んでまいります。
 加えまして、本県経済を将来にわたり持続的に発展させるという観点から非常に重要なこととして、新たな付加価値を絶えず創造し続けていく、この仕組みを充実させていくことが非常に重要だと考えております。これまでも、土佐まるごとビジネスアカデミーやこうちスタートアップパークといった人材育成事業や、さらに起業促進事業、さらにIoT技術の導入などにより、第1次産業の生産性向上などを図る課題解決型産業創出などに取り組んでまいりましたが、来年度はこうした新たな付加価値を生み出す仕組みをさらに充実させていきたいと考えております。
 具体的には、次世代型こうち新施設園芸システムをNext次世代型に進化させるプロジェクトや、漁場の予測などの漁業のIoT化などのように、AIやIoTなどの新しい技術と産業分野との融合を図る取り組みをさらに進め、おのおのの飛躍的な発展を図るとともに、関連産業群の集積にもつなげていけるよう仕組んでいきたいと、そのように考えています。
 また、来年2月からは、新たな自然・体験型観光キャンペーンがスタートをします。このキャンペーンは、中山間地域における新たな付加価値創造を促す仕組みでもあります。このため、本県の強みである自然を生かし、さまざまな滞在・体験メニューとしてさらに磨き上げ、県内全域に広げてまいりたいと考えております。
 こうした大きな方向性のもと、引き続き関係の皆様のお知恵も賜りながら、さらに議論を重ね、来年度のバージョンアップへとつなげてまいりたいと考えております。
 最後に、宿毛市の公共施設高台移転計画に、県としてどのように協調して取り組んでいくのかとのお尋ねがありました。
 南海トラフ地震による津波の想定において、浸水により事務所機能が全て失われ、業務継続が不可能となる2つの土木事務所のうち、土佐清水事務所の高台移転が本年9月に完了しましたことから、残る移転が必要な土木事務所は宿毛事務所のみとなっております。現在、宿毛事務所の移転先の検討に当たって、津波浸水地域でないことや、必要面積が確保できること、また災害時における活動拠点として事務所の機能が発揮できるといった要件を念頭に、これらに合致する土地の選定を進めているところでございます。
 宿毛市からは、9月市議会で市役所の高台移転が議決されました後、市長が御来庁され、利便性の向上や防災拠点としての機能を高めるため、市役所が移転先とした高台を、宿毛事務所の移転先の候補地として検討するよう御提案をいただいております。
 宿毛事務所が業務を円滑に進めていくためには、市役所を初め他の行政機関との連携は重要な視点となってまいりますので、御提案をいただいた高台も有力な候補地として検討してまいりたいと考えております。
 私からは以上でございます。
   (危機管理部長酒井浩一君登壇)



◎危機管理部長(酒井浩一君) まず、避難勧告や避難指示を的確に避難行動に結びつけるための取り組みについてお尋ねがありました。
 避難勧告や避難指示が発令された際には、避難所へ避難することに加え、その状況に合わせて近隣のより安全な建物や知人の家への避難、自宅2階への垂直避難といったことも避難行動ということになります。
 7月豪雨では、宿毛市を初め各地域においても、状況に合わせて垂直避難などの避難行動をとった方もある程度いただろうと考えられますが、避難所へ避難した人数が少ないことは事実だと考えております。この原因としては、自分は大丈夫だと考える正常性バイアスが働いたことや、避難行動への負担感、いざとなれば2階に逃げられるとの考え、過去の被災経験などをもとにした判断、居住地の災害リスクを理解していないこと、避難所の環境問題などが考えられます。
 7月豪雨を初め、近年は急激に強くなるゲリラ豪雨が頻発しており、県では、9月に設置した豪雨災害対策推進本部において、このような大雨に対する避難などの対応についての検討を始めております。その一環として、11月に県内市町村を対象に、7月豪雨などにおける避難に関するアンケート調査を実施し、その結果を踏まえて、対策の方向性を3点取りまとめたところです。まず1点目、河川の水位計の増設などの防災情報を充実、2点目、防災情報提供アプリの開発導入などの情報伝達手段を強化、3点目、啓発・広報活動を一層推進として、さまざまな対策を多角的に実行することで、避難勧告や避難指示が発令された際における県民の皆様の避難行動につなげていきたいと考えております。
 こうした避難行動を促すための取り組みを強化するとともに、豪雨災害対策推進本部の中で、さらに検討を深めてまいりたいと考えております。
 次に、災害に強い職員の育成についてお尋ねがありました。
 災害発生後に被災者の皆様を支援することや災害復旧業務を、迅速かつ的確に実施するためには、各種制度のほか、災害時における組織や個人レベルでの対応など、実際の活動を行う上で必要となる知識や対処力を職員に身につけてもらうことが不可欠だと考えております。このため県では、研修により平時から、県職員はもとより、市町村職員も含めた人材育成に取り組むとともに、総合防災訓練などさまざまな実践的な訓練を重ねているところです。
 研修につきましては、内閣府や消防庁などが主催する研修を計画的に多くの職員に受講させるとともに、各市町村長などを対象としたトップセミナーの開催、市町村職員を対象とした災害対応研修の開催などに毎年継続して取り組み、専門知識の習得が進んでおります。
 また、訓練につきましても、毎年、総合防災訓練のほか、災害対策本部訓練、5つの地域本部ごとに管内の市町村職員も参加しての支部訓練、さらには孤立地域対策訓練や物資輸送訓練など、さまざまな専門能力を養成するための訓練を行っております。
 他方、人材育成として実践にまさるものはなく、東日本大震災や熊本地震、7月豪雨などで被災した他県や県内の自治体に対して、職員派遣を行い、応急対応や復旧・復興の支援を通じて貴重な経験を積むことで、災害対応のノウハウを身につけてもらっているところです。
 今後とも、平時からの研修や訓練、さらには実際の被災地支援を通じて、県職員及び市町村職員の災害対応能力の向上に努めたいと考えております。
   (土木部長村田重雄君登壇)



◎土木部長(村田重雄君) まず、異常気象時通行規制区間の指定及び運用の取り組みについてお尋ねがありました。
 県管理道路におきましては、異常気象時における災害発生の危険性などから判断し、現在57路線、86区間を異常気象時の通行規制区間として指定しています。これらの区間ごとに時間雨量や連続雨量などの規制基準を設定しており、異常気象時に規制基準を超えた場合には、速やかに全面通行どめを実施することとしております。
 さきの7月豪雨において、高知自動車道の立川橋が大規模な斜面崩壊に巻き込まれて流失するという甚大な災害が発生しましたが、幸いにも事前通行規制を行っていたことから、通行車両の被災を回避することができました。このことからも、異常気象時における事前通行規制の重要性を改めて認識したところです。
 また、7月豪雨で大きな被災を受けた大月町の県道安満地福良線には、事前通行規制区間の設定はありませんでしたが、被災前と同等の安全性が確保されるまでの暫定的な措置として、新たに規制区間を設定し、道路利用者の安全確保に努めております。
 今後とも、道路利用者を災害から守るソフト対策として、異常気象時の事前通行規制を適切に実施していくとともに、現地の危険性に応じた暫定的な規制基準や規制区間を設定するなど、弾力的な運用を行っていきたいと考えています。
 次に、排水ポンプ車の導入の必要性及び市町村の導入に対する支援策についてお尋ねがありました。
 ゲリラ豪雨などによる局地的な浸水被害が多発している昨今、機動的な排水対策としての排水ポンプ車の導入が有効な手段の一つであることは認識しておりますが、県としましては、まず住民の命を守るための、堤防の整備や河床掘削などを重点的に進めることとしております。
 一方、国におきましては、自治体からの応援要請に対しまして、所有する排水ポンプ車を緊急的に配置する制度がございます。本年7月豪雨の際にも、応援要請を行った宿毛市に緊急出動しております。
 また、市町村が排水ポンプ車を導入する支援策につきましては、平成30年8月に公表されました国の平成31年度予算概算要求の中に、排水施設が必要な市町村が管理する河川において、排水ポンプ車の整備を総合流域防災事業の交付対象に追加する新しい交付金制度が盛り込まれています。来年度、この制度が認められ、市町村がこの交付金を活用する場合には、県としましても支援することとしております。
 次に、砂防堰堤等の整備の必要性についてお尋ねがございました。
 さきの7月豪雨では記録的な大雨により、大月町を初め県内の至るところで多くの土砂災害が発生いたしました。一方、砂防堰堤が整備されていた地区では、施設が多量の流出土砂を捕捉して被害の拡大を防いだところもあり、抜本的な土石流対策として、砂防堰堤などのハード対策の重要性を改めて確認したところです。
 県では、まず次の降雨による土砂流出に備え、多量の土砂を捕捉した砂防堰堤について緊急的な土砂撤去を実施し、堰堤の機能を速やかに回復したところでございます。さらに、大月町橘浦地区など、7月豪雨により渓流が著しく荒廃し、かつ砂防堰堤などが未整備の渓流につきましては、新たなハード対策が重要と考えております。このため、国や市町村など関係機関とも連携し、荒廃した渓流での砂防堰堤等の着実な整備を目指し、しっかりと取り組んでまいります。
 次に、本県の公共工事の平準化率についての評価や、数値目標の設定とその取り組みについてお尋ねがありました。
 平準化率は、端境期である4月から6月の一月当たりの工事件数を、年間を通した一月当たりの工事件数で割ったものであり、その率が0.9以上のaから0.6未満のeまで、5段階に評価したものが、平成28年度分から公表されているところです。平成29年度における高知県の平準化率は、0.8以上のb評価という結果になっております。
 一方で、この平準化率は、当初に見込まれていなかった年度途中での突発的な災害復旧や、補正予算などに伴う発注件数の多寡により大きく左右されてしまうことから、発注者がコントロールし切れない側面があります。
 このように、平準化率のみをもって、平準化への取り組みを評価することが難しいといった課題もありますことから、平準化率の取り扱いや数値目標の設定につきまして、現在国や他県とも協議をしているところでございます。
 公共工事の平準化は、建設事業者の安定的な経営や、従業員の継続雇用など労働条件の改善、ひいては地域防災力の強化に資する極めて重要な取り組みであると認識しており、これまで行ってきました翌債制度の活用などにより、平準化に引き続き取り組んでまいります。
 最後に、市町村の公共工事の平準化への県の取り組みについてお尋ねがございました。
 公共工事の平準化に向けては、国、県、市町村で組織しております公共工事品質確保推進協議会高知県部会において、各発注者の実情に合った端境期対策の実施を努力目標に掲げ、その目標に対する取り組みの実施状況や先進的な取り組み事例など情報交換を行い、共有しているところでございます。
 こうした取り組みの中で、一部の市町村では繰越制度を活用した適切な工期による工事を施工するなど、市町村における平準化に向けた取り組みの進展が図られた事例も出てきており、今後もこの協議会の取り組みなどを通じまして、市町村における平準化を進めるための情報提供と周知を図ってまいりたいと考えております。
   (林業振興・環境部長田所実君登壇)



◎林業振興・環境部長(田所実君) まず、7月豪雨における林地荒廃の被害に対して、今後どのように迅速かつ計画的な復旧に取り組んでいくのかとのお尋ねがございました。
 議員のお話にありましたとおり、本年の7月豪雨により県全体に甚大な被害がもたらされ、林業関係でも大きな被害が発生いたしました。中でも林地荒廃は、国有林内38カ所、国の直轄事業地2カ所、民有林内96カ所と、合計136カ所の被害が発生し、過去10年間で最大規模の被害となりました。民有林内の96カ所のうち、再び災害を受けるおそれがあり緊急を要する18カ所については、既に災害関連緊急事業として国へ要望し、11月2日までに事業の採択を受け、迅速な復旧に努めているところです。
 あわせて、災害関連緊急事業の採択要件を満たしていないものの、早急な対策が必要な20カ所については、本年度の国の第1次及び第2次補正予算を積極的に活用するとともに、来年度当初予算も最大限活用して順次着手してまいります。このようにして、県における今年度の補正を含む予算と来年度の当初予算で復旧工事に着手できる箇所は、国の予算額及び本県への配分額によりますが、おおむね5割程度と見込んでおり、その後も国の事業を活用し、今後の3年間で残りの箇所の復旧工事に着手する計画としています。
 また、こうした事業を迅速に実施するためには、議員のお話にありましたとおり、保安林に指定するための所有者の同意が必要であります。このため、所有者に対して、県民の皆様の安全・安心な暮らしを守るために必要な事業であることを丁寧に説明し、早期に理解が得られるよう市町村と連携して取り組むことにより、計画的な復旧を進めてまいります。
 次に、養殖魚への影響が懸念される林地荒廃について、どのように計画的な復旧に取り組んでいくのかとのお尋ねがございました。
 大月町のクロマグロ養殖場に隣接する海岸部の森林において、7月豪雨により、民有林内で1カ所、国有林内で7カ所の計8カ所の山腹崩壊が発生しました。また、その後の台風第24号により、国有林内の山腹崩壊箇所のうち4カ所で崩壊が拡大しました。これらの山腹崩壊により養殖場の周辺で濁水が発生し、養殖魚に被害が発生する事態となりました。このため、養殖魚への被害の再発防止に向けて、四国森林管理局及び県が山腹崩壊現場において測量等の調査を実施し、復旧対策について検討をしているところです。
 現在、四国森林管理局では国有林内の崩壊箇所の対策工法の検討などを行うための詳細調査を実施することとし、その手続を進めているところです。県としましては、四国森林管理局の詳細調査の結果を踏まえた上で、民有林内の山腹崩壊箇所の対策工法を決定することが適当であると考えており、四国森林管理局の対策工法が決定すれば、同局と連携して速やかに復旧工事に着手し、崩壊箇所の早期復旧に努めてまいります。
 最後に、ヒノキA材の積極的な活用についてどのように取り組んでいるのかとのお尋ねがございました。
 ヒノキは、これまで住宅用資材として使用されてきましたが、近年、木造住宅において柱などが見えない大壁工法がふえ、また和室も減少していく中で、ヒノキの需要は伸び悩んでいるのが現状です。
 一方、本県はヒノキの蓄積量が全国1位であり、原木の生産量についても上位に位置しております。また、県産のヒノキは、材の赤みや油分が多いという特徴があり、これまで新国立劇場の舞台や県内外の神社仏閣に使われるなど、色合いや耐久性において市場から高い評価を受けています。
 県としましては、こうした豊かな資源や品質の高さなど、本県のヒノキの強みを生かして、需要の拡大を図っていく必要があると考えています。このため県では、県内外で展示会を開催し、製材事業体と市場関係者とのマッチングや、県産ヒノキを活用していただける新たな工務店の掘り起こしを行うなど、積極的に販路拡大に取り組んでいます。
 また、これまで木が余り使われてこなかった非住宅建築物の木造化を進めるため、林業大学校において、木造建築に精通した建築士の育成にも取り組んでいます。さらに、非住宅建築物の大きな空間に対応できるよう、ヒノキの強度を生かした構造用部材を開発し、四万十町の旅館にこの部材を利用したモデル建築物を整備するなど、木材の利用促進を図っています。
 今後は、こうした取り組みに加えて、本年4月に設置しましたTOSAZAIセンターと全国レベルの木造建築の専門家が連携し、経済同友会など非住宅建築物の施主となる方々に対し、県産材の特徴を生かした利用方法の提案などに積極的に取り組んでまいります。あわせて、経済同友会などとタイアップし、施主となる企業、団体等の皆様に、木材を利用する意義やメリットなどを紹介する連続セミナーを開催するとともに、全国知事会に発足した国産木材活用プロジェクトチームなど関係団体の皆様と連携し、全国的な木材需要の拡大に取り組んでまいります。こうした取り組みを進める中で、県産ヒノキA材の性能や品質の高さをアピールし、しっかりとその活用につなげてまいります。
   (中山間振興・交通部長川村雅計君登壇)



◎中山間振興・交通部長(川村雅計君) 宿毛フェリーの運航再開の可能性についてどのように評価しているのか、航路維持についてどのように取り組んでいくのかとのお尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えいたします。
 宿毛市と大分県佐伯市を結ぶ、本県で唯一の定期航路である宿毛フェリーは、物流面や観光面で重要な役割を果たしており、再開を望む声があることも承知をしております。このまま休止が長引けば、さまざまな方面への影響が拡大するのではないかと懸念をしているところです。
 これまでの間、県といたしましては、宿毛市を初め県内の関係市町村や大分県側、さらには国の関係機関やトラック協会と情報共有など、協議を重ねてまいりました。そうした中、先月末には、宿毛市と会社の代表取締役との面談に県も同席をし、会社側から運航再開の意向があることを直接確認させていただいたところですが、残念ながら再開の時期や再開に向けての具体的なスケジュール等についての言及はございませんでした。加えて、現在報道されております会社を取り巻く状況を踏まえれば、運航再開につきましては不透明な点が多く、懸念をしているところでございます。
 今後につきましては、引き続き会社の動向を注視するとともに、運航休止が地域に及ぼす影響などにつきまして、関係市町村と密接に情報共有を行いながら、地元である宿毛市の意向を踏まえた上で、大分県側とも連携をしながら、県としての対応を検討してまいりたいと考えております。
   (警察本部長宇田川佳宏君登壇)



◎警察本部長(宇田川佳宏君) 高台移転も視野に移転の検討を進めている宿毛警察署について、移転計画を進めることが必要ではないかとのお尋ねがありました。
 議員御指摘のとおり、本年7月の豪雨災害では県西部でも多数の被害が発生し、宿毛警察署周辺も約0.4メートル冠水し、警察車両が出動できない状況になるなど、現実に災害警備活動に支障を来したところであり、南海トラフ地震を含めた大規模災害の発生時においても人命救助や避難誘導等の活動拠点となる警察署を整備することは、喫緊の課題であると考えております。
 こうした中、先般宿毛市から宿毛警察署について、宿毛市役所の移転先として造成準備を進めている小深浦への移転の御提案をいただいたところでありますが、この候補地は津波浸水地域でない上、他の行政機関との連携も円滑に行えることから、災害時のみならず、平素から警察活動を行う上でメリットは大きいと考えられ、有力な移転候補地の一つとして検討しているところでございます。
 今後、地域の安全・安心を守り、災害にも強い警察施設を整備するという観点から、知事部局とも協議を行いつつ、移転に関する検討をさらに進めてまいりたいと考えているところでございます。
   (水産振興部長谷脇明君登壇)



◎水産振興部長(谷脇明君) 離島という条件不利地域、沖の島における漁業用燃料の供給に対しての支援についてお尋ねがございました。
 県では、漁業用燃料の供給につきましては、南海トラフ地震による津波被害を軽減するため、燃油タンクの撤去や地下タンク等への移行を進めるとともに、漁協の経営実態を踏まえ、可能な範囲で民間事業者から漁業者へ直接供給する方向で指導を行ってまいりました。
 その中で、沖の島における燃料の供給につきましては、南海トラフ地震に対応した新たな燃油タンクの設置と、漁業者が減少する中での燃料の運搬体制の構築が課題であると考えております。
 沖の島は、条件不利地域であります一方で、西日本でも有数の好漁場に囲まれ、遊漁振興を含めた漁業振興に高いポテンシャルを有する地域でございます。このため、燃料の利用実態などを踏まえますとともに、離島での生活に不可欠なガソリン等のライフラインの確保も視野に入れ、関係部局と連携して、漁業活動の維持に向け、燃料供給が継続できる体制を構築してまいりたいと考えております。