平成30年2月定例会一般質問

○4番(今城誠司君) 自由民主党、宿毛市・大月町・三原村選挙区選出の今城誠司でございます。
議長のお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問を行わせていただきます。

最初に、人口減少対策から順次質問に入らさせていただきます。
少子化対策についてお伺いをいたします。
先日、厚生労働省より平成29年の人口動態統計の年間推計が公表されました。昨年の全国の年間出生数が2年連続で100万人を割り、94万1,000人と推計されております。
初めて100万人を割り97万7,000人となった平成28年から、さらに約3万6,000人の出生数の減少となっております。
県内においても、平成28年の出生数は初めて5,000人を割り4,779人となり、合計特殊出生率も1.47と平成27年から0.04ポイント低下しており、低い水準にとどまっております。
残念ながら、少子化の傾向に歯どめがかからない状況にあります。
県内において合計特殊出生率の最低を記録したのは平成21年の1.29でありましたが、この年の出生数は5,415人であり、平成28年より636人も多い出生数でありました。
過去の少子化が影響して、出産可能な女性の激減により、出生数もハイペースで減少傾向に入っております。
少子化が少子化を呼び起こす悪循環を断ち切り、出生数減少に歯どめをかけることが喫緊の課題となっております。
県では、高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し、結婚・妊娠・出産・子育ての各段階に応じた取り組みを展開しているところでありますが、大きな基本目標として県民の希望をかなえるために設定した、2050年に合計特殊出生率2.27の達成に向けた中間目標として、2年後の平成31年においての合計特殊出生率1.61を設定して、取り組みを展開しております。
この目標達成に向けた今後の少子化対策のさらなる強化についてどのように取り組んでいかれるのか、知事にお伺いをいたします。

次に、人口の社会減対策についてお伺いをいたします。
先日、総務省より平成29年の人口移動報告が公表されました。
東京圏では、転入者が転出者を約12万人上回る転入超過となり、全国の市町村の76.3%が転出超過であり、さらに東京圏の一極集中が加速している状況となっております。
県内の有効求人倍率についても過去最高を更新している状況でありますが、有効求人倍率が2倍を超す東京とは勢いにも大きな開きがあり、さらに賃金格差もあり、若者が希望に沿う職を求め、さらに東京圏に集まる結果となっております。平成29年における本県の人口移動報告によりますと、転出者1万1,096人に対して転入者8,961人であり、2,135人転出超過の結果となっております。
平成28年においては2,265人の転出超過の結果となっており、若干の改善傾向はある結果となっております。
しかしながら、高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略においては、平成31年に社会増減を均衡させるという大変大きな目標を設定し、若者の定住や移住促進を中心に取り組みを展開しているところでありますが、この目標達成に向けて、今後さらにどのように取り組みを強化し展開していかれるのか、知事にお伺いをいたします。

次に、過疎地域への支援についてお伺いをいたします。
昭和30年代以降の高度経済成長に伴い、農山村地域から都市地域に向けて若者を中心に大きな人口移動が起こり、過疎問題が発生し、昭和45年に議員立法により、10年間の時限立法として過疎地域対策緊急措置法が制定されました。
その後、昭和55年に過疎地域振興特別措置法、平成2年に過疎地域活性化特別措置法、平成12年に過疎地域自立促進特別措置法が制定をされました。
過疎地域要件の追加、過疎債のソフト事業への拡充、対象施設の追加、失効期限の延長が行われ、昨年4月の改正により現行法の有効期限は平成33年3月末までとなっております。
県内においては、平成22年4月1日付で須崎市、香美市、黒潮町が過疎地域として追加をされ、合計で24市町村の全域、4つの市町で一部、県全体面積で約80%、人口の約28%が過疎地域に指定をされております。
この過疎地域においては、100%の充当率で起債が可能であり、元利償還金の70%が普通交付税措置をされる、大変有利な過疎債で実施することができます。
しかしながら、非常に財政状況も厳しい市町村にとっては、残りの負担金分の償還も重荷となります。
過疎地域の自立促進対策について県としてどのように市町村の財政負担の軽減に取り組んでいかれるのか、総務部長にお伺いをいたします。

次に、過疎地域以外への支援についてお伺いをいたします。
県内では、宿毛市、土佐市、佐川町、日高村、南国市、芸西村の6つの市町村は全域、高知市、四万十市、香南市、いの町の4つの市町については一部が過疎地に該当せず、有利な起債である過疎債を活用することができない状況となっております。
市町村では、地域活性化に対して地方創生関連交付金を活用し、事業に取り組んでおりますが、独自性や先駆性のある取り組みへの支援性が高く、地域活性化施策全てにおいての財政支援にはなっていないため、依然として地域活性化に取り組む市町村の財政負担が多い状況となっております。
過疎地域以外の財政力の弱い自治体に対して、地域活性化対策について県としてどのように市町村の財政負担の軽減に取り組んでいかれるのか、総務部長にお伺いをいたします。

次に、過疎地域に準じる地域への支援についてお伺いをいたします。
国の過疎地域指定の要件である人口減少率については、毎回法律改正時に変動がありました。
要件の一つである25年間の人口減少率については、平成22年改正時は17%以上、平成26年改正時は19%以上であったものが、昨年の改正時には21%以上と、かなりハードルが高く設定されております。
25年間の人口減少率については、宿毛市では19.1%、日高村では19.2%と、例年の要件であば過疎地域に新たに追加をされる水準でありましたが、今回の改正では過疎地域の指定の要件に達していなく、過疎地域の指定となることはありませんでした。
非過疎地域においても、その辺地度点数によっては、有利な起債である辺地債を活用できる地域もあります。
高知市と県内全ての市町村によって取り組んでいた連携中枢都市圏の形成においては、辺地債における辺地度点数の算定要素の一つである近傍市役所までの最短距離を、連携中枢都市の市役所までの距離で算定することができるというメリットがあり、辺地度点数が大幅に加算され、辺地債の適用地域を拡大できる可能性がありました。
しかしながら、10%以上が中心都市に通勤、通学していることが必要であるとされ、西部や東部の13自治体は要件を満たすことができず、これらの自治体は連携中枢都市圏対象外となり、辺地度点数を加算し、適用地域を拡大することはできない結果となっております。
国の特別交付税の算定においては、過疎地域と同様に人口減少が著しく財政基盤が脆弱な、過疎地域に限りなく近い地域として準過疎地域が位置づけられており、県内においては宿毛市、日高村、芸西村、佐川町が該当し、特別交付税が加算をされている状況があります。
この準過疎地域に該当する市町村が取り組む地域活性化対策に対して、県の支援策についてさらなる拡充が必要と思われますが、総務部長に御所見をお伺いいたします。

次に、生涯現役社会の推進についてお伺いをいたします。厚生労働省が昨年7月に発表した日本人の平均寿命では、男性で80.98歳、女性で87.14歳となっており、香港に次いで世界第2位となっております。
100歳以上の高齢者数については、全国で6万7,824人であり、私の生まれた昭和38年にはわずか153人でありましたが、昭和56年に1,000人を超え、平成10年には1万人を超え、47年連続の増加となっております。
県下においても、昨年658人となっており、人口10万人当たり91.26人、全国第3位と上位に位置をしております。
海外の研究をもとにすれば、日本では2007年に生まれた子供の半数が107歳より長く生きると推計されており、100歳まで生きることが当たり前の時代を迎えようとしております。
このような中、生産年齢人口が減少し高齢化率が上がっても各産業分野の産出額等が上昇傾向に転じていることは、65歳以上の方々が現役以上に社会活動を活発にしていることが大きいと思っております。
人生100年時代を見据え、働く意欲と能力を持つ高齢者が働き続けることができる生涯現役社会について、県はどのように取り組んでいるのか、商工労働部長にお伺いをいたします。

次に、建設業の活性化についてに入らさせていただきます。
初めに、施工時期の平準化についてお伺いをいたします。
県下の建設工事については、そのほとんどが公共工事であり、予算が単年度制度のため、年度末に工期末が集中し繁忙期となる一方、年度明けは閑散期となり、人材、機材の効率的な活用による生産性の向上や労働環境の改善のために、施工時期の平準化が課題とされております。
県においては、平成26年より端境期対策として、繰越制度の活用や約20年ぶりに導入をしたゼロ県債の柔軟な活用により、閑散期の発注量の確保に取り組んでいる状況であります。
これまでの平準化の取り組みにより、月別発注金額等についてどのように推移をして、年間の平準化が進んでいると評価をしているのか、また今後さらなる平準化を進めるためにどのように取り組んでいかれるのか、土木部長にお伺いをいたします。

次に、余裕期間制度の活用についてお伺いをいたします。
公共工事の施工時期の平準化については、人材、機材の実働日数の向上により企業経営の健全化につながり、労働者の処遇改善、稼働率向上による建設機械の保有等が促進をされ、建設業の災害時の即応能力も向上します。
柔軟な工期設定等を通じて、受注者が建設資材や建設作業員などを確保できるようにすることで、受注者側の観点から平準化を図る制度として、余裕期間制度があります。
国においては、契約ごとに工期の30%を超えず、かつ4カ月を超えない範囲で余裕期間を設定し発注し、工期の始まりもしくは完了期限日を発注者、または受注者が選択できる制度であります。
本県においては、平成26年の年度末に災害復旧工事の発注が集中し、不落、不調を防止するための対応として、契約から最大60日後までの工事着手を認めるとともに、着手まで技術者の配置を要しないとするなど、受注者側の事情に配慮した柔軟な発注をした実績もあります。
平成28年には、高知県余裕期間設定工事に係る事務取扱要領を策定し、余裕期間制度について取り組んでいただいているところでありますが、これまでの制度の活用実績とその効果についての所見と、今後の取り組みについて土木部長にお伺いをいたします。

次に、建設業の週休2日への取り組みについてお伺いをいたします。
建設業界では、若手を中心に人材が定着しない原因の一つとして、労働時間、出勤日数などの業界の労働環境が挙げられています。
厚生労働省の毎月勤労統計調査、平成28年度分によりますと、建設業における月間実労働時間は171.3時間であり、運輸業に次ぐ労働時間の長さとなっております。
また、出勤日数については20.9日であり、全産業の中で最も多い日数となっております。
ほとんどの建設業者においては、1年単位の変形労働時間制で労使協定を結ぶことにより、週40時間以内を達成しておりますが、完全週休2日等による休日拡大に向けた取り組みが求められております。
この週休2日を実施するに当たっては、適切な工期の確保、休日が増加することによるコストの増加、日給労働者の収入の減少等の課題があります。
課題解決のためには、休日拡大に向けた発注者としての環境整備が必要でありますが、建設業の週休2日普及・定着に向けてどのように取り組んでおられるのか、土木部長にお伺いをいたします。

次に、賃上げに向けた基準価格の設定についてお伺いをいたします。
近年の県下における公共工事の入札については、最低制限価格・低入札価格調査基準価格付近での応札がその大半を占めております。
ダンピング受注は、工事の手抜き、下請業者へのしわ寄せ、公共工事に従事する者の賃金その他労働条件の悪化、安全対策の不徹底等につながりやすく、ひいては建設業の若年入職者の減少の原因になるなど、建設業
の健全な発展を阻害するものであります。
ダンピング受注の防止を図る観点から、国が設置をしております中央公共工事契約制度運用連絡協議会において、低入札価格調査基準価格の見直しがなされております。
地域の守り手として重要な役割を将来にわたって担う力をつけ、企業が健全に経営できる適正利益が確保されれば、従業員に適正な給与を支払うことができるとの観点から、昨年4月には、労務費の算入率を100%に引き上げ、労務費、機械経費、材料費で構成する直接工事費の算入率が、95%から97%に引き上げられました。
また、効果促進のために、全国ではこの中央公共工事契約制度運用連絡協議会モデルを上回る算定率を適用する都道府県もあります。
宮崎県においては、算定基準の中に明確に経済・雇用対策として、工事費の3%のかさ上げを独自に実施しております。
中央公共工事契約制度運用連絡協議会による低入札価格調査基準価格の見直しは、改正公共工事品質確保法の大きな効果となっております。
しかしながら、直接工事費の割合が多く、間接工事費の低い工事などにおいては、予定価格の90%を若干超える価格となり、中央公共工事契約制度運用連絡協議会モデルにおいての、予定価格の70から90%の範囲内の規定により、予定価格の90%が上限とされております。
この最新モデルを上回る算定率を設定した自治体や、最低制限価格の上限を設けていない自治体も存在しております。
本県においては、最低制限価格は高知県契約規則により予定価格の10分の7から10分の9までの範囲の設定が規定をされており、90%以上の上限設定はできない状況となっております。
地震や大津波、豪雨災害など、県民が直面する危機の確率が高い本県においても、足腰の強い建設業への再生が必要であり、落札率へ直結する最低制限価格、調査基準価格について独自基準による算定の加算見直しの必要があると思われますが、土木部長に所見をお伺いいたします。

次に、見積もり活用方式による不落・不調対策についてお伺いをいたします。
建設工事における不落・不調発生率は、平成27年が10.4%から平成28年が8.6%と、若干減少傾向にあります。
不落、不調の主な原因として、価格が合わない、小規模で手間がかかる、施工時期が重なり技術者不足で対応できないなどが挙げられております。
原因の一つであります施工時期については、発注・施工時期の平準化への取り組みの成果によりまして、徐々に改善傾向にあります。
しかしながら、現場条件により価格が合わない課題については改善が必要であります。
公共工事の品質確保の促進に関する法律では、現場の施工実態に即して積算されることと定められております。
標準歩掛かりがない工種、標準歩掛かりと現場の施工実態の乖離が想定される場合、実勢価格の変化が激しい場合などについては、入札参加者からの見積もりにより平均的な歩掛かりを採用し、採用歩掛かりを競争参加者へ通知する見積もり活用方式が、適切な現場の施工実態に即した価格の積算が反映でき、不落・不調対策に対して効果があると思われますが、見積もり活用方式の取り組みについて土木部長に所見をお伺いいたします。

次に、若年技術者の確保についてお伺いをいたします。
これまでの公共事業費の減少、さらには福利厚生を含めた処遇改善のおくれなどに伴い、建設産業従事者の離職、高齢化と若年入職者の減少が進み、建設産業の担い手確保・育成が喫緊の課題となっております。
県においても、土木上級職については採用予定人員の半分程度の合格者しか確保できない状況が続いております。
県内において公務員を目指す生徒は地元志向が強く、高校によっては2年生より公務員コースを選択できる学校もあります。
県の土木初級職については採用予定人員の確保はできている状況でありますが、市町村においては専門技術職の受験者が低調であり、土木専門技術職の不足が目立っております。
民間企業についても、求人数は大幅に増加をしており、しばらく求人を控えてきた多くの企業では、現場は50から60歳が主な現役であり20歳から30代が数少ない、年齢構成バランスの崩れた業界となっております。
このように担い手不足の深刻な県内の建設業界においても、若年技術者の供給が求められております。
工業高校における土木に関する学科の人気は高い状況でありますが、土木に関する学科の定員増員の必要性について所見を教育長にお伺いいたします。


次に、水産業の振興についてに入らさせていただきます。
初めに、水産業改革についてお伺いをいたします。1月22日、通常国会が召集され、安倍首相の施政方針演説が行われました。
地方大学の振興において、本県の農業に関する取り組みが数多く紹介されておりました。
また、今回の施政方針演説において、漁獲量による資源管理を導入し、漁業者による生産性向上への創意工夫を生かすとされ、養殖業への新規参入が容易となるよう、海面の利用制度の改革を行うとし、水産業改革に向けた工程表を策定し、速やかに実行に移すとされております。
今回の国の水産政策の改革の方向性により、本県の水産業振興に対してどのような効果が期待できるのか、水産振興部長にお伺いをいたします。

次に、養殖新魚種開発についてお伺いをいたします。
魚価の低迷、餌料費の高騰等により、本県の養殖経営体は廃業が相次いでおります。
クロマグロ養殖については、体長1から2メートルと大きく、かつ高速で泳ぐため、中小規模の養殖業者の参入はハードルが高く、現行の養殖魚種より収益性の高い新魚種の導入による、生産者の収入安定が課題となっております。
他県においては、マグロやカツオと同じサバ科であり、身はトロのようなきめ細やかな脂が乗り、捕獲が非常に難しく、幻の魚と言われるスマの養殖技術開発について、愛媛県は愛媛大学と、和歌山県は東京海洋大学などとそれぞれ
協同して養殖技術の開発に取り組み、ともに完全養殖に成功し、安定供給にめどがつき、本格的に出荷が始まっております。
希少性が極めて高い、愛媛の貴重な海の恵みであることから伊予の媛貴海、和歌山県においては海の三ツ星として、高級路線にこだわったブランド化がされております。
ブリやマダイの養殖設備をそのまま利用できることが利点であり、小規模養殖業者の経営安定につながると期待をされております。
本県においては、中小規模の養殖業者の経営安定に向け、新しい養殖魚種についてどのように研究し普及に取り組んでおられるのか、水産振興部長にお伺いをいたします。


次に、林業振興についてに入らさせていただきます。
初めに、路網整備についてお伺いをいたします。人工林の多くが利用期を迎える中で、林業の生産性の向上や長期的視点に立った適切な森林整備を効率的に進めるためには、林道や森林作業道などの林内路網の整備を進め、ネットワーク化を図ることが重要であります。
基幹となる林道の年間開設量は、ピーク時の昭和46年、47年には年間70キロメートルを超えておりましたが、近年は予算の減少に伴い、10キロメートル程度と大幅に減少しております。
本年度より、林道整備促進協議会においてワーキンググループを立ち上げて、積極的にその整備路線の検討が進められているとお聞きをしております。
また、県内においても、木材流通のコストダウンとして大型トラックによる大量輸送の姿を見る機会が多くなっております。
路網は、林道、林業専用道、森林作業道の3つに大別されますが、国の森林整備事業の補正予算においては、木材流通が広域化している中、木材の大量輸送に対応するために、大型トラックも通行可能な幹線路網として、林業生産基盤整備道が新たに位置づけされております。
将来の森林経営を見据えた路網整備が必要であり、長期的、広域的な視点からの効率的な森林施業のためにも路網整備は必須でありますが、新たな幹線となる林業生産基盤整備道も活用した大量輸送にも対応した路網整備についてどのように取り組んでいかれるのか、林業振興・環境部長にお伺いをいたします。


次に、小規模林業の推進についてお伺いをいたします。
成熟しつつある人工林資源を利活用するために森林を集約化し、大規模に伐採や搬出作業をすることによって、事業体は収益性が向上、森林所有者への収益の還元、林業就業者の安定的な雇用につなげるために、森の工場の取り組みが進んでおります。
一方で、小規模林業については、豊富な森林資源を活用し、農閑期に林業に従事するなど農業との副業型林業経営や、平日は林業以外の事業に従事し、休日に林業を行う休日型林業経営など、持続的で、そして安定的な収入を確保できる林業形態として、新たな可能性を持つものであります。
山に手が入ることによる森林林業の活性化、また地域の活性化にも貢献するものとして注目がされております。
県内では、小規模林業推進事業費補助金を活用して市町村主催の個人向け林業講習会が開催されており、この講習会をきっかけに個人林家として既に活躍されている方も誕生しております。
受講者の皆さんに御意見をお聞きすると、初期投資のハードルがもう少し低ければもっと林業を始めると思うというものが多数ありました。
初期投資については、300万円から500万円と個人としては高額であり、機械はレンタルを組み合わせながら段階的にそろえることにより、リスクを減らして無理なく始めることが理想とされております。
県では、原木増産推進事業費補助金に、自伐林家に対して林業機械レンタル費の2分の1を補助する制度があり、人気が高いと聞いております。
将来的には、購入により機械の償却期間を長くとることで必要経費の削減をすることができ、収益性をさらに高めることにつながると思われますが、小規模林業のさらなる推進について今後どのように取り組んでいかれるのか、林業振興・環境部長にお伺いをいたします。


次に、南海トラフ地震対策についてお伺いをいたします。
初めに、土木事務所の高台移転についてお伺いをいたします。震災後の緊急輸送道路の確保のための道路啓開、応急対策工事の実施等の機能回復に速やかに着手するためには、最前線の拠点となる土木事務所が機能を喪失しないことが重要であると言われております。
県下で、被災により、長期浸水解消後も事務所としての使用が不可能となると予想されている土木事務所については、土佐清水事務所は現在高台への合同庁舎を建設中であり、残る未着手の事務所は宿毛事務所だけとなっております。
宿毛事務所については、貝塚地区の職員住宅の3階を代替対応拠点として、機能をバックアップする整備をしておりますが、長期浸水による具体的な人員の参集計画などを考慮すると、通行可能な道路の確保について課題があり、中長期的には、長期浸水についても影響を受けない高台への移転が必要であります。
宿毛事務所の高台移転計画についてどうお考えなのか、土木部長にお伺いをいたします。


次に、警察署の高台移転計画についてお伺いをいたします。
警察署については平時における警察活動に適切な立地であることが必要であり、津波浸水予想区域内に存在している署も数多くあります。
宿毛警察署については市街地中心部に位置しておりますが、南海トラフ巨大地震での最大浸水深は約7メートル50センチと想定をされており、3階までの浸水により災害警備活動に支障が出ることが心配をされております。
宿毛署については既に耐震化工事は完了しておりますが、昭和51年の建築の建物であり、築後約42年が経過をしており、老朽化も進んでいる状況となっております。
今後の施設の建てかえ計画に際しては高台移転が不可欠であり、具体的な計画の検討が望まれております。
宿毛警察署の中長期的な高台移転計画については現在どのような方針で取り組んでおられるのか、警察本部長にお伺いをいたします。


次に、旧慣墓地についてお伺いをいたします。
初めに、旧慣墓地の実態についてお伺いをいたします。
戦前に地域の町内会等が所有をしていた土地にある墓地は、昭和20年のポツダム宣言の受諾に伴いポツダム政令により町内会が解散されその財産は、政令施行後2カ月以内に処分されないときは市町村に帰属しました。
その後においても、旧来の慣習に基づき町内会等が引き続き使用している墓地が旧慣墓地と言われております。
旧慣墓地は、各地において先祖代々受け継がれてきましたが、過疎化や核家族化により日ごろの管理もおろそかになり、中には所有者不明となり、墓石の放置、雑草の繁茂、通路の崩壊など、安全面や環境面での問題が生じている墓地も発生をしております。
平成24年に墓地に関する経営許可などの権限が第2次一括法により県から市に譲渡されるまでは、全て県が墓地行政を管理しておりましたが、この旧慣墓地の管理、利用についてその実態をどのように把握しておられるのか、健康政策部長にお伺いをいたします。

最後に、旧慣墓地の適切な管理指導についてお伺いをいたします。
旧慣墓地については、地縁による団体が墓地の経営を行うものとして位置づけられておりますが、正式な管理団体の組織がなく、大半の墓の所有者の特定が困難な状況にある墓地も存在いたします。
また、管理組織の活動が活発でない墓地については、光熱水費の支払いが精いっぱいという墓地もあり、管理組織の役員も高齢者が多く、中心的な役員が死亡すれば、その組織の運営そのものが成り立たなくなる地区もあります。
自然災害などで大きな被災をした墓地の復旧について課題となっている墓地もあり、市町村への要望も年々ふえている状況があり、その取り扱いに苦慮している自治体もあります。
旧慣墓地の安全確保や適切な利用のために、持続可能な管理組織運営に向けての指導が必要と思われますが、どのように取り組んでおられるのか、健康政策部長にお伺いをいたしまして、私の第1問とさせていただきます。


(知事尾﨑正直君登壇)
○知事(尾﨑正直君) 今城議員の御質問にお答えをいたします。

まず、高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略の目標達成に向けた少子化対策の強化につい
てお尋ねがございました。
少子化対策については、高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略において、若い世代の結婚・妊娠・出産・子育ての希望をかなえることを基本目標として、ライフステージの各段階に応じた切れ目のない支援策に取り組んでいます。
これまで、こうち出会いサポートセンターが行うマッチングシステムの創設や、高知家の出会い・結婚・子育て応援団との官民協働の取り組みなどの対策を強化してまいりました結果、県の支援を通じた成婚報告数はトータルで164組に達し、また応援団の登録数も459団体にふえるなど、一定の成果もあらわれてきております。
しかしながら、本県の平成28年の合計特殊出生率は1.47であり、総合戦略に掲げる平成31年の数値目標1.61の実現に向けては、もう一段対策を強化して取り組む必要があります。
そのため、まず出会いや結婚支援については、現在約1,100人に登録いただいているマッチングシステムの登録者数をさらにふやすため、出張登録閲覧会を今年度の12回から48回へと大幅に拡大してまいりますとともに、応援団が主催する出会いイベントの実施回数の増加を図るため、イベント運営について助言を行うアドバイザーを派遣するなど、支援を充実してまいります。
また、子育て支援については、子育て家庭の不安の解消や働きながら子育てしやすい環境づくりに向けて、子育て世代包括支援センターや地域子育て支援センターの新設、充実を支援するとともに、子供の数が多い高知市といの町において、アドバイザー等を交え子育て支援施策の連携の強化などについて協議を行う、ネウボラ推進会議を開催いたします。
こうした取り組みを通じて、高知版ネウボラをさらに推進し、妊娠期から子育て期までの切れ目のない総合的な支援体制を充実強化してまいります。
加えて、夫の家事・育児時間が第2子以降の出生割合に大きく影響を及ぼしているといった調査結果などもあることから、男性が育児に関する休暇等を取得しやすい環境づくりに向けて、多くの応援団の皆様に、男性の育児休暇・育児休業の取得促進宣言を行っていただき、企業等での取り組みを進めるとともに、そのことを広く情報発信することなどを通じて、社会全体での機運醸成につなげてまいります。
あわせて、少子化の問題は国と地方が総力を挙げて取り組むべき課題であります。引き続き、全国知事会次世代育成支援対策プロジェクトチームリーダーとして、少子化対策の抜本強化に向けた政策提言を通じて、働きながら子育てしやすい環境づくりや子育ての経済的負担の軽減など、少子化対策のさらなる強化について強く訴えてまいります。
こうしたいわゆる狭義の少子化対策の強化にあわせて、地産外商による雇用の創出などを通じた若者の定着を図ること、特に出生率が高い傾向にある中山間地域においてこれを実現することなど、いわゆる広義の少子化対策についても着実に取り組み、全国に先駆けて直面した人口減少の負のスパイラルをプラスに転ずるべく取り組んでまいりたいと考えているところでございます。


次に、本県の総合戦略に掲げる人口の社会増減均衡の目標達成に向けて、今後どのように取り組みを強化し展開していくのかとのお尋ねがございました。
人口の社会増減の均衡に向けては、地産外商により安定した雇用を創出することと、新しい人の流れをつくること、この2つの取り組みを連動させながら、強力に推し進めているところであります。
これまでの取り組みを通じて、地産外商が大きく進み、地域地域に多様な仕事が数多く生まれる中、本県への移住者も、平成28年度には683組となり、さらに本年度は1月末現在で前年同月比約120%と順調に増加をしております。
その結果、本県の人口の社会減は、近年かつての全国的な景気回復局面に比べて2分の1程度に改善してきているところではありますが、本県の人口の社会増減を均衡させるという高い目標を実現させるためには、さらなる努力を積み重ねていかなければならないと考えております。
力強く、より多様な雇用を生み出していくことが人口の社会増減改善の大前提であります。
このため、第1の地産外商により安定した雇用を創出する取り組みについては、自然体験型観光の充実やNext次世代こうち新施設園芸システムの構築など、継続的に新たな付加価値を生み出す仕組みを意図的に構築する施策群と、輸出のさらなる本格化といった、交易の範囲をさらに拡大する施策群を強化し、お互いの取り組みがプラスの相乗効果を生み出すよう取り組んでまいります。
また、第2の新しい人の流れをつくる取り組みについては、完全雇用状況下における人手不足の深刻化という成長の壁を乗り越えるためにも、担い手の確保策を抜本強化していく必要があると考えています。
まず、移住促進と人材確保の取り組みについては、高知県移住促進・人材確保センターを中心に、魅力的な仕事の掘り起こしとマッチングの強化、住宅を安定的に確保する仕組みの構築などに力を入れて取り組んでまいります。
また、各産業分野においては、移住促進や若者の定着につながることも意識をして、担い手確保策をそれぞれ大幅に強化することとしております。
例えば農業担い手育成センターや農業大学校を充実強化するとともに、林業大学校の本格開校などにより、担い手の受け皿となる機能を強化してまいります。
特にIT・コンテンツ分野においては、新たにIT・コンテンツアカデミーを開講し、業界が求める知識や技術を持った人材を県内にふやし、人材が豊富であるからこそ企業集積が図られ、企業集積が進むことによって、さらに人材
の集積が進むという好循環を実現していくことを目指してまいりたいと考えております。
さらに、本県産業に必要な担い手をしっかりと確保していくためには、賃金や福利厚生といった雇用環境も重要であることから、事業戦略や経営計画の策定・実行支援を通じて、経営と両立する形で働き方改革を進め、働きやすい魅力ある県内企業をふやしてまいりたいと考えております。
これらの施策に、これまで以上に全力かつスピード感を持って取り組むことで、人口の社会増減の均衡を目指してまいりたいと考えるところであります。
私からは以上でございます。


(総務部長梶元伸君登壇)

○総務部長(梶元伸君) まず、過疎地域の自立支援対策について、どのように市町村の財政負担の軽減に取り組んでいくのかとのお尋ねがございました。
過疎対策事業債は交付税措置率70%と非常に有利な財源でありまして、県としましては、過疎地域の市町村が効果的に自立支援対策を実施していくことができるよう、過疎対策事業債の活用に関し、個別事項の検討や助言を行ってきているところであります。
また、平成28年度からは地方創生推進交付金が創設されましたので、こうした国の財政支援制度の有効活用を促すことにより、市町村の財政負担のさらなる軽減にも取り組んできているところであります。
さらに、県では情報通信基盤や観光拠点などの整備事業について、過疎対策事業債の活用を前提とした新たな交付金制度を平成30年度当初予算で創設することとしておりまして、今議会に提案させていただいているところであります。
この新たな交付金制度は、過疎対策事業債の発行額のうち、交付税措置のある70%を除いた部分に対しまして、その60%に相当する額を補助することとしております。
従来の県単独補助金と比べて、過疎地域の市町村の負担軽減につながる仕組みとなっております。
こうした支援策を積極的に活用していただきながら、引き続き市町村政との連携・協調のもと、過疎地域の自立支援対策の推進に努めてまいりたいと考えております。

次に、過疎地域以外の財政力の弱い自治体の地域活性化対策について、どのように市町村の財政負担の軽減に取り組んでいくのか、また準過疎地域に該当する市町村が取り組む地域活性化対策に対する県の支援策の拡充についてお尋ねがございました。関連しますので、あわせてお答えをいたします。
過疎地域以外の市町村においては、過疎対策事業債を活用することはできませんが、県としましてはそのような中でも、できるだけ少ない負担で必要な事業を確実に実施することができるよう、辺地対策事業債や緊急防災・減災事業債などの交付税措置率の高い有利な起債の活用に関し、個別事項の検討や助言を行ってきているところであります。
また、地方創生推進交付金等の国の交付金についても、財政負担の軽減のため、積極的な活用を促しているところであります。
この交付金の要件等につきましては、これまで地方の意見などを踏まえまして、1団体当たりの交付上限額の引き上げや、一定の要件のもと、事業費全体の2分の1を超えたハード整備も認められるなどの改善が図られているところでございます。
今後も、地方にとってより使い勝手のよい制度となりますよう、国に対して要望するとともに、市町村とともに採択されるための知恵を絞ってまいりたいと考えております。
さらに、先ほど申し上げました新たな県の交付金制度につきまして、地域の活性化のための基盤整備事業に充当することができる、地域活性化事業債も活用することができる仕組みとしておりまして、この場合には、過疎団体以外の市町村も活用することができるわけでございますが、地域活性化事業債の発行額のうち、交付税措置のある30%を除いた部分に対しまして、その60%に相当する額を補助するということとしているところでございます。
これによりまして、過疎地域以外の市町村においても、財政負担を軽減することができるものと考えております。
さらに、特にいわゆる準過疎地域におきましては、従来から定額の特別交付税措置が講じられておりますけれども、近年の過疎団体に対する過疎対策事業債を通じた交付税措置額の伸長を踏まえまして、今年度特別交付税措置額の充実がなされたところでございます。例えば宿毛市においては、3,300万円から5,500万円に増額されているところであります。
過疎地域以外の市町村におきましても、こうした国や県の交付金制度や交付税措置率が高い有利な起債などを使って、地域活性化に取り組んでいただくことができるのではないかと考えておりますので、県としましても市町村の皆様とともに、地域活性化のさらなる推進に向けて取り組んでまいりたいと考えております。


(商工労働部長中澤一眞君登壇)
○商工労働部長(中澤一眞君) 生涯現役社会に向けた県の取り組みについてお尋ねがございました。
本県は全国に比べて少子高齢化が先行し、今後も生産年齢人口の減少が見込まれる中で、働く意欲と能力のある高齢者に活躍をしていただくことは、御本人にとっての生きがいにつながることはもちろんのこと、本県の産業振興や中山間地域の暮らしを支えていく上でも大変重要であると考えております。
こうした高齢者の方々の能力を生かしていただけるよう、高知労働局では県内企業に対して、定年の引き上げ、定年制の廃止、継続雇用制度の導入の3項目の雇用確保措置を行うよう指導しており、県も広報などを通じてこの取り組みの推進に努めております。
これら3項目のうち、いずれかを行った従業員31人以上の県内企業の割合は99.7%に上っております。
こうした雇用環境の整備などに伴いまして、平成29年の60歳以上の常用労働者数は1万4,713人と、平成21年の8,827人と比べ1.6倍強に増加をしております。
こうした企業に勤めている方々以外にも、1次産業の現場では60歳以上が就業人口全体の半数以上を占めておりますし、集落活動センターに代表される地域の活動やシルバー人材センターの会員の方々による地域の身近な生活サービスなど、本県の産業や地域の暮らしを支える上で高齢者の方々の活躍は欠かせないものとなっております。
このため、県としましては、働く意欲と能力のある高齢者の方々がこれまでに培った技術、豊富な知識や経験を生かして活躍ができる環境整備に向けまして、高齢者への情報の発信から窓口での相談、就業へのマッチングまでの一連の取り組みを、来年度からは国や関係機関などの取り組みと一体的に運用することといたしております。
加えまして、高齢者の就業を支援するセミナーの開催や相談窓口を開設するなど、高齢者が生涯現役で働き続けられる環境づくりを推進します、国の生涯現役促進地域連携事業を実施して、一連の施策を大幅にボリュームアップすることにつきまして、現在関係機関とともに検討をしているところでございます。
このような取り組みによりまして、生涯現役社会の実現に努めてまいりたいと考えております。


(土木部長福田敬大君登壇)
○土木部長(福田敬大君) まず、建設業の活性化について、これまでの平準化の取り組みにより、月別発注金額などがどのように推移して、年間の平準化が進んでいると評価しているのか、また今後さらなる平準化を進めるためにどのように取り組んでいくのかとのお尋ねがございました。
公共工事の中長期的な担い手の育成・確保を目的に、平成26年に改正品確法が施行され、計画的な発注と適切な工期の設定が規定されたことを受け、県は建設業活性化プランに基づき、施工時期の平準化の取り組みを進めてまいりました。
その中でも、年度末に多くの工事が終了し、年度当初に工事量が落ち込む端境期が生じることは、建設事業者の安定的な経営のみならず、従業員の継続雇用、労働条件の改善にマイナスに働くことから、ゼロ県債による工事の発注や繰越制度の柔軟な活用により、年度当初の工事量の確保に取り組んでまいりました。
議会議決案件となります、予定価格が5億円を超えるような大規模の工事を除いて比較いたしますと、平成29年4月末時点での土木部発注工事における建設事業者の手持ち工事量は約135億円です。取り組みを行う前の平成26年4月末の手持ち工事量は約83億円で、両者を比較いたしますと、50億円以上の大幅な増となっております。
また、同年度の手持ち工事量の最も多い月と最も少ない月の差を比較いたしますと、平成26年度は約112億円であったものが、平成29年度は約44億円と縮小しております。
4月末時点の手持ち工事量に対し、最も多い月が何倍であったかを比較いたしますと、平成26年度は約2.4倍であったものが、平成29年度は約1.3倍と縮小しております。
これらのことから、施工時期の平準化については一定の成果が出ていると考えております。
今後も、国庫補助事業の補正予算について早期発注を行うとともに、引き続きゼロ県債による工事の発注や繰越制度の柔軟な活用により、年間を通じた施工時期の平準化に取り組んでまいります。

次に、余裕期間制度の活用実績とその効果への所見及び今後の取り組みについてお尋ねがございました。
本県におきましては、工事の発注が集中する秋口から年度末にかけまして、受注者側の技術者等の確保が難しくなり、入札不調が増加していることから、柔軟な工期を設定することで円滑な施工体制を確保できるよう、平成28年12月から受注者が一定の期間内で工事の開始日を選択できる余裕期間設定制度を導入いたしました。
技術者等の確保が難しくなるのは主に第4・四半期に集中しており、この時期に発注する工事に余裕期間を設定しております。
制度導入の昨年度は54件の工事で実施し、今年度は21件の工事で実施を予定しております。
なお、この制度につきましては、建設業協会との意見交換の場においても、制度の継続を要望する御意見を多数いただいております。
これらの工事では、企業側の技術者を柔軟に配置できることから、入札参加機会を確保できることとあわせて、入札不調の抑制に効果があるものと考えております。
今後も、入札不調の状況なども勘案しながら、端境期対策とあわせて余裕期間設定制度を適切に活用し、計画的な事業の執行に取り組んでまいります。

次に、建設業の週休2日の普及、定着に向けてどのように取り組んでいるのかとのお尋ねがございました。
本県では、公共工事における労働環境の改善に向けた取り組みの一つとして、建設現場における週休2日を促進するため、平成27年度から標準工事日数をおおむね2割延長し、工期に余裕を持たせた工事を試行的に実施してまいりました。
さらに、今年度からは国土交通省の働き方改革への取り組みにあわせ、建設現場における週休2日の一層の推進と普及を図るため、一定規模の土木一式工事において、週休2日制モデル工事を実施することといたしました。
このモデル工事では、標準工事日数を2割程度延長するだけではなく、週休2日を達成いたしますと、間接工事費率に補正係数を乗じて請負代金を増額するとともに、工事成績評定では加点評価をするといったインセンティブを付与しております。
今年度は、3件のモデル工事を実施することとしておりますが、モデル工事の実施後には受注者にアンケート調査を行い、週休2日制の普及に向けた課題や実施効果を検証していくこととしております。
建設業界との意見交換の中でも、週休2日の導入については、現段階では課題も多く、消極的な意見もあったことは承知しておりますが、いただいた意見やモデル工事の検証結果を参考に、週休2日の普及、定着に向けて取り組んでまいります。

次に、足腰の強い建設業への再生のため、最低制限価格及び調査基準価格について、独自基準による算定率の見直しの必要性についてお尋ねがございました。
低入札価格調査制度における調査基準価格は、これを下回ると品質を確保できないおそれがある基準として定めるものです。
本県では、この調査基準価格の設定に当たっては、中央公共工事契約制度運用連絡協議会モデル、いわゆる中央公契連モデルを使用しております。
このモデルは、国において詳細な調査検討を行った上で決定されていることから、国や多くの自治体で採用されております。
また、実態を踏まえた見直しも適宜行っており、昨年度末にもその算出方法が見直され、本年度から調査基準価格の引き上げが行われたところでございます。
議員のお話にもございましたように、中央公契連モデルとは異なる基準を採用している県があることは承知しておりますが、建設事業者の適正な利潤を確保するには、適正な予定価格を設定することが最も重要と考えます。
このため、国において設計労務単価を引き上げたときには県でも直ちに改定するなど、適正な予定価格の設定に努めているところです。
このような労務・資材単価の引き上げや設計積算基準の改定は、近年毎年行われており、予定価格と同時に最低基準価格や調査基準価格も上昇している状況にあると認識しております。
一方で、最低制限価格や調査基準価格の設定範囲を引き上げることは、入札における価格競争の幅が狭まるといった側面がございます。
このため、最低制限価格や調査基準価格の設定範囲の引き上げについては、入札・契約制度における検討課題の一つとして、建設業界の意見もお聞きしながら慎重に検討してまいります。

次に、見積もり活用方式による不落・不調対策についてお尋ねがございました。
見積もり活用方式は、標準的な基準による積算と実際の施工費用に乖離が生じている項目につきまして、入札参加者に見積もりの提出を求め、その見積もりをもとに予定価格を算定する方式でございます。
本県におきましても、橋梁の耐震補強工事のような特殊な工事において、標準積算と実勢価格に乖離があり、入札不調が想定される場合は、見積もり活用方式を採用しております。
今後も、標準積算額と施工費用の乖離が想定されるような特殊な工事につきましては、円滑に事業を執行できるよう、本方式を活用してまいりたいと考えております。

最後に、宿毛土木事務所の移転計画についてお尋ねがございました。
県では、東日本大震災を受け、地震・津波などの災害時において拠点となる土木事務所の機能確保について、土木部内に震災対策検討チームを設置し検討を行いました。
検討の結果、全12土木事務所のうち10事務所については、事務所機能が一定失われるものの、現在地で業務継続が可能と判断しております。
残る2事務所については、事務所機能全てが失われ、業務継続を図ることが不可能であり、移転が必要と考えております。
議員のお話にありましたとおり、移転が必要な事務所は土佐清水事務所と宿毛事務所でございます。
土佐清水事務所については、高台に土地を確保し、現在土佐清水漁業指導所との合同庁舎を建設中でございます。
残る宿毛事務所についても、事務所単独での移転を検討するのではなく、宿毛市内の他の行政機関と連携を図り、移転に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。


(教育長田村壮児君登壇)
○教育長(田村壮児君) 工業高校における土木に関する学科の定員増についてお尋ねがございました。
工業高校における土木に関する学科の志願者数については、一部の学校において定員を上回る状況が続いておりますが、県全体ではほぼ定員内にとどまっております。
一方、一時低迷していた土木・建築分野の高卒求人数は急増し、平成28年度の県内建設業求人数302人に対して就職者は71人、充足率は24%にとどまっています。
そうしたことから、平成29年度に須崎工業高校において、時代のニーズを踏まえた測量など、土木・建築分野の基礎的な知識の習得を目指したシステム工学系学科住環境専攻、定員20名を新たに設置し、定員増員を図ったところであり、須崎総合高校の第1期生として卒業する平成32年以降、県内建設業で活躍してもらうことを期待しております。
今後も、志願者の動向を見ながら、土木に関する学科の定員について検討してまいりたいと思います。
一方、平成28年度に土木に関する学科を卒業し就職した54人のうち、県内建設業へ就職した者は15人、公務員となった9人を合わせても44%にとどまっており、県内の土木専門人材を確保する上では、この割合を上げていくことも必要であると考えます。
そのため、土木に関する学科で学んだ生徒が県内建設業に関心を持ち、働くことに魅力を感じてもらえるよう、企業見学やインターンシップなどを活用し、県内企業の理解促進、県内企業とのマッチングなどの取り組みをさらに充実させてまいります。


(水産振興部長谷脇明君登壇)
○水産振興部長(谷脇明君) まず、今回の国の水産政策の改革の方向性により、本県の水産業振興に対しどのような効果が期待できるのかとのお尋ねがございました。
国では、規制改革推進会議の答申に基づき、それぞれの分野において成長を阻害する規制について改革を促す制度改正や予算措置等の取り組みを進めており、水産業分野においては、現在本年6月の答申に向けて、同会議に設けられた水産ワーキンググループにおいて議論が行われております。
現在、議論されている改革の方向性としては、大きく3つの方向が示されております。
まず、漁業の成長産業化に向けた水産資源管理では、個々の漁船に漁獲量を割り当てる、いわゆるIQ制度の導入などが示されております。
次に、水産物の流通構造では、輸出を視野に入れた品質やコスト面での競争力の強化や情報通信技術の活用が示されております。
3つ目に、担い手の確保や投資の充実のための環境整備では、特に養殖業への新規参入の促進といった方向性が示されております。
本年6月の答申を受け、その具体化に向けた議論がなされるものと思っておりますが、科学的、効果的な方法で資源管理を進めることや、有効活用されていない水域への新規参入が進みやすい仕組みの検討、また輸出を視野に入れた流通改革については、本県の水産業振興の方向性と合致するものと考えております。
大きな効果があるものと大変期待をしております。
一方で、多くの魚種を少量漁獲する本県漁業の実態に、IQ制度が現実的にはなじまないのではないかといった問題や、養殖業における新規参入の地元調整など、その具体化に当たっては課題も多いと考えられますので、国の改革の方向が地域の実情を踏まえたものとなり、本県の取り組みを後押しするものとなるよう、国に対しても積極的に提言をしてまいりたいと考えております。

次に、本県において、中小規模養殖業者の経営安定に向けた新しい養殖魚種についてどのように研究、普及に取り組んでいるのかとのお尋ねがございました。
本県は、ブリ類やマダイなどの養殖業が盛んであり、平成28年の魚類養殖生産量は1万6,809トンに上りますが、近年は議員御指摘のとおり、魚価の低迷や餌料費の高騰等により経営体の廃業も相次いでおり、経営安定のためにブリ類やマダイにかわる新たな魚の導入も課題となっております。
県では、これまで民間企業と共同でカンパチやクロマグロの養殖用種苗を生産する技術開発に取り組んできておりまして、カンパチは平成29年には5万尾の出荷、クロマグロは平成29年に7,700尾の生産を達成するなど、一定の成果を上げております。
今後は、生産技術が確立されたクロマグロ人工種苗を活用し、中小規模の養殖業者にクロマグロの小型魚、いわゆるヨコワ養殖の展開を図っていくため、来年度に実証試験を行うようにしております。
また、養殖ブリについては、資源に影響を与えず、トレーサビリティーが明確な人工種苗を用いた養殖魚のニーズが高い欧米への輸出の拡大に向けて、来年度は民間企業への委託により、人工種苗の量産技術開発に取り組むこととしております。
あわせて、平成28年に開設いたしました水産試験場古満目分場では、複数の魚種について養殖魚としての可能性を鋭意検討しておりますし、新たな養殖対象魚種の種苗生産技術の開発に取り組み、養殖業の振興を図ってまいりたいと考えております。


(林業振興・環境部長田所実君登壇)
○林業振興・環境部長(田所実君) まず、新たな幹線となる林業生産基盤整備道も活用した大量輸送も可能な路網整備についてどのように取り組んでいくのかとのお尋ねがありました。
本県では、充実した森林資源を余すことなく活用し、林業、木材産業の拡大再生産の好循環を実現するため、原木の増産を進めるとともに、大型製材工場や木質バイオマス発電所を整備するなど、木材需要を拡大してきたところでございます。
原木生産のさらなる拡大に向けましては、大型トラックによる大量輸送に対応できる、効率の高い幹線的な林道、林業専用道等の路網整備を効果的に進めていくことが重要であると考えています。
このため、本年度から各林業事務所に林道整備促進協議会を立ち上げ、市町村や林業事業体の方々と協議する中で、11路線のワーキンググループを設置することができ、現在大型トラックや高性能林業機械の活用ができる路網整備に向けた検討を行っているところです。
こうした中、森林資源が充実し、大型製材工場等の整備により木材需要が高まっている地域を対象として、大型トラックによる大量輸送に対応できるよう、幹線となる林業生産基盤整備道と林業専用道等を組み合わせた路網整備事業が、先般国の補正予算においてメニュー化されました。
県としましては、今後この新たな事業も活用しながら、木材の大量輸送に対応できる幹線となる路網の整備にしっかりと取り組むとともに、ボトルネックとなる部分を解消することによって早期に効果を発現できるような路線の優先的な整備を検討するなど、これまで以上に林道、林業専用道等の路網整備を効果的に推進し、原木生産のさらなる拡大につなげてまいります。

次に、小規模林業のさらなる推進に向けた今後の取り組みについてお尋ねがありました。
県では、中山間地域や林業の再生に向けて、林業の担い手の裾野を広げていくため、小規模林業の推進を第3期産業振興計画の林業分野の重要施策として位置づけて取り組みを進めており、平成27年1月には小規模林業者の情報交換や技術力向上を目的とした小規模林業推進協議会を設置しています。会員数は現在455人と、この3年間で飛躍的に増加しています。
この協議会の会員を対象として、平成27年度から政策パッケージによる支援制度をスタートさせ、林業作業に必要な知識の習得や資格の取得への支援を初め、間伐、作業道開設への助成や安全指導の実施など、小規模林業を目指す方々のニーズに応じた総合的な支援を行ってきているところでございます。
議員のお話にありました林業機械のレンタルは、初期投資を軽減することができ、会員の方々からの要望も多いことから、前年度に要望調査を行い、必要な予算を確保してきています。
会員の方々からは林業機械の購入支援に対する要望もございますが、例えばレンタルでの活用事例が多い、作業道の開設に使用するバックホーは、新車での購入となると、3トン程度の小型のものでも400万円程度の費用がかかりますことから、まずはレンタル事業を活用しながら技術や収益性の向上を図り、安定的な林業経営の基盤づくりに努めていただければと考えています。
県としましては、今後とも小規模林業に取り組む方々が安定的に収入を確保し、中山間地域で定住できるよう、アンケート調査などにより会員のニーズの把握に努め、政策パッケージによる支援の充実を図ってまいりますとともに、市町村との連携を一層強化し、小規模林業のさらなる推進に向けてしっかりと取り組んでまいります。


(警察本部長小柳誠二君登壇)
○警察本部長(小柳誠二君) 宿毛警察署の中長期的な高台移転計画への取り組みについてお尋ねがございました。
警察施設は防犯、あるいは防災における地域の安全・安心を守る施設として機能することが県民から期待されております。
宿毛警察署は、昭和50年度の建築で、平成23年度には耐震改修が完了しておりますが、長期浸水時における警察機能の維持が課題であります。
このため県警としましては、宿舎の一部を代替施設として運用すべく、資機材や備蓄食料等の一部を移転して有事に備えておりますが、有事における万全の態勢構築のため、将来的には移転を含めた建てかえが必要な施設と認識しております。
今後、事件、事故の発生状況等の治安情勢のほか、南海トラフ地震における人命救助、避難誘導等の活動拠点の観点も踏まえ、高台移転も視野に移転の検討を進めてまいりたいと考えております。


(健康政策部長山本治君登壇)
○健康政策部長(山本治君) まず、旧慣墓地の実態についてのお尋ねがありました。
昭和23年施行の墓地、埋葬等に関する法律では、墓地を経営しようとする者は都道府県知事の許可を受けなければならないとされています。
旧慣墓地のように、昭和22年のポツダム政令により土地が市町村に帰属された後も、旧来の慣行に基づいて住民が引き続き使用している墓地については、法律の施行以前から経営されていたものです。
この場合、経営の許可を受けたものとみなす、いわゆるみなし墓地として取り扱われていますので、墓地区域の変更や拡張がなければ、許可等の手続がなされません。
このため、県としては、その実態は把握できておりませんが、少なくとも県内14市町村で旧慣墓地が存在し、その中にはお話にありましたように、今後の維持管理が懸念されているものがあることは承知しています。

次に、旧慣墓地の適切な管理指導についてのお尋ねがありました。
永続的な管理が必要である墓地の運営については、墓地経営者が墓地使用者から管理料を徴収する、受益者負担が原則とされます。
墓地を管理する団体がない、または将来的に団体がなくなるなど、墓地の管理運営が困難になることが想定される場合は、それぞれの地域の実情を考慮した上で、管理団体の設立、公営墓地への編入または設置墳墓の移転などの持続可能な運営管理に向けた検討を行うよう、旧慣墓地の土地の所有者である市町村に対し指導または助言を行うことになりますが、まずは高知県市町村環境行政連絡協議会などでそれぞれのお考えをお聞きしてみたいと思います。



○4番(今城誠司君) 執行部の皆さんにはそれぞれ適切な答弁をいただきまして、ありがとうございます。
2問目はありませんが、県が主導して賃上げ誘導ができるのは公共工事でありますので、ぜひ率先して賃上げに向けて検討のほう、よろしくお願いをいたしまして、一切の質問といたします。
ありがとうございました。(拍手)