○2番(今城誠司君) 自由民主党、宿毛・大月・三原選挙区選出の今城誠司でございます。昨年の12月定例会で初めての一般質問に登壇をさせていただきました。今回も初めての一問一答ということで、また極度の緊張をしております。
どうかよろしくお願い申し上げます。一括質問が8名、一問一答が14名、今定例会22人目、最後の質問となりました。これまでに議論をされた質問もありまして、項目が少なくなっております。時間いっぱいはかからないと思いますので、おつき合いをよろしくお願い申し上げます。
それでは、早速質問に入ります。初めに、県西部の治水対策についてであります。
先月、高知県沖を通過いたしました強い台風16号の影響によりまして、県西部では20日未明から朝にかけての激しい降雨による河川の氾濫や内水により、広範囲に浸水被害が発生をいたしました。
中でも中筋川支川山田川では堤防を越水し非常に危険な状態となり、内水が一気に上昇し被害が拡大をいたしました。今回の中筋川の本流においても、過去に計画高水位を超過し堤防を越水した、昭和47年7月の台風9号における戦後最大の浸水被害に匹敵する水位であったと言われております。
渡川水系の治水事業については、昭和4年より直轄河川改修事業に着手し、昭和58年には中筋川ダムの建設に着手、平成10年度に完成し、平成11年4月から運用を開始しております。
これまで中筋川の治水対策として河川改修、ダムの建設、排水機場の整備等に取り組んでいただいておりますが、今回の台風16号における中筋川の治水対策の整備効果についてどのような評価をされているのか、土木部長にお伺いをいたします。
○土木部長(福田敬大君) 先月の台風16号では、中筋川ダム上流域におきまして9月18日22時から20日10時にかけまして累計で約425ミリ、時間最大で85ミリの降雨がございました。中筋川では、基準地点であります磯ノ川におきまして計画高水位を超過し、最高水位は戦後第2位を記録いたしております。これは現況堤防高まであと75センチに迫るものでございました。仮に、中筋川ダムがなかった場合は、堤防を約50センチ越水していたと推定されることから、先ほどの75センチプラス50センチで、合計約125センチの水位を低減できたということになり、越水による堤防決壊を回避する整備効果があったと評価をしております。
○2番(今城誠司君) ありがとうございます。今回の洪水についても、中筋川本流における越水の一歩手前までの水位ということで、堤防決壊という最悪の事態を中筋川ダムの洪水調節により回避できたわけでありますが、現在建設中の横瀬川ダムが完成したと仮定した場合の治水効果の試算について土木部長にお伺いをいたします。
○土木部長(福田敬大君) 現在建設中の横瀬川ダムが完成したと仮定した場合、さきに御説明申し上げました125センチに加え、さらに約60センチの水位低減効果が期待でき、堤防の安全性が確保されます計画高水位以下にすることができると聞いております。
○2番(今城誠司君) ありがとうございます。横瀬川ダムの完成による洪水調節により、やっと中筋川の本流における堤防の安全性が確保される計画高水位以下に低減できるとされております。
この横瀬川ダムの効果につきましては、平成19年から平成23年までこの県議会の議場でもたくさんの議論がなされているわけでありますが、中筋川は河床勾配が緩く、横瀬川ダムの建設が最も効果的な治水対策であります。平成21年の政権交代において、ダム事業の検証により約4年のおくれが生じております。この政権交代がなければ、もう既に昨年度完成している予定であり、今回の出水にも洪水調節機能が十分発揮できる状態でありました。
この横瀬川ダムは、今年度いよいよ本体工事の着工の運びとなりました。流域住民は一日も早い横瀬川ダムの完成、運用開始を期待しておりますが、今後の横瀬川ダム事業の残工程と建設促進についてどのように取り組んでいくのか、土木部長にお伺いをいたします。
○土木部長(福田敬大君) 横瀬川ダム建設工事におきましては、本年6月にダム本体工事を契約いたしまして、来る11月13日、現地で起工式を行う運びとなっており、今年度末の基礎掘削の完了を目指していると聞いております。今後はダム本体のコンクリート工事、管理設備工事、試験湛水などを経て平成32年4月からの運用開始に向け、おくれのないよう着実に事業を進めていくと聞いております。県といたしましては、事業計画に基づき、横瀬川ダム事業を着実に進めていただけるよう、関連します四万十市や宿毛市と連携し、完成後のストック効果もアピールしながら、国に対して政策提言を行ってまいります。
○2番(今城誠司君) 事業の検証、土地収用とさまざまなハードルのあったダム事業でございます。一日も早いダム事業完成について御尽力をお願いしたいと思います。
次に、渡川水系整備計画についてであります。
四万十川を中心に、その支川を含めた水系全体の整備計画でありますが、平成21年に渡川水系河川整備方針が決定をされ、長期的な河川整備の最終目標が設定され、昨年の2月には渡川水系河川整備計画が策定をされました。国、県の管理区間の河川整備目標流量を設定し、河川整備が計画をされており、その対象期間はおおむね30年間とされております。時間と予算の伴う大変大きな事業となっております。目標流量を安全に流下させるために、治水事業の計画的な実施により浸水被害の防止を図るとされており、県管理区間においても流下断面の不足する未整備箇所が、支川も含めて数多く存在をしております。
全ての流下断面の不足箇所解消は、予算の都合もあり長い時間かかることは理解できますが、豪雨のたびに冠水被害を受ける地域の基幹となる幹線国道の区間の下流にもこの流下断面の不足した区間があります。速やかな着手が望まれております。
この渡川水系整備計画について現在どのように計画をされて取り組んでおられるのか、今後どのように整備をしていくのか、土木部長にお伺いをいたします。
○土木部長(福田敬大君) 河川整備におきましては、過去に大きな浸水被害が発生したり浸水が頻発したりする河川を優先して実施しております。渡川水系の中筋川支川では、現在ヤイト川の整備を進めているところでございます。
さきの台風16号で中筋川支川の芳奈川においては家屋や国道56号が浸水いたしました。芳奈川のように、整備計画に位置づけられておりますがまだ整備に着手していない河川も多くございます。
先ほど、中筋川ではさきの台風16号の豪雨に対して、横瀬川ダムの完成により約60センチの水位低減効果が期待できるとお答えしたところですけれども、横瀬川ダムの完成に加えて中筋川支川の河川改修を行うことで、流域ではより大きな治水効果が期待できます。このようなことから、県では流域で暮らす皆様の安全と安心を確保するために、ヤイト川に引き続き他の支川の整備にも順次着手してまいります。
○2番(今城誠司君) 集中豪雨の激甚化、頻発化、台風の大型化などによりまして、連続して災害が発生している状態であります。
厳しい予算とは思いますが、渡川水系河川整備計画を計画的かつ迅速に実施していただくことを要請しておきたいと思います。
以上で治水対策は終わりまして、次の質問項目、道路整備についてに入らせていただきます。
市町村からの道路整備に関する要望は多く、道路はストック効果と大規模災害発生時の命の道として必要不可欠な社会資本であります。
中でも四国8の字ネットワークの整備促進については、知事におかれましては全国高速道路建設協議会の会長にも就任をされ、県政の重要課題として整備促進に積極的に取り組んでいただいております。
その成果といたしまして、先月8日には四国横断自動車道、佐賀―四万十間が新規事業化に
必要な都市計画決定に向けて新たな段階に入ることができました。また、同じく先月30日には宿毛―内海間についても、社会資本整備審議会道路分科会四国地方小委員会が開催をされ、念願の計画段階評価の審議に入ることができました。幡多地域の住民にとって長年の夢である高速道路の延伸が事業化に向けて大きく前進をいたしました。大変喜ばしく、知事を初め関係者の御尽力に感謝する次第であります。
この事業化されている区間の整備促進、早期新規事業化、早期の計画段階評価の完了に向け
て今後さらにどのように取り組んでいかれるのか、知事にお伺いをいたします。
○知事(尾﨑正直君) 四国8の字ネットワークの整備促進につきましては、経済効果という観点からも、また防災・減災の観点からも極めて重要な県政課題であると、そのように考えております。
事業中区間であります中村宿毛道路や片坂バイパスなどにつきましては、国において既に整備を進めていただいておるわけでありますけれども、県といたしましても必要な地方負担分、さらには周辺整備事業など必要となる予算、これを優先的に確保するなどいたしまして着実な事業推進に協力をしていかなければならないと、そのように考えております。
計画段階評価の完了いたしました佐賀―四万十間でありますけれども、こちらは御指摘もありましたように、先月8日に新規事業採択に必要な都市計画決定に着手するための図書が国から提出をされたわけであります。
これは非常に大きな一歩だと、そのように考えております。
今後は地元説明会や公聴会などを通じて皆様の御意見を伺いながら、都市計画決定に向けて必要な手続をしっかりと進めていかなければならんと、そのように考えています。
また、先月30日に計画段階評価に着手をしました宿毛―内海間についてでありますが、今後国による住民へのアンケート調査や関係自治体などへのヒアリング調査が実施をされる予定となっております。
県としましては、このヒアリング調査におきまして、当区間が県民の皆様の望む道路となりますように地域の課題や高規格道路の必要性などを国にしっかりと説明していきたいと、そのように考えております。
この8の字ネットワークの早期整備促進を図ってまいりますためにも、この高速道路の必要性、もっと言えばミッシングリンク解消の必要性ということについて全国的な理解が得られるようにしていかなければならないと、そのように考えているところでございます。全国高速道路建設協議会の会長といたしまして、その必要性、意義について各方面に広く訴えてまいりたいと、そのように考えているところでございます。
先月もこの全国高速道路建設協議会の全国の会を開催いたしまして、その後、財務大臣を初め関係者の皆様方にお訴えをさせていただいてまいりました。
さきの熊本地震を見ましても、仮に予定をされておりますネットワークが全て完成をしておりますと、一部寸断された区間、これがあったとしてもリダンダンシーが全体としては発揮をされ、熊本の復旧・復興により早く着手できたであろうということが言われているところでございます。やはりミッシングリンクの解消ということは極めて大事だということが、さきの地震でもわかりました。
やはり防災・減災上の役割は大きい。さらに言えば経済効果という観点からも、本県におきましても6時間圏域というものがあるわけでありますけれども、今土佐清水から神戸あたりまでがちょうど高速道路で6時間で結ばれる圏域になってきているわけであります。
やはり商圏が広がってきて、そういうことを通じて、例えば神戸に土佐清水の居酒屋ができたりとか、そういう効果なども出てきています。
ミッシングリンクが解消され、四国8の字ネットワークができますと大阪まで商圏に入ることになる、その経済効果は非常に大きいものがあると考えられます。各地においてそういう例があるわけでありますから、こういうことをしっかり訴えていきながら全国的な理解の涵養に努めていきたい、それを通じて四国8の字ネットワークの整備促進につなげてまいりたいと、そのように考えております。
○2番(今城誠司君) ありがとうございます。
早期整備に向けて今後ともよろしくお願いいたします。
次に、用地買収において所有者の所在の把握が難しい土地への対応についての質問に入りたいと思います。今年度、私は産業振興土木委員会に所属をさせていただきました。委員会の出先機関等調査事項において、市町村から道路整備要望が数多く出されております。各要望について、担当課においてその整備促進に前向きに取り組んでいただいております。しかしながら、用地取得の課題において、所有者不明の共有地があり権利者の確認調査等を行い課題の整理が必要とされた工区、地図混乱や境界未確定により用地買収が可能なルートが設定できないとして道路整備を断念している工区の存在があります。
原因は、相続に伴う登記手続が数代にわたりなされていない土地で特定できたとしても相続人多数となっている土地や、山林などで存在する記名共有地でほとんどにおいて相続手続が未処理の土地は珍しくなく、全ての所有者及び法定相続人に連絡をとり事業への協力をお願いすることは事実上困難であり、その用地での事業化は断念するというのが実情であります。
所有者の所在の把握が難しい土地は公共事業の場面のみならず、農地の集約化、森林の適正管理を初め多くの都道府県、市町村等で直面する喫緊の課題となっております。
今後このような土地は人口減少や高齢化の進行、単身世帯の増加、地方から都会への人口移動に伴う不在者の増加などにより、過疎地域を中心にさらに増加していくことが予想されております。
このような中、国土交通省では今年の3月に、所有者の所在の把握が難しい土地に関する探索・利活用のためのガイドラインを策定され、地方自治体に対して具体的事案による対応の進展に資する実践的な方策が提示をされております。
この所有者の所在の把握が難しい土地の迅速な解決に向けてどのように取り組んでおられるのか、土木部長にお伺いをいたします。
○土木部長(福田敬大君) 所有者の把握が難しい土地への対応につきましては、事業を進める上で重要な課題であると認識をしております。
しかしながら、憲法第29条で個人の財産権が保障されており、解決までに多くの手続や時間を要するといった課題もございます。
実際には、不在者財産管理制度により簡易裁判所に選任された管理人と土地の売買契約を結ぶなど、さまざまな制度を活用しながら地道に取り組んでいるところでございます。
お話のありましたガイドラインも参考にしながら、より迅速な用地の取得ができるよう今後も取り組んでまいります。
○2番(今城誠司君) ありがとうございます。
市町村からは毎年同じ箇所の要望が出されております。用地買収を進めることのできる方法の検討、国への提言など、事業推進の要望に少しでも応えれるよう取り組みを今後ともよろしくお願いいたします。
次の質問に入ります。用地職員の育成についてでありますが、産業振興土木委員会の出先等調査において、各土木事務所の職員の事務分担を調査する機会がありました。各土木事務所の用地課の職員構成を見てみますと、50代の職員と20代の若い職員の構成で、30代、40代の職員はほとんどいない状態となっております。
公共事業を計画どおりに実施するためには用地の確保が必須であります。円滑な用地取得に向けて、土地に関する幅広い知識と交渉力が物を言いますが、交渉力は実践経験により培われます。
事業規模の縮小による職員の減少とベテラン職員が退職を迎える時期が迫っており、用地取得体制の整備が喫緊の課題とも言えます。
今後、円滑な用地取得体制の整備についてどのように取り組んでいかれるのか、土木部長に
お伺いをいたします。
○土木部長(福田敬大君) 現在の土木事務所の用地担当職員の年齢構成につきましては、用地交渉に必要な知識や経験のスムーズな継承に支障になるのではないかと危惧する面もございます。
対応策といたしましては、一般的な用地職員研修に加えて、補償金算定のための単価表の
見方など、業務に必要な研修を毎年行っているところでございます。
また、用地業務におきましては、何よりも実地で学ぶこと、現地で経験を積むことが重要でございます。
そのため豊富な用地の経験と知識を持つ職員が経験の少ない職員とチームを組んで業務を進めていく中において、OJT――オン・ザ・ジョブ・トレーニングでの指導や助言を通じて専門知識や交渉スキルを高め、今後とも用地職員の技術の向上に取り組んでまいります。
○2番(今城誠司君) 用地の確保は公共事業の一丁目一番地ですので、計画的に次の世代を育てるような人事で、そのノウハウの維持をよろしくお願いいたします。
次の質問に入ります。
大きな項目の3番目、南海トラフ地震対策についてに入ります。
初めに、防災・減災対策を推進するための財源確保についてであります。南海トラフの地震が発生した場合の被害を最小限にとどめるための防災・減災事業に必要な財源確保については、知事において県政の最重要課題として、全国知事会や関係県との連携において、国に対して積極的に政策提言に取り組んでいただいております。
全国防災事業の目的を継承する新たな財政支援制度の創設、緊急防災・減災事業債と同等の支援措置の継続について、平成29年度予算編成に向けての現在の国の動向について知事の御所見をお伺いいたします。
○知事(尾﨑正直君) 防災・減災対策を推進するための財源の確保、これは今年度の予算編成におきまして極めて重要な課題だと、そのように考えております。
平成27年度に全国防災事業が終了いたしました。そして、緊急防災・減災事業債につきましては、平成28年度に終了する予定でございます。
両方とも終了するということになりますと、27年度から平成29年度にかけて約1兆円相当の財源が失われるということになります。
これは、防災・減災対策が急減速をするという可能性を秘めているものでございまして、この点につきまして大変危機感を持って、全国知事会の関係者にも訴えかけ、またさらには9県知事会議におきましてもともに訴えて、関係各省に対して政策提言を重ねてまいったところでございます。
そういう中におきまして、まずこの緊急防災・減災事業債につきましては、総務省において来年度以降も延長する前提で検討を行うということでございまして、まだ年末にかけまして油断はできませんけれども、ぜひとも実現していただきますように今後も働きかけをしっかり行ってまいりたいと、そのように考えております。
全国防災事業を継承する事業ということにつきましては、まさに継承する事業という形での概算要求は行われていないわけでありますけれども、他方でこの概算要求基準の中において国土強靱化や防災・減災を趣旨の一つとします新しい日本のための優先課題推進枠、こちらが設けられたところでございます。
この中において公共事業全体の中で防災関連事業の予算額が大きく確保されるように、これからも政策提言を重ねていかなければならないと、そのように考えております。
防災・減災のための取り組みを進めていく中におきまして、やはり災害が起こった前後を比べてみますと、災害が起こる前にしっかり備えておったほうが、災害の後に応急復旧のための膨大な取り組みを進めていくということに比べても、はるかにトータルとしての財政負担は少なくて済むということが、いろいろな事業でわかってきているところでございます。南海トラフ巨大地震などというような超巨大災害の場合は、その点が特に顕著ということになるんだろうと思われます。
あらかじめ備え、それによって人命も守り、財政負担もトータルとして減らしていく、そういう観点が大事だと、そのように考えておりますので、引き続きそういう点もしっかり訴えていきながら、平成28、29年度以降についての防災・減災のための財源確保ということに努めてまいりたいと、そのように考えております。
○2番(今城誠司君) ありがとうございます。
先日、総務部より今後の財政収支が報告をされました。南海トラフ地震対策に2012年までの7カ年で2,105億円を試算されております。
事業の進捗を図るためにも、今後も有利な財源の確保をよろしくお願いをいたします。
次に、海岸・河川堤防の地震・津波対策の設計津波水位についてであります。東日本大震災を教訓に、平成23年に内閣府より新たな津波対策の考え方が通知をされました。
比較的発生頻度の高い津波、L1クラスに対しては、海岸保全施設を整備することによって津波の浸入を防ぐ防災を目指すとされております。
平成25年には高知県地震・津波防災技術検討委員会において県下全域の設計津波水位が設定をされております。
この高さを基準に液状化沈下量、地殻変動量を考慮して、沈下後にも設計津波水位を上回る堤防高を津波防御の高さとしております。
県東部においては、これまでの高潮対策によりまして、現況の防潮堤が高く、設計津波水位に対しても堤防高の不足した防潮堤は少ない状態でありますが、県西部についてはそのほとんどが設計津波高に対して高さの不足した状態となっております。
県が管理する海岸の延長は200キロあり、そのうち145キロでL1に対して高さが不足していると言われております。
津波防護での整備高については、このL1の水位を基本とし、さまざまな地域条件を考慮し、住民の意見を聞きながら実際の整備高を設定することとされております。
この津波防御の高さについて現在取り組まれている各工区でどのように設定をされているのか、土木部長にお伺いをいたします。
○土木部長(福田敬大君) 海岸堤防の高さにつきましては、議員の御指摘のとおり比較的発生頻度の高い津波、いわゆるレベル1津波の高さで整備することを基本としております。国直轄事業の高知海岸や県事業の高知前浜海岸などでは、レベル1津波の高さで設計し、整備をしております。
一律にこのレベル1津波の高さで整備すると、地域によっては堤防を高くかさ上げすることによって海が見えなくなるですとか日が当たらなくなるなど、生活環境や漁業活動などに大きな支障があるとの地元住民の方々からの意見も聞いております。
そのような地域におきましては、地元住民の方々の意見をお聞きしながら、長期浸水の解消や避難時間を稼ぐことができるなど、一定の効果が期待できる高さを設定していく方針としております。
また、河川堤防の高さについても住民の方々の意見を聞きながら、海岸堤防との調整を図ってまいります。
○2番(今城誠司君) ありがとうございます。
県西部において、宿毛、須崎、土佐清水は現況の防潮堤が低く、設計津波水位で計画しますと現実的でなくなります。
その整備計画については住民意見に配慮をして、堤防高、防潮位置について十分に具体的な協議の時間が必要でありますが、次の質問、海岸・河川堤防の整備計画への住民意見の反映についてに入らせていただきます。
昨年度より宿毛市においては、河川・海岸堤防の地震・津波対策について住民説明会が市内各地で開催されております。
宿毛市において県の整備方針として、津波に対して国の整備目標である設計津波水位までの整備は現実的でなく、L1、L2とも住民避難を基本とするとされ、防潮堤を耐震化の上、広域地盤沈降を考慮しても平均満潮位より50センチ程度の余裕高とした防潮堤として、長期浸水対策の排水に必要な最低限の高さの整備を提示し説明をされております。
住民にとって守ってもらいたい高さと通常生活する上で支障となる高さもあり、住民の意見もさまざまであります。
防潮堤の整備高については東北地方でも課題となっており、住民との合意形成は大きな課題でもあります。
今年度、どのようにこの説明会を継続して開催し、この住民説明会での意見を今後の整備計画にどのように生かしていくのか、土木部長の御所見をお伺いいたします。
○土木部長(福田敬大君) 昨年度、宿毛市の長期浸水区域内の住民の方々、それから港湾利用者等を対象として説明会を17回開催いたしまして、その後宿毛市全体の説明会を開催したところでございます。
その中で、高さについては堤防から離れた住民の方からはなるべく高くしてほしいという意見がございました。逆に、堤防直背後の住民の方々や港を利用する方々からは、堤防を高くすれば生活環境や港の利用に支障が出るとの意見が多かったと聞いております。
そのほか、消防車の水とりに支障がないようにしてほしいなどとの意見がございました。
今年度も引き続き長期浸水区域を4ブロックに分けて説明会を開催し、住民の方々の御意見を聞くこととしております。
その後、宿毛市全体の説明会を開催し、各ブロックからの意見を集約した結果を住民の方々に御説明する予定としております。
説明会での意見を設計に反映させていくなど、地元の方々と十分に協議を行いながら整備断面を決定し、早期に工事着手してまいりたいと考えております。
なお、松田川の堤防の整備につきましては、昨年度の説明会で計画について御理解をいただいたことから、現在既に工事を進めているところでございます。
○2番(今城誠司君) ありがとうございます。
今回の整備の意義を十分に住民の皆さんに御理解をいただき、さまざまな要望を考慮した上で、一日でも早い整備に着手できますことを要請しておきます。
次に、四国広域道路啓開計画についての質問に入らせていただきます。今年3月に四国4県の関係機関が連携をして、四国広域道路啓開計画が策定をされました。東日本大震災では、くしの歯作戦による迅速な道路啓開が人命救助や緊急物資の輸送、さらには復旧・復興に大きく寄与をいたしました。
今回策定された四国広域道路啓開計画は、瀬戸内側から被害の甚大な太平洋側へ向けて、扇形に8つの進出ルートを設定する四国おうぎ作戦として計画がされております。
この四国おうぎ作戦の8つのルートについてどのようなルートが選定をされ、その道路啓開の所要日数をどのぐらい見込んでおられるのか、土木部長にお伺いをいたします。
○土木部長(福田敬大君) 四国おうぎ作戦では、本州からの支援部隊を受け入れるための出発拠点として、瀬戸内側に松山、高松、徳島の3つのエリアを設定しております。
一方で支援部隊が集結する集結拠点として太平洋側に宇和島、四万十町、高知、阿南の4つのエリアを設定しております。
その上で、この3つの出発点と4つの集結拠点並びに集結拠点同士をつなぐ高知自動車道、国道33号、国道55号、国道56号、国道381号など8つの進出ルートを設定しているところでございます。
これらのルートを道路啓開に要する日数として3日以内を目標としております。
さらに、これらの進出ルートが被災をして啓開作業に時間を要する場合も想定し、臨機の対応が可能となるよう、これらを補完する国道32号、194号、195号、441号などの代替ルートも選定しているところでございます。
○2番(今城誠司君) 次に、道路啓開の基本的な考え方として、道路管理者の道路啓開と、今回新たに四国内外からの支援部隊の活動が計画をされております。
道路啓開業者の配置計画と支援部隊の活動について土木部長にお伺いをいたします。
○土木部長(福田敬大君) 四国おうぎ作戦におきましては、道路啓開対象路線が高速道路や国道、県道まで多岐にわたっております。
このことから道路啓開業者の配置計画は各県の道路啓開計画に委ねられております。ことし2月に策定いたしました高知県道路啓開計画におきましては、関係する土佐国道事務所や中村河川国道事務所と調整し、道路啓開業者の配置計画を定めたところでございます。
なお、本州からの支援部隊につきましては、各県の道路啓開計画で配置されている建設事業
者と共同で道路啓開作業を行うこととしております。
○2番(今城誠司君) 支援部隊について少し再質問をさせていただきます。
この部隊はどのような方がどこから来られるのか、どのように招集をして、どのようにそろっていくのか、お聞かせください。
○土木部長(福田敬大君) 本州からの支援部隊につきましては、中国の地方整備局等々の道路啓開計画に基づくような形で、それぞれ関係する業者と協定を結んで派遣をするような計画を今後つくっていくというふうに考えております。
○2番(今城誠司君) 次に、今後の課題といたしまして、この計画の実効性をさらに担保するために、四国道路啓開等協議会においてどのように取り組んでいかれるのか、土木部長にお伺いをいたします。
○土木部長(福田敬大君) 南海トラフ地震が発生した場合、甚大な被害が想定されます本県にとりまして、この四国おうぎ作戦が機能することによりまして広域的な支援が期待できるわけでございます。
一方で、このおうぎ作戦は各県の道路啓開計画の上に成り立っているものでもございます。
このため、本県では四国のほかの3県に先駆けて道路啓開計画を策定いたしました。
そのため、本県におきましてこの計画策定のノウハウや課題を一定程度把握しておると認識をしております。
このことから、四国道路啓開等協議会におきまして、それらのノウハウを他県に提供しながら、ほかの3県においても早期の道路啓開計画策定を促してまいりたいと考えております。
その上で、関係各機関の連携・協力体制を構築していくことが、南海トラフ地震発生時に一人でも多くの県民の皆様の命を救うことにつながると考えております。
さらには、各機関の協力のもと訓練を実施し、情報伝達や道路啓開作業の課題を洗い出し、随時見直しを行うことで実効性を高めてまいります。
○2番(今城誠司君) 次に、高知県道路啓開計画についてであります。
本年3月末に道路啓開計画の実効性を担保するために、高知県建設業協会と南海トラフ地震発生時の道路啓開に関する協定が締結されたとお聞きをしております。
情報網が途絶して指示ができない場合でも、事前に定めた業者割りつけ図、手順書に基づき啓開作業に着手が可能であり、道路管理者からの指示なしで作業をしても労災補償、支払いが担保される協定になっていると聞いております。
道路啓開手順道路啓開担当業者との意見交換会が7月、8月にかけて県下全域で開催され、さまざまな意見が出されたと報告をされております。
道路啓開を確実に実施するために見えてきた課題と実効性の向上についてどのように取り組んでいかれるのか、土木部長にお伺いをいたします。
○土木部長(福田敬大君) 議員のお話にもありましたとおり、ことし3月に高知県建設業協会と南海トラフ地震発生時の道路啓開に関する協定を締結することができました。
道路啓開作業を担っていただく建設事業者の役割は、地域の安全・安心を守る上でますます重要となっており、最前線で啓開作業に当たっていただく建設事業者の御意見を道路啓開手順書に反映させていくことが必要と考えております。
このことから、本年7月から8月にかけまして建設事業者などとの意見交換会を開催したところ、連絡体制の一本化や簡素化などの多くの意見をいただいたところです。
このため、今年度中に幡多地区など3カ所で指揮命令系統を確認するための情報伝達訓練を実施し、そこから得られた課題をもとに必要な手順書の見直しを行ってまいります。
さらに、見直した手順書をもとに被災想定シナリオを作成し、来年度にはこのシナリオを活用した実動訓練を実施することによって、計画のさらなる実効性の向上に取り組んでまいります。
○2番(今城誠司君) 常に道路啓開計画もその実効性の向上に取り組んでバージョンアップが必要と思いますので、今後ともよろしくお願いを申し上げます。
次に、応急期機能配置計画についての質問に入ります。発災時には、避難所や応急住宅用用
地等さまざまな機能が必要となります。
事前に必要な機能の配置を検証し計画する応急期機能配置計画の策定に昨年度より沿岸の13市町村で着手をされ、本年度は全市町村で策定に着手をされたと聞いております。
来年度には機能配置計画の広域調整を行うとされております。
この計画は、死者数、負傷者数などで必要な施設の配置を計画するわけですが、県の被害想
定の人口ベースは平成17年国勢調査であり、最新のデータは実際には大幅に減った市町村もありますが、前提となる被害想定はどのような形で統一をされているのか、危機管理部長にお伺いをいたします。
○危機管理部長(酒井浩一君) 応急期機能配置計画の策定に当たりましては、南海トラフ地震発生時の応急活動や復旧・復興のために市町村内の限られた施設や用地の中で、必要なスペースなど確保しなければならない状況でございます。
特に、想定される避難者と死亡者の数につきましては、一人一人の数が直接スペースの確
保に影響するため、平成22年の国勢調査の人口を反映させております。
○2番(今城誠司君) ありがとうございました。
市町村の危機管理担当職員も人員不足で、たび重なるいろいろな計画策定で苦労しているとも聞いております。
地域本部の市町村の策定支援についてどのように取り組んでおられるのか、危機管理部長にお伺いをいたします。
○危機管理部長(酒井浩一君) 計画策定に当たりましては、地域本部の職員が市町村への助言や活用可能な県有施設の情報提供、先行事例の紹介などの支援を行っております。
今後も引き続き今年度中に全ての市町村で計画が策定できるよう支援をしてまいります。
○2番(今城誠司君) 今年度、全市町村で応急期機能配置計画の策定が完了し、来年度それぞれのブロック内、ブロック間の調整に入るとされておりますが、具体的にどのように広域調整を行うのか、お伺いをいたします。
○危機管理部長(酒井浩一君) 市町村が単独で必要な全ての機能をみずからの市町村内で確保することは難しいことも想定されます。
そうした場合、まず県がブロック内で余裕のある市町村に他の市町村の機能を確保していただくことや、それぞれの市町村の機能を集約して1カ所で機能を確保するといった調整を行います。
さらに、ブロック内で調整ができない場合には隣接するブロック間で同様の調整を行うことを考えております。
○2番(今城誠司君) ありがとうございました。
長期浸水で機能の確保が難しくなる市町村もありますので、被災時に確実に配置ができるよう計画策定をよろしくお願いいたします。
次の質問に入らせていただきます。市町村庁舎と県出先機関の合同庁舎の構想についてであります。
さきの熊本地震では、災害時の司令塔となるべき自治体庁舎そのものが大きな被害を受け、災害対策本部として機能不全に陥る事態となりました。
老朽化した庁舎の建てかえが喫緊の課題となっている自治体でも新庁舎の建設は県、国とも補助対象外であり、高台移転に伴う庁舎建設の場合は緊急防災・減災事業債を充当することが可能でありますが、今年度で終了する予定となっております。
多くの自治体では財政上の負担がネックとなり、庁舎の建設に踏み切れない状況となっております。
先進的な手法として、お隣の愛媛県と愛南町では、ともに築後40年以上経過した老朽化施設を新しく合同庁舎化することにより、行政機能の集約化による利便性の向上や南海トラフ地震時等の未曽有の災害時においても迅速かつ途切れることのない行政サービスの拠点として、地域住民に安全・安心な施設提供を行うとして、愛南庁舎の1階部分に県の出先機関が入所し、建設費、維持管理費の縮減をする形で全国でも数少ない整備手法をとっております。
県内においても、今後高台移転の検討に入る出先機関もあろうかと思いますが、県と市町村
間で連携して施設整備に取り組むことについて総務部長の御所見をお伺いいたします。
○総務部長(梶元伸君) 自治体の本庁舎は災害時の司令塔になるものでございますので、十分な耐震性が求められますが、県内には本庁舎の耐震性が確保されておらず、また設計にも着手していないという市町村が7つあるというふうに承知をしてございます。
人口減少が進む中で必要な行政サービスを効率的に提供していくという観点からも、複数の自治体で庁舎に限らず公共施設を集約化していくという視点を持つことは大変重要なことと思っておりまして、現時点では出先機関と市町村庁舎を合築するというような具体的な計画はありませんけれども、今後の県有施設の高台移転や建てかえなどの検討に際しましては、地元自治体とも連携をし、情報を共有する中で、御指摘のありました愛媛県と愛南町の取り組みを大いに参考にさせていただきたいと考えております。
○2番(今城誠司君) 十分可能性はあると思いますので、構想の一つとして検討をしていただきたいと思います。
以上で南海トラフ地震対策は終わりまして、次に林業振興に入りたいと思います。
原木生産量について、平成26年には61万立米を達成し、順調に生産量が伸びておりましたが、昨年度は59万2,000立米と第2期目標値の72万立米には12万立米の差があり、生産量が伸び悩んでおります。
第3期産業振興計画における平成31年の目標値として78万立米を設定しておりますが、その達成に向けて原木の生産性の向上が強化のポイントとされております。
その強化の方向性について林業振興・環境部長にお伺いをいたします。
○林業振興・環境部長(田所実君) 原木の増産に向けましては、森林を集約化する森の工場の拡大や作業道の整備、高性能林業機械の導入支援、皆伐の促進といった取り組みとあわせまして、作業システムのさらなる改善を支援することなどにより、原木の生産性の向上に取り組んでいるところでございます。
これらに加えまして、今年度からの新たな取り組みとして、林業事務所ごとに一つの森林組合に的を絞り、個別の支援チームを設置し、それぞれの課題に応じて事業地の確保や路網配置の検討への支援、優良事業体での研修、アドバイザーの派遣などを行いますとともに、現場作業の工程調査により伐採、集材等の作業工程を徹底的に細かく分析して、生産性が上がらない原因となっているボトルネックを洗い出し、そこを改善していく取り組みを始めています。
こうした取り組みを強化しながら生産性向上の成功事例をつくり、他の林業事業体に広げていくことによって原木のさらなる増産に向けて取り組んでまいります。
○2番(今城誠司君) 早く終わるつもりが終わらなくなりました。
次回、12月にこの続きはやりたいと思いますので、以上で質問を終わります。
ありがとうございました。