平成28年12月定例会 一般質問

2番(今城誠司君) 自由民主党、宿毛市・大月町・三原村選挙区選出の今城誠司でございます。
副議長のお許しをいただきましたので、早速質問に入らせていただきます。

初めに、産業振興計画についてお伺いをいたします。
本県の経済は、尾﨑県政の進める地産外商を柱とする産業振興計画による成果と安倍政権が進めるアベノミクスの力強い相乗効果により、着実に上昇しております。中でも有効求人数は、先日高知労働局から発表された10月データによりますと、1万4,999人と19カ月連続で前年同月比プラスで推移をしております。
県内の有効求人倍率季節調整値は1.12倍で昨年9月分から1倍に達し、以後継続して1倍を超えて高い水準で推移をしております。
これまで公共職業安定所別では地域間で大きな格差がありましたが、安芸所においては先月発表の9月分から1.06倍に達し、10月分においても1.14倍と過去最高値を更新している状況となっております。
幡多地域の四万十所においても前年同月を0.19ポイント上回る0.91倍、いの所においても前年同月を0.21ポイント上回る0.81倍と高い伸び率で推移をしております。
有効求人倍率については地域間格差が課題の一つでありましたが、産業振興計画地域アクションプランの取り組みの成果により大きく解消傾向にあります。
昨年までの状況とは違い、県下のほとんどの地域、ほとんどの産業で人手不足感が強まっております。
この新たな段階の課題解決に向けてどのように第3期産業振興計画のバージョンアップに取り組んでいかれるのか、知事にお伺いをいたします。

次に、林業労働力の確保についてお伺いをいたします。本定例会の知事提案説明にもございましたが、今年度から取り組んでおります森林組合支援チームの成果もありまして、県内23森林組合の本年度上半期の原木生産量は前年同期より11%増加をしていると報告がありました。
本年度の目標であります原木生産量73万5,000立米の達成に向けて原木の生産性の向上と担い手育成・確保が課題であります。
林業労働力の確保については、高知県における林業労働力の確保の促進に関する基本計画を策定し取り組んでいる状況であります。第4次計画のスタート時の平成23年度の林業就業者数は1,661人でありましたが、平成26年度においては1,602人とさらに減少する結果となっております。
本年度をスタートとする第5次計画の目標値は、平成33年度末に1,777人の林業就業者を確保するとされております。
慢性的に林業従事者が不足している状況により平成27年度は原木生産量の目標が達成されておらず、林業の担い手確保が必要不可欠であります。
そのような中で林業学校の第1期生14名全員が県内の森林組合や林業事業体への就職につながったことは、大いに評価できる結果となっております。
しかしながら、就労環境の差で他業種への流出が多いと聞いております。林業事業体の経営基盤が脆弱で、賃金や雇用条件など就業環境が他産業に比べて必ずしも良好とは言えない状況があります。
山で働くことにより安定した収入を得て、福利厚生の充実により魅力ある職場環境をつくることが林業従事者の確保につながると思いますが、林業事業体の経営基盤の強化及び就労環境の改善についてどのように取り組んでおられるのか、林業振興・環境部長にお伺いをいたします。

次に、森の工場の拡大推進についてお伺いをいたします。森の工場は、森林を集約化し、収益性の向上による森林所有者への所得の還元、さらには林業就業者の安定的な雇用の場を確保することを目的に、高知県独自の施策として平成16年度より制度化して取り組んでおります。
平成27年度までの間に、177工場、6万5,980ヘクタールが森の工場として認定されており、搬出間伐の生産性が向上し、民有林の間伐材生産量は大きく向上し、民有林の間伐事業に従事する林業事業体の多くが森の工場に取り組むなど制度の普及が図られております。
第3期の産業振興計画において、平成31年に8万1,600ヘクタールの目標を設定して取り組んでおりますが、新たな森の工場へ参入する林業事業体が著しく減少しているとお聞きをしております。
異業種からの新規参入を含む新規事業体の掘り起こし、森林所有者との合意形成への支援、効果的な作業システムによるさらなる労働生産性の向上が課題とされております。
森の工場の拡大推進について、目標達成に向けてどのように取り組んでいかれるのか、林業振興・環境部長にお伺いをいたします。

次に、養殖魚の輸出促進についてお伺いをいたします。本県の沿岸漁業生産額は、平成25年は423億円と平成27年の目標値370億円を大きく上回っております。主な要因としては、クロマグロ養殖業の生産額が大きく増加していることが挙げられております。クロマグロ養殖については、昨年の天然種苗ヨコワの全国的な豊漁により、二、三年後に養殖クロマグロの供給量が大幅にふえることによる価格の変動が危惧されております。
また、国内においては急速な高齢化、少子化等による生活構造の変化等もあり、国内の水産物の需要が急速に減少をしている状況となっております。
しかしながら、中国を中心に世界の各国では魚の消費が増加をしており、養殖業においては、安全・安心の確保、生産の効率化に努める努力とともに、海外市場等の新たな販路を開拓していくことが重要となっております。
今後、本県の養殖業のさらなる振興を考えると養殖魚の輸出拡大を図ることが大切であると考えますが、県としてどのように取り組んでいくのか、水産振興部長にお伺いをいたします。

次に、流通・輸出拠点漁港整備についてお伺いいたします。宿毛湾の養殖魚を核とする水産業クラスターの形成については、水産物の輸出への取り組みが大きな鍵となります。
水産庁は、海外での日本食ブームや健康志向を追い風に2020年の水産物輸出額を2015年比3割増の3,500億円に引き上げることを目指しており、2020年度までに水産物の欧米やアジアへの輸出を担う強化漁港を全国で70から80カ所整備し、EUの厳しい輸入基準を満たせるように水揚げから出荷までを衛生的に管理できる施設整備に取り組むとされております。
本年度末までに閣議決定する漁港整備の長期計画にこうした方向性を盛り込むとされており、1、水産物の取扱量が原則5,000トン以上、2、養殖用水産物の取扱量が原則1,000トン以上のいずれかを満たす漁港を流通・輸出拠点漁港とする方針が示されております。
全国で該当する約150カ所のうち、高度な衛生管理体制で出荷できる漁港は2割程度にとどまっており、これを2020年度までに5割に引き上げる計画となっております。
宿毛湾の養殖魚の新たな出荷・加工基地については喫緊の課題であり、陸揚げから出荷まで一貫した衛生管理のもとで取り扱う水産物を輸出するため、高度衛生管理型漁港として整備し、HACCP対応が必要なEU等へ輸出を拡大、それ以外の国、地域への輸出についても商品価値を高めるために幡多地域広域水産業クラスターの核となる田ノ浦漁港の流通・輸出拠点漁港への拡大整備促進が必要と思われますが、どのように取り組んでいくのか、水産振興部長にお伺いをいたします。

次に、新規就農者確保についてお伺いをいたします。第2期産業振興計画において、本県の農業を維持・発展させていくために必要な新規就農者として、年間280人を目標と設定し取り組みを展開しております。
平成25年から260人を超えて推移し、本年6月までの1年間の調査では過去最多の270人と報告されておりますが、平成27年度の目標である280人の達成には至っておりません。また、この調査では、Iターン者の新規就農が162人と全体の6割に達するとも報告されておりますが、他産業を離職した後に実家で就農するUターンは85人にとどまり、Uターン就農への支援の強化も必要となっております。
第3期産業振興計画においては年間320人とさらに高い目標設定がされております。
目標達成に向けては、Uターン就農者の確保も課題となってくると考えられますが、どのように対応していくのか、農業振興部長にお伺いをいたします。

次に、環境制御技術の導入状況についてお伺いをいたします。オランダ農業の象徴は環境制御システムであります。温度、湿度、光量、CO2濃度、風速等数多くのデータを解析して空調、ポンプ等を自動制御することによって作物の光合成能力を最大限に高める生産管理システムであります。
県では、平成26年度より施設園芸において生産性の向上に速効性のある環境制御技術の普及に取り組んでおります。昨年度は1億700万円の予算を計上し普及に取り組みましたが、主要7品目での導入面積は73ヘクタール、その他の7品目以外を加えましても95ヘクタールと目標普及面積の半分程度にとどまっておりました。
環境制御技術の導入については、様子見をしている農家が多く、予算の執行率についても半分以下の結果となっておりました。
しかしながら、本年度については環境制御技術普及促進事業費補助金の申請が殺到しているとお聞きをしております。
そこで、現在の補助金の申請状況について、またどのような取り組みによりこのような加速化につながったのか、農業振興部長にお伺いをいたします。

次に、高齢者施設の利用者の安全確保についてお伺いをいたします。
今年の8月31日に、岩手県岩泉町の認知症高齢者グループホームにおいて、台風10号に伴う豪雨により河川が氾濫し施設内に濁流が流れ込み、入所者9人が犠牲になりました。
この施設では平家の建物の天井付近まで浸水したと見られております。この施設は2011年の豪雨でも浸水した事実があり、その立地特性に即した避難判断ができておらず痛ましい災害となりました。
また、2009年には山口県防府市の豪雨災害による土石流により特老で7名死亡、2010年には奄美豪雨によりグループホームで2名死亡の災害が発生しております。
今年の台風16号に際しては県内の施設においてその立地特性を判断し、それぞれ適切な避難行動により安全が確保されたと聞いておりますが、浸水想定区域、土砂災害警戒区域、土砂災害特別警戒区域に位置する高齢者福祉施設について県はどのように把握をされているのか、地域福祉部長にお伺いをいたします。

次に、今回の災害発生を受けて国より介護保険施設等における利用者の安全確保及び非常災害時の体制整備の強化徹底について通知が出されております。
各施設における非常災害対策計画の策定状況及び避難訓練の実施状況について、点検及び遅くとも年内までに改善されるよう指導・助言を行うとされておりますが、その実施状況について地域福祉部長にお伺いをいたします。

次に、児童相談所強化プランについてお伺いをいたします。
全国で児童虐待対応件数は依然として増加し、子供の命が失われるという痛ましい事件も後を絶たないという状況であります。平成27年度中に全国の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は、過去最多の10万3,260件に上がっております。厚生労働省が統計をとり始めた平成2年度以来、25年連続増加という深刻な事態となっております。
本県においても、児童相談所への児童虐待の相談件数は、平成26年度が383件であったものが昨年度は515件となっており、そのうち虐待と認定された件数については、平成26年度が235件であったものが昨年度は379件と大幅に増加傾向にあります。
県内においても、平成20年、平成26年に残念ながら虐待死亡事件が発生しており、死亡事例検証委員会からの提言に基づき、課題解決に向けた改善に取り組んでいるところであります。
そのような中、本年5月に改正児童福祉法が成立いたしました。
全ての児童が健全に育成されるよう、児童虐待について発生予防から自立支援までの一連の対策のさらなる強化等を図るため、児童福祉法の理念を明確化するとともに、母子健康包括支援センターの全国展開、市町村及び児童相談所の体制の強化、里親委託の推進等の所要の措置を講ずる内容となっております。
さらに、児童相談所の体制強化として、厚生労働省により児童相談所強化プランが策定をされました。専門職の増員等、児童福祉司の資質の向上、関係機関との連携強化等が盛り込まれており、児童福祉の課題解決に資する対応であると期待をされております。
そこで、県としてこの児童相談所強化プランに対してどのように取り組んでおられるのか、地域福祉部長にお伺いをいたします。

次に、里親委託等の推進についてお伺いをいたします。虐待や予期しない妊娠など何らかの理由で親と一緒に暮らせない子供は、全国で3万9,000人に上ると言われております。
こうした社会的養護下にある子供たちの実に9割近くがこれまで児童養護施設等の施設における養育が中心となっておりましたが、社会的養護は家庭に近い環境での養育を推進するため、養子縁組や里親、ファミリーホームへの委託を一層進めることが重要であることから、高知県家庭的養護推進計画を策定し、平成41年度までに、施設、グループホーム、里親等の割合をそれぞれ6割、2割、2割にしていくという目標が掲げられ、取り組んでおります。
今回の児童福祉法改正により、里親制度の広報啓発等による里親開拓から里親と児童のマッチング、里親に対する訪問支援、里親に委託された児童の自立支援まで、一貫した里親支援及び養子縁組に関する相談支援について児童相談所の業務として位置づけられました。
県内の里親委託について、現在の状況とその推進の取り組みについて地域福祉部長にお伺いをいたします。

次に、幡多児童相談所の一時保護機能についてお伺いをいたします。幡多児童相談所の一時
保護所については、平成7年度に、利用率の低下及び事務事業の効率化を図るために中央児童相談所の一時保護所に統合されました。その後、平成12年に児童虐待防止法が施行され、一時保護件数も、各年度ばらつきがあるものの増加傾向に推移をしている状況となっております。
幡多児童相談所の一時保護についても、中央児童相談所へ移送するケースとともに四万十市内の児童養護施設若草園への一時保護委託の件数も増加をしております。さらに、平成26年に発生した児童死亡事例の検証結果報告による提言を受けて、児童の安全を最優先するためには、ちゅうちょするより、まずは保護を実施する基本方針で取り組んでおり、一時保護件数が急増している状況であります。
一方で、幡多児童相談所においては、緊急一時保護が必要と判断する児童に対して、中央児童相談所及びその他の児童養護施設においても過密状態により物理的に受け入れが不可能という事態が生じております。
児童虐待件数が増加する中で、一時保護を必要とする児童は拡大が見込まれており、夜間の緊急対応などを考えれば幡多児童相談所にも再度一時保護所の付設が必要と考えますが、今後の幡多児童相談所の一時保護機能確保についてどのように取り組んでいかれるのか、地域福祉部長にお伺いをいたします。

次に、南海トラフ地震対策についてお伺いをいたします。
本年4月に発生した熊本地震では、最大震度7の揺れが2回発生し、その後も強い余震が続くという繰り返す揺れへの対応、避難所の確保と運営、物資の配送計画に大きな課題があったとされております。南海トラフ地震ではより厳しい状況になると予想されており、県では熊本地震から学べる部分を反映した南海トラフ地震対策行動計画の見直しに着手をされております。
そうした中、11月22日に福島県沖で早朝5時59分に深さ約25キロを震源とするマグニチュード7.4の地震があり、最大震度5弱を観測、福島県に3メートルの津波警報が出され、テレビ放送はしきりに避難を呼びかけておりました。
東日本大震災の際にも、車で避難したため津波にのみ込まれた多くの犠牲者が出ましたが、その教訓が生かされていなく、内陸部へ避難する車で渋滞し、沿線のガソリンスタンドに給油待ちの行列ができ、さらに渋滞が大きくなっている状況が放送されておりました。また、東日本大震災の浸水区域でも避難しない住民もおり、津波からの早期避難意識の希薄化が進んでいるのではないかと指摘をされております。
本県においてもこの早期避難の意識の希薄化が大変重要な問題だと思いますが、どのように考えておられるのか、知事にお伺いをいたします。

次に、長期浸水における救助救出体制の整備についてお伺いをいたします。最大クラスの地震が発生した場合、高知市の市街地において約2メートルの地盤沈降により2,650ヘクタールの長期浸水、約6万人の要救助者が想定されております。
宿毛市の市街地においては、県下でも最も厳しい最大で2メートル40の地盤沈降により362ヘクタールの長期浸水、約8,000人の要救助者が想定されております。
高知市においては、平成22年より南海地震長期浸水対策検討会を組織して長期浸水被害を最小限にとどめるための対策を検討し、平成25年3月に今後取り組む対策をまとめられました。
宿毛市においても、宿毛市長期浸水対策検討会を組織し、平成25年から高知市での検討結果を生かしながら宿毛市の特徴的な被害の状況をリアルに想定して、平成27年3月に対策がまとめられております。
両市とも、この対策検討会で取りまとめた対策について関係機関でその進捗を確認し連携を図るために、それぞれに連絡会を組織して取り組んでおります。
中でも、発災直後の救助救出対策についてはその要救助者の数に比べて現在の救助能力が著しく低く、大きな課題となっております。
この課題については、第3期南海トラフ地震対策行動計画においても重点的に取り組む課題とされているところです。
この長期浸水区域内における迅速な救助救出について高知市及び宿毛市では関係機関でどのように取り組んでおられるのか、危機管理部長にお伺いをいたします。

次に、長期浸水における止水対策についてお伺いをいたします。現在、長期浸水が想定される高知市、宿毛市においては、河川堤防、海岸堤防の地震津波対策に取り組んでおりますが、全体の完成までにはまだまだ長い時間がかかります。
南海トラフ地震により耐震対策がされていない堤防が地盤沈降、液状化により損傷、沈下することにより、高さの不足した状態に対して新たな浸水が生じないように止水対策を実施した上での排水作業が必要となります。長期浸水対策検討会の想定によりますと、現在、河川・海岸堤防のうち耐震化されていない区間が全て被災し緊急復旧が必要になったとすると、高知市において大型土のうが約15万個、中詰め土砂約29万立米、宿毛市においては大型土のう約6万6,000個、中詰め土砂約12万立米が必要と試算がされております。
この緊急復旧所要日数については、施工機械を十分確保して24時間施工を行っても各エリアで7日から28日を要すると試算がされております。
道路の機能復旧については、現在高知県道路啓開計画を策定し、啓開担当区間の業者の割り
つけ等により、実効性の高い計画に取り組んでおりますが、同様に長期浸水の止水対策についても、建設関係団体との事前協定、効率的な緊急復旧体制の構築、止水資機材の確保により実効性を高める必要があると思われますが、現在どのように取り組んでおられるのか、土木部長にお伺いをいたします。

次に、震災時における燃料の備蓄供給体制の確保についてお伺いをいたします。
宿毛市の長期浸水時の排水方法としては、現存のポンプ場では耐震、耐水、停電対策を満たす排水機場が存在をせず、その対策には多額の予算が伴い、長期的な目標となっております。
そのため、災害時応急排水を行うこととなっておりますが、これについては近傍の国土交通省の排水ポンプ車9台のポンプによる約10日間の排水日数を要すると想定されております。排水ポンプ車を9台配置した場合は動力の燃料として1日当たり約7.3キロリットルの軽油が必要であり、全域を排水ポンプ車のみで排水した場合には約67キロリットルが必要であると試算をされております。
長期浸水区域外に存在する宿毛市内のガソリンスタンドの軽油貯留可能量は48.7キロリットルでしかなく、道路啓開作業の重機の稼働も同時進行されることが想定され、必要燃料の確保と供給体制の確立が課題となると思いますが、どのように取り組まれているのか、危機管理部長にお伺いをいたします。

次に、住宅の耐震化の加速化についてお伺いをいたします。第3期南海トラフ地震対策行動計画において、住宅耐震化の加速化は重点課題であります。住宅耐震化率については平成28年3月末において77%にとどまっており、平成31年3月までに82%とする目標を設定して取り組んでおります。今年度の状況として、熊本地震以降住宅の耐震化について県民の関心が高まり、耐震診断、耐震設計、耐震改修について大幅にふえている状態とお聞きをしております。
今年の県民世論調査の中間報告によりますと、旧耐震基準の住居の持ち主の77.2%が耐震診断を受けたことがないという結果が出ております。
県では、今年度より年間1,500棟の耐震改修を目標とし、全市町村で戸別訪問を実施し、耐震診断の奨励に取り組んでおり、さらに今年度から、耐震設計や改修工事は所有者の負担が重いことから、費用負担を抑えながら段階的に安全性を高める耐震改修への支援制度が新たに創設されました。しかしながら、この制度を導入した市町村は10月1日現在で4つの町村にとどまっており、制度の利用はまだないと聞いております。
市町村で段階的耐震改修に対する支援制度の導入が進まない理由と今後の取り組みについて土木部長にお伺いをいたします。

次に、農業ため池の整備に関してお伺いをいたします。県内には、水利組合や市町村が管理するため池が約400カ所あり、このうち万一決壊すると下流の人家や公共施設などに被害が及ぶおそれがある防災上特に重要なため池が121カ所あり、そのうち21カ所のため池で耐震性が確保できていないと報告をされております。平成32年度までに全てのため池で耐震化を完了させる方針で、順次事業が進められております。
しかしながら、昨年度については、国の予算の割り当て不足で事業費が約2億円の減額をされており、計画どおり耐震化を進めるためにはその予算の確保が課題であります。
ため池の耐震化の計画的な実行についてどのように取り組んでおられるのか、農業振興部長にお伺いをいたします。

次に、4月の熊本地震においては、熊本県が2013年度に実施した耐震調査で安全と判定をされた57カ所のうち8カ所が損壊しております。
中でも最も被害の多かった西原村の大切畑ダムでは、堤が崩れ一時は決壊のおそれがあるとして104世帯に避難指示が出されました。この大切畑ダムは耐震性が安全の判定であったので、住民向けのハザードマップが作成されていなかったとされております。
本県のため池の耐震化について、その設計基準とハザードマップについてどのように取り組んでおられるのか、農業振興部長にお伺いをいたします。

次に、県立高等学校寄宿舎の住環境の向上についてお伺いをいたします。
県立高校の空調設備については、特別教室は以前より県費で設置しておりますが、普通教室
については一部の学校で保護者の要請があり、PTA負担でエアコンを設置し電気代も保護者負担で運営された学校もありました。
平成25年度より教育委員会の基本的な考え方として、普通教室において空調設備は県において計画的に整備に取り組んでいただいております。
高等学校の寄宿舎の空調設備については食堂などの共有スペースは整備されておりますが、寮生部屋については、各校でその設置状況、運用が異なっている状況にあります。
役所を含めた公共施設を初めあらゆる民間施設のほとんどで空調施設が整備されている中で、寮生は苛酷な環境での生活を強いられております。
県内全校で統一した寮生部屋の空調設備の整備が必要と思われますが、現在の状況、今後の
整備計画について教育長にお伺いをいたします。
最後に、職員採用試験の受験者確保対策についてお伺いをいたします。
平成28年度高知県職員等採用上級試験の実施状況を見てみますと、試験区分土木は採用予定人員14名に対して第1次試験受験者13名、第2次試験受験者10名、最終合格者6名と、採用予定の半分の合格者も出すことができていない状況となっております。林業についても採用予定者7名に対して合格者2名となっており、さらに社会福祉の心理についても採用予定2名に対して合格者が出ていない状況となっております。
土木、林業については再度特別募集により採用予定人員の確保に取り組んでおりますが、優秀な職員の確保が課題となっております。土木職については、市町村でもその採用に大変苦労をしており、十分な職員数を確保できていない状況が続いております。
今後の県政運営における重要な職種の受験者の減少に対してどのように取り組んで優秀な人材を確保していくのか、人事委員長にお伺いをいたしまして、私の第1問といたします。


知事尾﨑正直君登壇)
○知事(尾﨑正直君) 今城議員の御質問にお答えをいたします。
まず、人手不足感という新たな段階の課題解決に向けて、どのように第3期産業振興計画のバージョンアップに取り組んでいくのかとのお尋ねがございました。
これまでの産業振興計画の取り組みなどにより地産外商が一定進んだ結果、人口減少下に
あっても本県の経済が縮むことなく、むしろ拡大の方向に転じつつあると感じており、これが有効求人倍率の上昇などにつながっているものと考えております。
こうした流れを一過性のものとせず、引き続き人口が減少する中にあっても、継続、発展させることができるかどうかが県勢浮揚をなし遂げるために極めて重要であると考えております。
このため第3期の産業振興計画において、地産外商の取り組みをさらに強化するとともに、その流れをより力強い拡大再生産の好循環につなげることに挑戦しております。
ただし、この路になりかねないのが、御指摘のようにより深刻度が増してきた人手不足の問題であり、今回の第3期計画のバージョンアップの中で対策をさらに強化してまいりたいと考える点であります。
当面するこの人手不足への対策につきましては、第1に、移住促進策とも連携した人材誘致の取り組みをさらに強化すること、第2に、生産性の向上に向け次世代型こうち新施設園芸システムといった新たな技術や省力化設備の導入などの促進を図るとともに、本年度からスタートしたIoTなどの先進的な取り組みを本格化させることであります。
そして加えて、そもそも本県経済を持続的に拡大させていくためには、地域地域に若者を残し、移住者も呼び込める土壌をつくっていくことが不可欠であり、そのためにも、各分野の地産外商の取り組みを一層強化するとともに、1次産業から3次産業までの多様な雇用を生み出す地域産業クラスターの具体化を進めていくことが重要であります。
その促進を図るよう施策を強化していきたいと考えております。
こうした大きな方向性のもと、引き続き関係者の皆様のお知恵も賜りながらさらに議論を重ね、産業振興計画のさらなるバージョンアップへとつなげてまいりたいと考えているところであります。

次に、津波からの避難意識の希薄化についてお尋ねがございました。
東日本大震災から5年8カ月が経過した先月22日に、福島県沖でマグニチュード7.4、最大震度5弱の大きな余震が発生し、沿岸部では津波も観測されました。幸いにも大きな人的被害は発生しておりませんが、津波が遡上している河川の近くから避難しない住民の姿が映し出されるなど、一部では避難意識が薄れてきていると思われる状況が見られました。
大きな津波を経験した地域でさえそうした状況が見られることから、ほとんどの人が大きな津波を経験していない本県において、県民の皆様の避難意識を維持し、さらに向上させることは相当の努力が必要であると改めて啓発活動の重要性を認識いたしました。
津波から命を守るためには揺れがおさまったらすぐに避難するということが最も重要ですが、本県における津波からの早期避難の意識率は、現状では74%と昨年の70%に比べ向上している
ものの、またまだ100%には届かない状況となっております。
このため県民の皆様への防災意識、特に津波からの早期避難の意識を高めるための啓発を第3期行動計画における8つの重点課題の一つに位置づけて、テレビ、ラジオなどのマスメディアを活用した啓発、さらに南海トラフ地震対策推進地域本部が現地点検など地域住民の皆様と一緒に取り組む機会を通じて直接お伝えするなど、さまざまな方法で啓発を行っているところであります。
特に今年度は、地震発生後の津波避難場所への避難、避難所での生活、さらには仮設住宅への入居といった一連の流れを県民の皆様お一人お一人にイメージしていただけるような啓発DVDを作成することとしております。
また、それぞれの御家庭で話し合いながら防災ルールを書き込んでいただけるように工夫した防災啓発冊子「南海トラフ地震に備えちょき」の全戸配布など、災害を自分事として捉えていただくための取り組みを進めております。
こうした啓発に加えて、実際に地域地域において日ごろから繰り返し訓練を実施していただくよう取り組みを進めることで、県民の皆様の津波からの早期避難の意識のさらなる向上を目指してまいります。
私からは以上でございます。


(林業振興・環境部長田所実君登壇)
○林業振興・環境部長(田所実君) まず、林業事業体の経営基盤の強化及び就労環境の改善についてお尋ねがございました。
県内の林業事業体の多くは経営基盤が脆弱で十分な就労環境が整えられていないのが現状でありますので、林業就業者を確保するためには、議員のお話にありましたように、所得の向上や福利厚生の充実などにより働く人にとって魅力ある職場環境をつくることが重要であると考えています。
このため、県では、林業事業体の経営基盤の強化に向け、施業の集約化や高性能林業機械の導入、路網の整備などにより生産性の向上を図る森の工場づくりや効率的な生産システムの導入促進など、林業事業体の収益性を高める取り組みを進めているところでございます。さらに、今年度からは、県下の6つの林業事務所ごとに一つの森林組合をモデルとして選定し、森林組合支援チームによる現場ごとの生産性向上のための支援をスタートさせたところでございます。
今後は、これらのモデルの成果を県内各地の林業事業体に拡大し、原木生産の効率化につなげていくこととしております。
また、就労環境の改善に向けましては、労働安全衛生に関する研修会の開催や安全防具の導入、林業退職金共済への掛金に対する支援などを行っています。
このような林業事業体の収益性の向上や就労環境の改善に事業体みずからが主体的に取り組んでいただくために、林業労働力の確保の促進に関する法律に基づく労働環境改善計画の作成を促してまいりました。
これまで県下の林業事業体の約7割に相当する91の事業体が計画を作成しており、これらの事業体に対して助言・指導を行い計画の実効性を高めてまいりますとともに、未作成の事業体に対しては計画の作成を働きかけてまいります。
こうした林業事業体の経営基盤の強化と就労環境の改善に向けた取り組みにより、新たな担い手の確保と定着率の向上を図ってまいります。
次に、産業振興計画に掲げる森の工場の目標達成に向けた取り組みについてお尋ねがございました。
第3期産業振興計画においては、森の工場の承認面積を平成31年度に8万1,600ヘクタール拡大するという目標を掲げております。
本年度末の見通しは約6万8,000ヘクタールとなっており、この2年間の承認面積は年間2,700ヘクタール程度にとどまっています。森の工場の数は増加していますが、小規模なものが多くなっているというのが現状であります。小規模な森の工場は、作業道の幅員が狭く、さらに奥地に拡大していくことは小運搬距離が長くなることから
難しく、森の工場の拡大が思うように進まない要因になっているのではないかと考えています。
また、集約化に必要な森林所有者や境界の明確化が進まないということも一つの要因であると考えています。
このため、長期的視野に立った大規模な森の工場での施業の促進に向け、大型トラックが進入できる基幹道を核とした効率的な路網配置を行う大規模な森の工場を計画する場合は補助事業による支援期間を5年間から10年間へと拡大するなどの制度の見直しを検討しているところでございます。また、森林所有者や境界の明確化に向けては、本年5月の森林法の改正により市町村に作成と公表が義務づけられた林地台帳を早期に整備できるよう、必要な森林情報を総合行政ネットワークを活用して県と市町村とで共有化するとともに、法務局の登記簿情報や地図情報等を活用して森林情報の精度を高める取り組みを進めていきたいと考えています。
こうした取り組みを推進することにより、新たな事業者の参入をも促し、森の工場のさらなる拡大を図り、産業振興計画に掲げる目標の達成と原木の増産につなげていきたいと考えております。


(水産振興部長谷脇明君登壇)
○水産振興部長(谷脇明君) 養殖魚の輸出拡大にどのように取り組んでいくのか、お尋ねがありました。
平成27年の本県の魚類養殖生産量は、マダイやブリ類、クロマグロを中心に約1万9,000トンで、全国4位と国内有数の規模を誇っております。しかしながら、議員のお話にありましたように、将来的に国内市場の縮小が懸念されている中、生産量の維持・拡大を図るためには海外への輸出が不可欠と考えております。
養殖魚の輸出につきましては、今年3月、漁協、加工事業者、養殖魚の集荷、販売を担っている商社、さらには物流事業者の方々などで組織する高知県養殖魚輸出促進協議会が発足し、県も積極的に参画し、海外市場の開拓に取り組んでおります。具体的には、シンガポールや沖縄での商談会への参加やアジア地域における現地商社への営業活動、品質や価格などについての評価をいただくための海外へのサンプル出荷など、さまざまな取り組みを行ってまいりました。こうした活動を通じまして、香港やシンガポールなど既に日本食が一定普及している地域におきましても、今後高級食材を中心に我が国の水産物の需要の増大が見込まれること、またベトナム、インドなどでも新たな日本食マーケットの拡大が予想されるなど、県内産の養殖魚の新たな販路の獲得、拡大に手応えを感じております。
一方、養殖魚の輸出を拡大していくためには、相手国の求めるHACCP等の衛生基準を満たす必要がありますので、加工事業者を対象としたHACCP研修を行いますとともに、輸出に対応した大規模な水産加工施設等の基盤整備の促進にも取り組んでまいります。
次に、田ノ浦漁港の流通・輸出拠点漁港への拡大整備促進についてお尋ねがございました。
幡多地域広域水産業クラスターの核として期待される田ノ浦漁港では、昨年の水産物取扱量が1万7,203トンと県下最大であるとともに、国が示しております流通・輸出拠点漁港の要件である水産物取扱量5,000トン以上を県内で唯一クリアしております。また、田ノ浦漁港を取り巻く宿毛湾周辺では、既存の加工業に加え輸出も視野に入れた養殖魚の新たな加工事業への参入に複数の民間事業者が意欲を示すなど、輸出促進に向けた機運も高まってきております。
このような状況から、国が策定する次期の漁港漁場整備長期計画では田ノ浦漁港が流通・輸出拠点漁港に位置づけられるよう国と協議を進めており、この3月には閣議決定される予定となっております。
一方で、田ノ浦漁港では現在、流通機能強化の一環として岸壁の耐震強化工事を進めておりますけれども、流通・輸出拠点漁港に位置づけられることにより、平成29年度からは新たに製氷施設や冷凍・冷蔵施設などが国庫補助事業の対象となります。
今後は、これらの施設整備を進めることで、高度衛生管理や高鮮度物流など幡多地域広域水産業クラスターの核となる機能の拡充を図ってまいります。


(農業振興部長味元毅君登壇)
○農業振興部長(味元毅君) まず、Uターン就農者の確保についてのお尋ねがございました。
親元に帰って就農するUターン就農者は、農地や施設の面で就農しやすい条件が整っていることに加えまして、農業への理解度が高く、また地域への愛着も強いことから就農後の定着率も高くなっております。
したがいまして、第3期産業振興計画の新たな目標である新規就農者320人を確保するためにも、その掘り起こしが重要なポイントになると考えております。
そこで、本年度から新たにUターン就農を目指す方々が安心して就農しスムーズに定着できる環境を整えるため、親元で働きながら専門的な研修を通じて技能を高めることのできる支援制度を創設いたしました。
その結果、この制度を活用したUターン就農者が出てきており、来年度に向けてさらなる活用が見込まれております。また、本年度から新たに、県内9つの地域でお盆の帰省時期に就農相談会を開催し、Uターン就農を希望される方や県外に子弟のいらっしゃる農業者の方々から具体的な御相談もいただいているところでございます。このほか、市町村やJAと連携しながら産地の農業者が集まる場での相談会や、就農コンシェルジュによる子弟をお持ちの農業者への訪問相談を実施するなど、Uターン就農者のさらなる確保に向けて積極的に取り組んでいくこととしております。
こうした取り組みによりまして、新規就農者320人の確保に向けUターン就農者数の上積みを図ってまいります。
次に、環境制御技術普及促進事業の申請状況と申請が加速化した要因についてのお尋ねがございました。
環境制御機器の導入につきましては、申請者数が昨年度の233戸から本年度は415戸と増加をし、補助金額では昨年度の4倍に当たる約2億円の申請をいただいております。ナスやピーマンなどの主要野菜に加えましてミカンなどの果実類やトルコギキョウ、ブルースターといった花卉類など23品目に導入が広がっており、本年度末の普及面積は約167ヘクタールに達する見込みとなっております。また、本年度は、既に環境制御機器を導入された方がさらなる高みを目指して事業を活用される事例が多く見られたことも特徴となっております。
導入が加速化した要因としましては、まず各地域、各品目で身近な成功事例がふえたことが挙げられます。昨年度までに環境制御機器を導入された方の中には最大で34%増収された方がおいでるなど、ほとんどの方で収量のアップや品質の向上が確認をされました。
それらの身近な成功事例を学び教えあう場として活用したことや、簡易な測定器を農家の皆様に貸し出すことなどによりまして、誰でも取り組める技術であることを農家の皆様に周知できたことが最大の要因だと考えております。
また、農家の皆様からの御要望にお応えをし、補助対象を技術のステップアップにつながる機器に拡大したことや補助限度額の見直しを行ったことなども申請者の増加につながった要因だと考えております。
こうした環境制御技術の導入に対する機運の高まりを逃すことなく、普及を一気に加速させ、生産拡大、所得向上、担い手の増加の好循環につなげるために今後も全力で取り組んでまいります。

次に、ため池の耐震化の取り組みについてのお尋ねがございました。
県では、平成26年度までに実施した耐震診断の結果、耐震性が確保できていない21カ所のため池のうち、本年度までに2カ所の工事に着手し、1カ所は工事が完了しております。また、残る19カ所につきましても、用地交渉や工事期間中の農業用水の確保対策など工事の着手に向けた準備作業を進めているところでございます。
ため池の耐震化を計画的に進めるためには、国の予算を安定的に確保することが何よりも必要です。そのため、ことしの4月と7月に政策提言を行ったところですが、10月の国の補正予算では6カ所のため池について設計業務や工事に着手できる予算が確保できました。また、今回の補正予算によりまして、これまで県が最優先で進めてまいりました津波避難タワーの整備に一定のめどがつきましたので、今後は、平成32年度の完了に向けてため池の耐震化に予算を集中し、整備を加速してまいります。
なお、国の予算の安定的な確保に向けて、この11月にも関係団体と連動して提言活動を行ってきたところでございますが、今後も引き続き取り組んでまいります。
最後に、ため池の耐震化の設計基準とハザードマップについてのお尋ねがございました。
ため池の耐震化は緊急を要する課題でありますため、当面は現在の国の設計基準に基づき震度5強相当の地震に対応した整備を基本としております。
しかし、南海トラフ地震では県内全域で震度6以上が想定をされておりますことから、特に下流への影響が大きいと考えられる高さが15メートルを超えるため池につきましては、震度7相当の地震にも耐えられるよう県独自に基準を設け、整備を進めているところでございます。
また現在、国において震度7相当の地震に対する簡易な検証方法が検討されているところであり、この検証方法が決定された段階で再度検証を行い、全てのため池が震度7相当の地震に耐えられるよう整備を進める方針としております。
一方、県民の皆様の生命を確実に守るためには、最悪のケースでは決壊に至ることも想定をし、まずは避難するという視点に立って取り組むことが重要でございます。
このため県では、397カ所のため池のうち貯水量1,000トン以上、具体的に申しますと25メートルプールの1.5倍程度の規模のため池274カ所についてハザードマップを作成し、平成23年度までに市町村を通じて住民の皆様に注意喚起してまいりました。
また、全てのため池を対象にしたため池の管理者や市町村による安全点検を毎年実施いたしますとともに、水を使わないときにはため池の水位を低下させておくといった対応や、地域の集まりでのハザードマップの活用などにより防災意識の向上に取り組んでおります。
県といたしましては、ハード、ソフト両面からの対策に一体的に取り組み、地震に備えたため池の防災・減災対策を推進してまいります。


(地域福祉部長門田純一君登壇)
○地域福祉部長(門田純一君) 高齢者福祉施設の利用者の安全確保について、まず浸水想定区域、土砂災害警戒区域、土砂災害特別警戒区域に位置する高齢者福祉施設についてお尋ねがございました。
認知症グループホームなどを含みます入所型の高齢者福祉施設344について、高知県防災マップでその立地状況を把握しており、現在指定河川浸水想定区域に立地している施設が23、土砂災害警戒区域に立地している施設が56、そのうち特別警戒区域には3つの施設が入っております建物1つがございます。

次に、施設における非常災害対策計画の策定状況及び避難訓練の実施状況についてお尋ねがございました。
県内の高齢者福祉施設に対しましては、これまでも、実地指導において防災対策マニュアルの整備や避難訓練の実施の状況について点検、指導を行ってきております。また、施設が防災対策マニュアルを作成する際に施設みずからがその立地条件などの現状を正確に把握できるようチェックリストを県で作成し、効果のある防災対策を検討できるよう支援してまいりました。
そうした中、議員のお話にもありました認知症グループホームでの災害を受け、この9月に利用者の安全確保や非常災害時の体制整備などに関する注意喚起を国の通知も踏まえ施設等に行ったところです。
また、県として施設の状況を把握するために、10月には高齢者施設に対し水害、土砂災害を含む防災対策マニュアルの策定状況や避難訓練の実施状況などについて調査を行うとともに、マニュアル未策定や訓練未実施の場合は12月末までに策定及び実施をするよう指導・助言を行ってまいりました。
これまでの調査では、地震に関する防災対策マニュアルは全ての施設で策定できておりましたが、10月の調査の結果では、水害や土砂災害を含むマニュアルが策定できていないとした施設が約2割、水害、土砂災害を想定した避難訓練は実施していないという施設が約半数ございましたので、市町村とも連携し再度策定及び実施するよう指導・助言を行っているところでございます。
施設の風水害等の防災対策につきましては、これまでも台風接近などのたびに施設に対し事前にファクスで厳重な警戒態勢の確保についての周知などを行ってきたところでございますが、今後も引き続き、施設職員が利用者の安全を確保するための行動を確実にとることができますよう、施設への指導や情報提供に取り組んでまいります。

次に、児童相談所の強化についての一連の御質問にお答えをします。
まず、児童相談所強化プランに対する県としての取り組みについてお尋ねがございました。
ことし4月に国が策定をしました児童相談所強化プランでは、児童相談所の体制及び専門性を計画的に強化するため、専門職の増員等を推進するとともに児童福祉司等の資質の向上や関係機関との連携強化を図っていくこととされています。本県では、これまでの児童虐待死亡事例検証委員会からの提言を受けまして、子供たちの命や安全を守ることを最優先に、児童相談所の体制強化や関係機関との連携強化に取り組んでまいりましたことから、強化プランで求められている内容の多くを既に先行して対応してきております。
具体的には、まず専門職の増員などでは児童福祉司や児童福祉司を指導、教育するスーパーバイザーを手厚く配置してきましたことから、今回国が示しました新たな基準を既に大きく上回る配置数となっております。
弁護士の配置につきましても、強化プランを踏まえ、現在の相談体制に加え、より気軽に弁護士と相談できる体制を検討しています。
次に、児童福祉司の資質の向上では、これまでもアドバイザーを招聘した定期的な指導・助言や研修への参加などを通じまして資質の向上を図ってきたところです。これらに加え、強化プランで新たに受講が義務づけられました任用後研修の適切な実施などによりまして、一層の資質の向上を図ってまいります。
最後に、関係機関との連携強化につきましても、警察とは定期的な情報共有を行いますなど既に連携を強化しておりますし、市町村の要保護児童対策地域協議会の対応力強化に向けて、児童福祉司任用資格指定講習会などの活用による職員の資質の向上や市町村管理の全てのケースへの助言、支援などに取り組んでいます。今後は、これまでの取り組みに加えまして、新たに受講が義務づけられました要保護児童対策調整機関に配置されます専門職員を対象とした研修などにもきめ細かく対応してまいります。
今後とも、子供たちの命や安全を守ることを最優先といたしまして、強化プランの内容を踏まえるとともに、母子保健と児童福祉の連携や妊娠期からの親育ち支援など、本県が進めております取り組みを充実、深化させてまいります。
次に、県内の里親委託の現状とその推進の取り組みについてお尋ねがございました。
里親の委託につきましては、これまでも、里親会や里親専門相談員を置く児童養護施設などと連携しました相談活動や、新規開拓に向けました制度の説明、相談会の実施など、里親制度の普及啓発活動に努めてまいりました。
また今年度からは、取り組みを充実させるため里親支援を行っています乳児院に新たに普及啓発と研修の業務を委託し、広く県民の皆様や市町村関係機関への広報活動を進めています。こうした活動によりまして、里親の登録件数は平成28年11月末現在で59組と、平成25年度末に比べて21組ふえ、そのうち33組の里親に54名の児童を養育していただいております。
また、社会的養護が必要な児童のうち里親等が養育している児童の割合を示します里親等委託率につきましても、平成25年度末時点の10.3%から平成27年度末時点には13.8%へと着実に増加をしております。一方で、全国比較ができます平成26年度末時点で見ますと、本県の里親等委託率は12.3%となっており全国平均の16.5%を4.2ポイント下回る状況にありますことから、取り組みのさらなる充実を図っていく必要があると考えています。
このため、今後は里親の新規開拓に向けた普及啓発活動のさらなる充実はもとより、児童福祉法の改正により児童相談所の業務として位置づけられました里親の開拓から児童の自立支援までの一貫した支援をしっかりと実施できるよう、訪問支援や養育力の向上に向けたトレーニングの実施など相談・支援体制の充実強化に向けて検討を進めてまいります。
最後に、今後の幡多児童相談所の一時保護機能の確保についてお尋ねがございました。
幡多児童相談所では、付設の一時保護所を廃止して以降、児童を一時保護する際には、児童の生育環境や非行等の行動特性、施設の受け入れ体制などを考慮し、地元の児童養護施設への一時保護の委託または中央児童相談所の一時保護所での保護による対応を行ってまいりました。
しかしながら、児童の安全を最優先として、必要と判断した場合はちゅうちょせず一時保護を実施することを基本姿勢として対応する中で、幡多児童相談所における一時保護児童数は従前の年間10人前後から昨年は38人へと大幅に増加をしていることなどから、適切な一時保護が行える体制の確保が課題となってきております。
そのため、地元の児童養護施設に、より多くの一時保護児童に対応していただくよう施設の体制整備に向けて現在検討を進めています。
具体的には、当該児童養護施設の職員体制の充実を図ることにより、一時保護児童数の増加や緊急時の保護に確実に対応するとともに、保護した児童の養育もしっかりと行える体制を早期に整備したいと考えております。


(危機管理部長酒井浩一君登壇)
○危機管理部長(酒井浩一君) 南海トラフ地震対策について、まず長期浸水区域内における迅速な救助救出に関して高知市と宿毛市でどのように取り組んでいるのかとのお尋ねがございました。
南海トラフ地震が発生すれば、大規模な津波による広域的な浸水被害だけでなく、高知市や宿毛市などでは地盤が沈降することにより長期間浸水する区域も想定されております。
この長期浸水区域には大勢の方々が取り残されると想定しており、そうした方々の救助救出に時間を要することが大きな課題となっております。
そのため、高知市と宿毛市においては、それぞれ、国や県、さらには応急救助機関とともに確実な避難や救助救出などの長期浸水に関する対策を検討し、連絡会を設けてその進捗を図っているところです。
高知市の長期浸水区域における救助救出対策としましては、平成30年度までに、住民一人一人の避難場所、避難ビルに滞在する場合に必要となる資機材、浸水区域内に取り残された要救助者の救助救出方法などを取りまとめた地区ごとの具体的な計画を高知市が中心となって関係機関と連携し策定することとしています。
宿毛市に関しましては、平成31年度までに、要救助者の早期救助、徒歩避難、長期浸水を想定した物資の備蓄、救助に必要な資機材の確保などを宿毛市と関係機関が連携して進めることとしています。
現在、宿毛市におきましては、要救助者を減らすため、長期浸水区域内の潮位が低下した際に避難場所から徒歩で浸水区域外へ避難するための方法を検討するとともに、長期浸水の影響により取り残される方々への対策として、救助を待つ間に必要な水や食料の備蓄を進めることとしております。
また、応急救助機関においては、ボートなどの救助用資機材の整備を進めるとともに、地域の自主防災組織と合同で長期浸水を想定した救助訓練も実施するなど、さまざまな対策に取り組んでいただいております。
県といたしましても、今後も引き続き、両市、国、さらに関係機関と連携し、長期浸水対策が着実に進むよう取り組んでまいります。
次に、燃料の確保と供給体制の確立にどのように取り組んでいるのかとのお尋ねがございました。
南海トラフ地震発生時には、応急対策活動に必要となる車両、市町村や病院などの非常用電源の燃料の確保が重要となります。平成26年度には、高知市消防局の南消防署南部分署において県と市が共同で自家給油施設の整備を行うとともに、今年度は、高知市の北消防署や南国市消防本部、土佐清水市消防本部でも同様の整備を進めておりますし、あわせて民間の給油所が停電時でも給油ができるよう非常用電源等の整備に対する補助を行うなど取り組みを進めております。
今年度、応急救助活動や道路啓開、物資輸送や排水対策などのために使用する車両、市町村や病院、社会福祉施設などの非常用電源のために必要となる燃料の量や種類、備蓄状況を、宿毛市を初めとした全ての市町村ごとに調査し、どれだけの燃料が不足するか把握する予定です。
来年度には、その調査結果をもとに道路被害平や浸水状況なども考慮の上、不足分を確保するための課題を洗い出し、さらなる備蓄や関係機関との連携など必要な対策について燃料対策計画として取りまとめたいと考えております。


(土木部長福田敬大君登壇)
○土木部長(福田敬大君) まず、南海トラフ地震による長期浸水の止水対策について、建設関係団体との事前協定、効率的な緊急復旧体制の構築、止水資機材の確保により実効性を高める必要があると思うが、現在どのように取り組んでいるのかとのお尋ねがございました。
長期浸水の止水対策については、高知市、宿毛市それぞれの長期浸水対策連絡会で検討を進めてまいりました。
また、大規模災害が発生した場合に備え、応急復旧の支援活動に関して高知県建設業協会や高知県港湾空港建設協会などと協定を締結し、被害状況の確認や必要な建設資機材、さらには技術者及び労力を確保することなど、早急に応急復旧ができる体制の構築を進めております。特に、止水対策につきましては、矢板などの鋼材による締め切りが必要な場合に備え、昨年度、全国圧入協会とも協定を締結したところです。
今後も引き続き、河川堤防や海岸堤防の耐震化を進めるとともに、高知市や宿毛市及び関係機関と十分に連携して止水資機材の確保や各協定に基づく具体的な取り組み状況をそれぞれの長期浸水対策連絡会で確認しながら、止水対策の実効性を高める取り組みを進めてまいります。

次に、市町村で段階的耐震改修に対する支援制度の導入が進まない理由と今後の取り組みについてお尋ねがございました。
本年4月から開始した段階的耐震改修への支援には大きく2つの目的がございます。
1つは必要な費用を用意できないことを理由に耐震改修を断念されていた住宅所有者に、比較的経済負担が小さく、かつ十分とは言えないものの、現状よりは倒壊の危険性を低減させることができるという選択肢を示すことです。もう一つは、耐震改修の費用は高いという先入観を持っている住宅所有者に対して、改修を検討するきっかけとしていただくことでございます。
市町村にはこうした目的を説明した上で導入を働きかけてまいりましたが、議員御指摘のとおり、現在制度を導入しているのは4町村にとどまっております。
一方で、一度の工事で上部構造評点を1.0以上とするいわゆるフル耐震改修につきましては、低コスト工法の普及が進んだことや補助金額を独自に引き上げている市町村がふえるなど、支援が充実してきていることで住宅所有者の経済的負担の軽減が進んでおります。
また今年度は、4月に発生した熊本地震をきっかけとして補助の申込件数が県全体で大幅に増加しているところです。
こうした状況の中、現時点では多くの市町村においてフル耐震改修に対するニーズの急増に集中的に対応しているため、結果的に段階的耐震改修に対する支援制度の導入が進んでいないのではないかと考えております。
このため、県といたしましては、市町村に対し引き続き段階的耐震改修への支援制度の導入を働きかけるとともに、戸別訪問などを通じた取り組みの周知徹底を図ってまいります。


(教育長田村壮児君登壇)
○教育長(田村壮児君) 県立高等学校寄宿舎の寮生部屋の空調設備に関する現在の状況と今後の整備計画についてお尋ねがございました。
寄宿舎のある県立高校10校のうち空調が全室に整備されている学校が5校、残り5校のうち未整備の学校が4校、一部に整備している学校が1校となっております。
空調設備につきましては、一般の家庭におきましても設置が進み、生活する上で必要不可欠なものとなっており、寮生部屋への整備は寮生たちの健康管理への配慮からも必要だと考えております。
このため、県教育委員会といたしましても、できるだけ早期に整備をしてまいりたいと考えております。


(人事委員長秋元厚志君登壇)
○人事委員長(秋元厚志君) 職員採用試験の受験者の減少に対しまして、どのように取り組んで優秀な人材を確保していくのかとのお尋ねがありました。
近年、民間企業の採用活動が活発化しており公務員志望の受験者が減少傾向にある一方で、本県におきましては採用予定者数の多い状況が続いておりますことから、議員御指摘のとおり優秀な人材の確保に苦慮いたしているところでございます。特に、土木職や林業職などの技術系職種につきましては全国的に技術者不足が深刻になっていますことから、ここ数年特別募集を実施してもなお採用予定者数を確保できない厳しい状況が続いております。
このため、さらなる受験者の掘り起こしが必要であると考え、新聞やテレビなど従来からの広報に加えまして職員採用パンフレットをリニューアルしますとともに、ホームページにつきましても採用試験関連情報を集約し、内容もビジュアルなものに改めますなど利用者の視点に沿った見直しを行いました。また、県職員の仕事のやりがいや魅力を直接伝えるため、職員採用ガイダンスを新たに設けますとともに、職場見学を実施するなど、その内容の充実に努めてまいりました。
このほか、都市部の受験者の利便性の向上を図りますため、ことしの上級試験では従来の高知・東京会場に加えまして大阪会場を新設し、実施をしたところでございます。
特に、採用が困難な状況が続いています土木職につきましては、先ほどの職員採用ガイダンスとは別に任命権者とも連携をいたしまして県内の工業系の高校や高等専門学校、大学などに出向きまして個別の説明会を実施いたしますなど、よりきめ細やかなPRに努めてまいりました。
林業職につきましても、こうした取り組みを推進することで受験者のさらなる掘り起こしを進めてまいりたいと考えております。
今後とも、社会情勢の変化を踏まえました採用試験のあり方を検討しますとともに、県内だけでなく県外の大学につきましても本県出身者の多い大学などを中心に働きかけを一層強化いたしまして、受験者の増加と優秀な人材の確保に努めてまいります。


○2番(今城誠司君) 執行部の皆様には適切な答弁をありがとうございました。
以上で、一切の質問を終わります。どうもありがとうございました。